表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
拝啓、あの世の私へ  作者: りんごあめ
第五章 目覚め編
85/145

80話 一体何者なんでしょうか

「それで、相談って何でしょうか」

「話をする前にこれを見て頂きたくて」

 そう言って小鳥遊さんはスマホの画面が見えるように机に置く。

 そこに書かれていたのは意味もなく乱雑に並べられた文字列だった。

「これは……なんて書いてあるんでしょうか」

「私にも、わからなくて。この間、お父さんが送って……きたんですけど、それから連絡が……つかなくて」

「小鳥遊さんの実家って」

「町工場、です」

「じゃあ従業員の方伝てに連絡をしてもらえば良いんじゃ」

「それが、取引先の所に……行くって言って、一週間くらい前から……出てるらしくて。みんなも、連絡がつかないって……困ってて」

「そうですか」

「それで、その……生徒会の人たちの、意見を聞きたくて」

 会長たちは今は……生徒会室か。

 もう日が落ちているとはいえ、今ならまだ活動時間内だし連れて行っても問題はないだろう。

「わかりました。じゃあ生徒会室に行きましょうか」

「はい」

「ほら、みやさんも行きますよ」

 そう部屋の奥にいるみやさんに声をかける。

 ここまでの話にも興味を示さないあたり、次の返事は何となく想定できていた。

「え~、私はそういう人探し見たいなのは専門外なんだけど」

「逆に何が専門分野なんですか」

「バイオとか機械生命とか?」

「確かにそうでしたね」

「明日エレナから話は聞かせてもらうのでもいいでしょ?それに今日はもうくたくたで眠いんだよ」

「じゃあそうしましょうか」

 私はため息交じりに応える。

 みやさんとはそこで分かれて、私たちは先に部屋を去る。


「あの、小鳥遊さんがお二人に相談したいことがあるそうなのですが、今大丈夫ですか?」

「うん、大丈夫だよ」

 悠さんの許可を貰い部屋へと連れて入る。

 小鳥遊さんが私の後ろで縮こまってる間に、それまでの経緯をあらかた説明する。

「それで、これがその文字列?」

「はい」

 柚葉は差し出されたスマホの画面に映された文字列を手元の紙に書き写すと、それを悠へと渡す。

 それを見た悠は意味ありげに呟く。

「これ……」

「なんて書いてるかわかるの?」

「うーん。いや、思い違いかも」

「そう、ですか……」

 その反応に一同は期待を寄せていたが、即座に否定されたことに空気が重くなる。

「とりあえずその取引先のところに確認した方がいいと思うけど、相手の名前とかって聞いてない?」

 聞かれた小鳥遊は無言で首を振る。

「そうだなぁ。一応外出許可証は用意してもらうよう学校に話は通せるけど、だからと言ってどこに行けばいいのかわからないんじゃね」

「それなんだけど、ちょっと時間もらえないかな」

 先ほどから一心不乱に紙に何かを書いている悠さんは、何かを見つけたかのようにペンで机をたたく。

「調べられるの?」

「こういう時にとっても頼りになる人を知ってるから。それに、これの内容がわかれば何かヒントになるかもしれないし」


「こんな時間に呼び出して何のご用でしょうか」

「これ」

 先の話し合いのすぐあと、悠は即座に西城陽菜を呼び出した。

 その数分後には、二人は使われていない教室に集まった。

 悠はさっきのメモを書いた紙を彼女に渡す。

 受け取った西城は、そこに書かれている内容が信じられない様子で見る。

「何ですか、これは」

「さっき小鳥遊千智って子が持ってきたものなんだけど、この暗号化方法って西城家で使われているものだよね」

「ええ、正確には我が家で使われているものに酷似していますが。もしかして、私を疑っているのですか?」

「まさか、おひながこんな高リスクで不確実な方法をとるとは思えない。念のための確認だよ」

「そうでしたか。しかし気にはなりますね。少なくとも我が家で確認する限り似たような鍵を使う団体や個人は確認されておりませんが」

 西城は解読された分を指でなぞりながら呟く。

「『久遠桜は危険だ。彼女に注意しろ』ですか。久遠桜というのは、一体何者なんでしょうか」

「西城家でもまだ知らない事あるんだ」

「ええ、お恥ずかしいことに。そもそも彼女にまつわる話が少ない上に大半が噂話や人伝えなどで、どれも信憑性に欠ける物ばかりなのも気になります。いくら何でも情報が無さすぎます」

「何か情報統制出来るほどの権力を持っているか、あるいはそう言う類のギフトか」

 今持つ情報の中で最も確実性が高いのが神楽綾人が自分の手で殺したというものだが、だとすれば今更こういう警告が出てくるのは不自然だ。

 だが彼女の知る限り、神楽綾人がこのような嘘をつくような性格とは思えない。

 高度な情報統制力に加え、死を超越するというギフト持ちでは対処のしようがないだろう。

「それで、アドレスから逆探知できないのですか?」

「いや、送り主は小鳥遊さんのお父さんなんだけど、今連絡が取れないって言ってて。別の人がその携帯を使って送るのが自然だと思うけど」

「そうですか。偶然このようにきれいな文章ができるとも思えませんし」

「それで、とりあえずそのお父さんの行方を捜してほしいんだけど、頼める?」

「そうですね。不可能ではありませんが、急ぎだとその分お代を上乗せさせて頂きますがよろしいですか」

「え、お金とるの?」

「親しき仲にも礼儀ありという言葉がございますでしょう?まぁ、私たちの関係が親しいと呼べるかは別ですが。それに代価は必ずしもお金である必要はございません」

「……何が言いたい」

「では、率直に申し上げましょう。あなたの知る全てをお聞かせ願います」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ