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ダークファンタジー

作者: take2

僕は気づいたら異世界にいた。

そこはホテルで、今日は家族で旅行に来ているらしい。目線を上げると、二人の大人が見えた。彼らがこの世界の僕の両親らしい。父は短い金髪のパンチパーマで、母は黒い髪をまっすぐ肩ぐらいまで伸ばした日本人ぽい顔をしている。また妹がいるようで僕は妹と手をつないでいた。妹は6歳ぐらいだろうか。妹も東洋人ぽい見た目で黒い髪をツインテールに縛っていた。目線の高さ的に僕は10歳弱ぐらいだろう。

現実の自分は、父親は日本人だし、妹もいないが、これが家族であり、自分もその一員であることはなぜだかすんなり理解した。


そのホテルは異様だった。まず、暗かった。全く見えないわけではないが、薄暗いと言うには暗すぎる。特に上の方は真っ暗で僕の高さからは全く見えない。部屋の番号は高い位置にあるので、どの部屋が自分達の部屋なのか分からなかった。しかし、部屋に早く入りたい。僕はどの部屋が自分達の部屋なのか分からなかったが、とりあえず目の前の部屋の扉を開いてみることにした。ドアノブに手をかけると、それはくるりと回りあっさり開く。しかし、中を見た瞬間、この部屋は自分達の部屋ではないとわかった。

奥に誰かがいた。それは黒くもわっとしており、扉が開いた音を聞くと、状態を起こして、首をこちらに向けた。

その顔を見て血の気が引いた。それは人の顔ではなかった。全体として、黒いもやがかかっているが、目に白目がなく真っ黒で、口も唇がなく真っ黒で、そこだけ特に黒さが際立っていた。ムンクの叫びという絵画に出てくる絶望している人の顔に近いような見た目をしていた。それはこちらをみると、突然首を伸ばして、ものすごいスピードで僕に向かって口を開いて進んできた。僕は驚き、慌てて扉を閉めると体と扉に押し付けた。

しかし、そんな僕をよそに両親は何事間もないように、部屋を間違えたようだ、隣の部屋だといって、隣の部屋に向かっていった。僕は訳が分からなかったが、この世界ではこれが普通なのだろうかと思った。

そのまま僕も、押しつけていた扉から体をはなし、両親に続いて隣の部屋に入った。



部屋の中は至って普通のホテルの一室だった。白く清潔そうな部屋で、暗くもない。入って目の前には左の壁沿いにテーブルと液晶テレビがおいてあり、テーブルの下には冷蔵庫もある。右側は広い空間が取られており、大きなベットが2つ見えた。母親はテーブルの上の壁に貼られた鏡に向かって化粧を直し、父親は冷蔵庫の中の食べ物をつまんでいた。僕は少し安心してトイレに向かうことにした。トイレはなぜか共用で、部屋を出て廊下の突き当たりにある。僕は部屋を出るときもう一度振り返って部屋を見た。

しかし、そこにはさっきまでの部屋と違う光景が広がっていた。部屋は白く清潔感のある内装ではなく、牢獄のように薄暗く、ねずみ色のレンガが積み上げられたような内装しており、ところどころが血で赤く染まっていた。そして、母親は自分の肌に塩を塗り、父親は何かを食べながら豚のように太っていた。僕はそのまま部屋を出てトイレに向かった。



廊下は相変わらずうすぐらかったが、すぐつきあたりトイレについた。しかし、その扉は不気味な雰囲気を漂わせていた。なんだかよく分からないが、僕はその扉に猛烈な恐怖を感じた。あけてはいけないと脳が警鐘を鳴らしていた。しかし、体は自分のものでないように制御できず、ゆっくりゆっくり、そのトイレの木造の扉のノブに進んでいく。僕は自分の右手がノブに伸びるのを止めたくて、右手を凝視するが全く止まらず、ただゆっくりゆっくりとどうしようもなく近づいていくだけだった。


その時、ドンという大きな音が上から聞こえた。僕は目線を上げると、木造だったトイレの扉は青いガラスのような素材になっており、そこに囚人のような髪とひげがぼさぼさの男が張り付いていた。張り付いていると言うより、その男はガラスの扉の中に閉じ込められているような感じだった。男は必死で扉の中から自分の目の前の壁を壊そうとガラスをたたきながら何かを叫んでいるが、その叫び声は遮断されているようで全く僕には聞こえない。ただ、扉をたたく音だけががんがんと廊下に響いているだけだった。僕はその男を呆然と見上げた。男は目をつぶって叫び続けており、僕には気づいてないようだった。

その時、突然後ろから僕は手を引かれた。見ると父親が僕の手を引いて走っていた。やっとこのホテルの危険に気づいたのか、家族で逃げるようだった。母と妹もそこにいた。僕達は急いで階段を降り、外の駐車場に向かった。




外の駐車場には他の宿泊客も逃げようと何台かの車も同時にエンジンがつき、出口に向かって走り出した。駐車場はテニス場にあるようなメッシュフェンスで囲まれており、出口は学校の校門にあるような三角柱の骨格を横にし、ストライプが入ったような金属製の門だったが、それは独りでに閉まりだし、車が抜ける前に閉じてしまった。しかし、駐車場を囲むフェンスはそこまで強固なものではなく、他の車がメッシュフェンスに突撃すると、フェンスはたおれ、そこから次々と車が出て行った。僕達もこれで逃げられると心の底からほっとした。しかし、他の車は出口から抜け出したが、僕達の車だけがエンストを起こしたように動かなかった。僕達が乗っている車はマニュアル車のようで、父親がギアペダルをガチャガチャ動かすが全く動く気配がない。するとホテルから女将と亭主と従業員のお兄さんが出てきて、こちらに向かって走ってきた。彼らは手足をくねくねくねらせながら、満面の笑みを浮かべ、ものすごいスピードで僕達の乗る車に近づくと、助手席の車の扉をぶち外す。そして、目を三日月のようにわらわせて、大丈夫ですよといいながら両親をつかむと、車から引きずり下ろした。両親は抵抗していたようだが、ホテルの従業員達のあまりの力になすすべなく、そのまま抱えられてホテルまで連れて行かれる。僕は父と母は喰われるんだと直感した。僕はただただやつらと離れるように、助手席の反対側の車の扉にへばりつき、妹はそんな僕にへばりついていた。従業員の3人は両親を抱えるとホテルに入っていってしまい、そのまま僕と妹は車に取り残された。僕は何が起こっているのか、どうすればいいのか分からず、そのまま固まっていた。


ふと車の外を見ると、そこに3歳ぐらいの小さな幼児が立っていた。僕がその幼児を見ていると、その幼児はみるみる巨大化し、僕と妹が乗る車を上から殴りだした。車の屋根はぶち抜かれ、車の後部座席の真ん中に、ドシンドシンと何発も打撃が打ち込まれた。僕は身を固くして同じ体制で車のドアの方にへばりついているしかできなかった。後ろからは妹が僕にへばりついている感覚があるが、幼児のパンチと合わせて、妹の頭が自分の背中に当たる衝撃が伝わってきた。幼児のパンチが妹に当たっているかもしれない。しかし、妹の頭が背中にあたるものすごい衝撃は感じるが、僕は痛みを感じなかった。

しばらくすると幼児の打撃は収まった。おそるおそるドアの方にうずくまっている体を緩め、後ろを確認しようとした。そこには妹はおらず、外にいたはずの幼児が僕の隣に座っていた。

そして、幼児と目が合った。僕はぞっとして、車を出ようとした。しかし、車が変形しているのか、立て付けが悪くなりドアはなかなか開かない。そうしている内に後ろから襟を捕まれた。僕は焦りながら必死でドアを開けようとする。その僕の後ろから首筋にゲロのようなどろっとしたものがはき出され、首を伝って、襟から入った。そのとろみのある液体はそのまま背筋をゆっくり流れおちていく。僕は全身の身の毛がよだった。












その時、僕は夢という異世界から目を覚ました。


辺りは太陽がカーテンに差し少し明るく、いつもの現実の部屋だった。




自然法則が存在し、常識が存在し、原因と結果がはっきりしている世界はまだいい。

僕は現実に感謝した。


ダーク:悪

ファンタジー:夢



夢は、夢だからこそ、起きている人間には絶対に創造できない物語を創造します。

だからこそ貴重だとも思います。


実際に見た悪夢をもとに作成しましたが、見たときは死ぬかと思いました。

伝われこの思い。。

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