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拝啓、あの世の私へ  作者: りんごあめ
第五章 目覚め編
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78話 作業

 一方そのころ。

 ある空き教室では、柚葉と悠、音葉が実験ノートの解読を進めていた。

 部屋に置かれた複数のホワイトボードにはそのコピーが張られ、様々な書き込みがされていたが、数日たった今も成果と呼べるものは何一つ手に入っていなかった。

 悠はまた一枚、新しい物を貼る。

「しかし、ほんとにこれに書いてあるのかねぇ」

「今更言うの?」

「でもこれだけやってもそれらしい情報を見つけられないと、この実験ノート自体が嘘の可能性もあるんじゃないかな~なんて」

「だとしてもウチたちはこれしか頼るものがないし」

「ん~そうなんだよなぁ」

 行き詰った悠は地面に寝転ぶ。

 暗号自体は特別複雑なものではなかった。

 癖はあったが、一度法則を見つけてしまえばあとは作業するだけ。

 そう思っていたが、実際はそうは行かない。

 それもそのはずだ。

 自分よりも遥かに優れている詩乃が出来ないと言ったのだから、簡単に行くわけがなかった。

 何度試しても結果は同じで意味のない文字列になるだけだった。

 まだ見つけられていない法則があるのか、それともこの文字列すらも暗号化されたものなのか。

 どちらにせよ事実を見つけるのに大量の時間が必要なのは変わらない。

「なんで暗号なんかにして残すのかねぇ。そのまま書いてくれれば助かるのに」

「見つかったらまずいものだからわざわざ暗号にしたのに、それじゃあ意味がないじゃん」

「他人に見つかっちゃダメなものをわざわざ紙に書いて残すかね、普通」

「それは……記憶力がとても悪いとか、何か理由があるのかも」

「ははっ、ほんとにそうだったら面白いね」

 悠の独り言にも等しい愚痴にも、音葉は作業をしながらも几帳面に答える。

「……二人とも、口より手を動かしてほしいんだけど」

「ごめんなさい」


「終わりましたね」

「終わったね」

 作業が終わった頃には外はすっかり暗くなっていたが、部屋は見違えるほどきれいになっていた。

「それにしても、ほんとに一日で終わったね」

「みやさんは終わると思ってなかったんですか」

「いーや、エレナならやってくれるって信じてたよ」

「これは、手伝わない方がよかったかもしれないですね」

「そんなこと言わないでよ」

「来年は手伝わないですよ」

「……来年、ね」

 片付けも終わり、部屋へと戻ろうとしていると扉がわずかに開き、その隙間から小鳥遊さんが顔をのぞかせる。

「あの……お疲れ様、です」

「あれ、小鳥遊さん。どうしましたか?」

「えっと、その。お二人に、相談が……あって」

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