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拝啓、あの世の私へ  作者: りんごあめ
第三章 覚醒編
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64話 便利な体ですね

 詩乃さんに訓練を見てもらい始めてから、早くも一週間がたった。

 最初の数日こそ体への負荷による副作用で半日ほどで音を上げていたものの、今となっては狭い範囲でなら丸一日問題なく使えるようになった。

 頭の中に情報が流れ込んでくる感覚にも慣れてきて、処理のコツも何となくつかめてきた気がする。

 我ながらこの成長速度には驚いていたが、詩乃さん曰く想定通りらしい。

 そして8日目となる今日から本格的に効果の範囲を広げて行くそうだ。

「とはいっても、急に広げ過ぎると体に負荷がかかっちゃうから少しづつね」

「わかりました」

 促されるように目を閉じてギフトを使う。

 ある程度使えるようになったからか、前に詩乃さんの言っていたスイッチを切り替えるみたいに使わないっていう事が、少しわかった気がする。

 自分の髪の毛の動きや砂粒一つ一つから風の流れまで、全てが手に取るようにわかる。

「うん。一週間かけただけあって、流石に安定してるね」

 今ままでの抑えようとする意識をほんの少し緩める。

 すると見える範囲はだんだんと広がっていき、優に半径は10メートルを超していく。

 意外なことに体に一切の不調は無く、まだまだ広げても余裕そうだった。

「お、意外と安定出来てるじゃん」

「……詩乃さん、何食べてるんですか?」

「チョコだけど、いる?」

 詩乃さんは食べかけのそれを半分に割ると、こちらへと差し出す。

 平然と言ってるが、記憶が正しければ猫ってチョコ食べちゃダメだったような。

「それって大丈夫なんですか?」

「大丈夫だよ、正確には猫と体のつくりが違うから。何かあっても治せば良いだけだし」

「便利な体ですね」

 というか、詩乃さんのギフトの効果って聞いたことなかったような。

 ネコの姿になってるのもその応用だって聞いたことあるけど、一体どんな効果なんだろうか。

「詩乃さんのギフトってどんな効果なんですか?」

「んー、説明がちょっと難しいんだけど。近いのだと、事実改変とかなのかにゃ~」

「それって強すぎじゃないですか」

「その分反動が強くてねぇ。ポンポン使えないから、案外使い勝手悪いんだよ」

 そう言うが、それでも十分に強いと思う。

「っと、エレにゃん範囲今どれくらいになってる」

「あ……」

 話に集中してたからか、範囲は半径が100メートル近くまで広がっていた。

 だと言うのに、相変わらず体には何の反応もなかった。

「だいぶ広がっちゃってるね」

「でも体は全然大丈夫です」

「ん~、想像以上に体に馴染んで来てるのかものね」

「それは良かったです」

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