7話 禁書庫
生徒会室を出た私と会長はある場所へ向かっていた。
「それにしても、九条さんって面倒見の良い人なんですね」
「そうだね、あのゴツい見た目で面倒見が良くて優しいなんてイメージしてないもんね。『困った事があれば生徒会か九条を頼れ』何て言われてるくらい後輩から慕われてるよ、あれは」
「て言うか、私たちどこに向かってるんですか?」
「うん? 最後の助っ人のスカウトだよ?」
「それなら私いります? 少なくともみやさんの方がいい気がするんですが?」
「それが、これから会う子があなたに会いたいらしくてね」
そう言う会長は廊下の突き当たりの大扉の前で立ち止まる。
「いい? 万に一つも無いと思うけど、怒らせるとこの街に居られなくなるから気をつけてね。割とマジで」
そう言い一息つくと会長は大扉を開ける。
「ようこそ禁書庫へ」
そこには螺旋状の階段を中心に円形の壁一面に本が所狭しと置かれ、机に積み上げられた本の中では10歳くらいの少女が数冊の本を広げ読み耽っていた。
少女は本から顔を上げることなくこちらは話しかける。
「なんだ柚葉か。そっちの扉ってことは生徒会のお仕事?」
「ええ、あなたも知ってるでしょうけど、記憶喪失事件の事でね。約100人分の映像から不審物等が写ってないかの確認をして欲しいんだけど、お願いできる?」
「それ自体は構わないけど、後ろの子に聞かせても大丈夫なの?」
そう言う少女は下を向いたまま、正確に私のことを指で指す。
「何で場所が?」
「何でって、ここは私の部屋だよ? この部屋の中の事なら手に取るように分かるよ。て言うか、初めましてか。私は双葉胡桃、アテナ連邦生徒会役員もやってるよ、よろしくね」
「えっと、初めましてエレナです。最近この学園に来ました。後は…」
他に何を話そうか考えていると少女、双葉の顔がゆっくりと上がる。
「エレナ? あぁ、噂は聞いたよ。身元不明の超怪しい人でしょ? お茶入れるから座って」
そう言うと双葉は机の上の本を閉じて2人用の椅子を用意し、何処からか持ってきたカップに3人分の紅茶を入れ私達の前に持って来ると、先程までいた席に戻る。
「それじゃあ、お仕事の話をしようか」