はじまりのまえ
ある日、とあるネットゲームが発売された。
それはVRゴーグルを装着して冒険するものだった。
当時そこまで人気ではなかったが魅力的な職ややりこみ要素で一部ファンからは大うけだった。
しかし一部ファンだけでは経営は難しく結果的にはサービス終了となった。
だがそれから数年たち、今度はポッドのような筒状の機械の箱に入りプレイするものだった。
もちろんそんな技術は珍しく話題になった。だが話題になったのはそれだけではなかった。
「ポッドを貸し出します」と公式から月数千円でレンタルができるのだった。
オプションにより値段は変動するもののそれは格安で一瞬にしてネットゲーム「自由世界」は話題になった
「このゲームはあなた自身が好きなあなたになれます」とうたい文句。文字通り初めてポッドに入ると自分がスキャンされ自分のこれまでのデータとこれからの人生の予想から自分のステータスは決まり、おすすめのジョブとなるのだ。
運動できれば戦士、勉強できれば魔法使い。大体こんな感じだ
だが面白いのはここから、運動ばかりやっている人間でも手先が器用だけど一度も活かしたことがないとすればそれはゲームがステータスとして教えてくれる。
このゲームは名前の通り自由な世界。戦士と盗賊両方を合わせることもできる。そこからゲーム内でゲットできるポイントでさらにステータスも上げられるのだ。
「今日は何するかな」
そんなおれもこのゲームに魅了された一人
昔から使っている古いゴーグルをつけ、ポッドにはいる
「いつか買い換えようと思ってたけど愛着沸いてきたな」
なんてちょっと笑いながらゆっくりと意識を世界に落とす
ログインチェック…
…ログイン完了…
青白いデータの波を超えて今日もおれはこの世界にやってくる
「えっと、昨日のクエストは完了して…新しいの出てるかなぁ」
慣れた手つきでウィンドウを出し素早く操作
ぴこんっと通知音
『三月!やっときましたね!今日はどこいきますか?』
「うわっ!ログインに気づくのはやっ!」
フレンドの星子だった
このゲームを始めたころに名前が月と星でっていうんで向こうから仲良くなった。
「おれは今日一人でいくよ…っと」
昨日一緒に遊んだので今日は一人でのんびりとしたかった。
申し訳ないけど断りのチャットを送信すると
シュン
「三月!おまたせしました!」
目の前に星子が現れた。
「うわぁ!いまチャット送ったのに」
「ほうほう…まあでも一緒に遊びましょう!」
駄目だ、会話が全然できていない。こいつバグってんのか?
「昨日は討伐クエストしましたね!今日も戦いですか?」
星子は楽しそうにシャドーボクシングをしながら笑顔で横を歩いている
「いや、今日は探し物クエストだよ」
「え~~~~」
星子は戦いたい欲が強い。確かに剣も魔法もこなせる星子の戦い方は楽しそうで綺麗だった
だがおれは元々一人でゲームしていたから自分を守り、一人で戦う剣しかできない
「NPCといえど大切なペンダントをなくしたらしい。おれはそれを見つける」
「やさしいですねぇ~…ん???ペンダント?」
星子は毎回表情を変えて喋るので見ていて飽きない
「それって…数か月間だれもクリアしてないやつじゃ…」
「そうだよ、昨日ちょっとほかのクエストで気になる話聞いてさ」
星子があきれた様子だった
「三月~あれは確かに幻となりかけてるクエストですけど…報酬はEXP少量と最下級強化素材だけですよ~?」
「確かにね、最初はみんな盛り上がってたし今となってはバグみたいな扱いだよね」
「でもおれはずっと気になってたしこのゲームが好きだからすべてのクエストをクリアしたいんだ」
おれはいつの間にか顔が笑っていた。その顔をみて星子は笑っていたのでちょっと恥ずかしくなった
「それで気になる話とは?」
「昨日討伐したイノシシいただろ?あれの牙についてた傷なにか模様に見えたんだ」
「よく見てますね…でも模様って見間違いとかでは?」
「そう思ってちょっと調べたんだけど初級者が通る森の奥に神殿があったでしょ?」
「ありますね!最初のころに行く必須イベントですね!」
「あそこに確か同じ模様があったんだけど…とりあえずそこまで行こう」
「はい!」
決して近い場所ではなかったので町のテレポート装置から森の付近のフィールドへ飛んで行った
「ひゃー久しぶりですよー!ここくるの!」
「ここは最初のイベント依頼来ないもんね。初心者さんもちらほら居るみたいだ」
「懐かしいですね~!三月もここで苦戦しました?」
「…まぁね」
ここは初心者が最初に躓く場所だった。大体のプレイヤーはここまで一人できて一人で挑むのだ
だが敵が多く強いので初めてパーティ組まなきゃ勝てないという状態になるのだ
ある意味チュートリアルとしては面白い作りだと思う
「あ!あの子パーティ組めないんですかね?」
一人で戦っている女の子がいた。
その子のHPはみるみる減っていき・・・ん?
「…」
その女の子のHPは一気に満タンになる
「星子…回復魔法使ったでしょ」
「…ぴゅ~♪」
下手な誤魔化し
「でも一人でも多くこのゲームを好きになって欲しい。今は人が少ないみたいだからおれたちがパーティ組んであげよっか」
おれがそう言うと星子はすごい嬉しそうな顔をした
「さっすが三月です!!!」
星子は一瞬にしてその女の子にパーティを送った。
女の子はおろおろしてこちらをチラチラ見ている
「パーティ申請より挨拶が先でしょ、星子」
「そうですね!」
「君だいじょうぶ?おれは三月、よかったら少しの間だけPT組まない?」
「私は星子です!ここ難しいよね~~~!」
二人で腰を下ろして女の子に語り掛ける
背が小さいアバターは作れなくもないが大体元の身体プラスマイナス10程度しかいじれない
これだけ小さいのは本人も小さい子なのだろう
「えと…わたし…」
戸惑っている
「少しの間だけお手伝いさせてほしいなって思うんだ」
女の子は戸惑っていたが…
「よ、よろしくおねがいします!」
嬉しかったのか笑顔で承認してくれた。
「わたしはリロって言います!」
女の子、リロのステータスが表示される
レベル5か、魔法使いかな?
「よろしくリロちゃん!」
「私にもよろしくしてくださいね!リロちゃん!」
リロちゃんは嬉しそうだった、だが少し遅れておれ達のステータスを見て驚いていた
「ひゃ~~~~!レベル90!」
…暇人と思われるみたいでちょっと恥ずかしい瞬間だ