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拝啓、あの世の私へ  作者: りんごあめ
第三章 覚醒編
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59話 特殊な鉱石

 詩乃がエレナを連れていき、残された悠と柚葉は静かになった部屋に放置されていた。

「嵐のように去って行ったね」

「ほんと、いつも急にきて急にどっか行くよね。何考えてるんだろ」

「前にさ、ししょーが言ってたんだけど、行動理念は『面白いから』しかないんだって」

「詩乃先輩らしいね、それ」

 突然の展開にもすっかり慣れてしまったのか、二人は落ち着いて話をしていた。

「さてと、それじゃ私たちも行こっか」

「行くってどこに?」

「九条君に頼み事しててね。悠にも知っておいてもらった方がいいと思うし」

「まぁ、そういう事なら行こうかな」

「それで、茜はいつまでそうしてるの?」

「……恥ずかしくて消えたい」

「別に気にしてないから。ほらおいで」

「ん……」

「それで、ゆずは九条に何を頼んでたの?」

 何も聞かされずついてきた悠は、部屋に着くなり疑問を口にする。

 至極当然の質問に対して、九条は机の引き出しから一本の短剣を取り出す。

「これだ」

「これって、あの時の?」

「茜が持ってたやつね。もしかしたら何かしら情報を得られるかもしれないから」

 その説明に納得したのか、悠は刃を鞘から取り出す。

 しかしその状態は悠の記憶とは離れていて、茶色く錆び切っていた。

「あれ? 前見たときは半透明の紫色だった気がするんだけど……」

「そう。たぶんこの鉱石特有の現象なんだと思うんだけど、持つ人によって状態が変わるんだよ。もしかしたらそこから何か繋がるんじゃないかって思って」

「そういう事か。それで、どうだったの?」

「結論から言うと、裏にいる人の特定は出来なかった」

 九条は申し訳なさそうにそう言う。

「最初は中央のデータベースを使って調べてみたが、一件も該当するものが無くてな。それで、実家の方に持って行って聞いてみたんだ」

「九条君の実家って……、確か鍛冶屋だっけ?」

「まぁ、今はほとんど仕事は無いがな。それで、祖父の古くからの友人に鉱石に詳しい人がいてな。直接会って見てもらってきたんだ」

 そう言って、九条は引き出しから数枚の紙を出し机の上に置く。

 それは様々な噂話のまとめられた、ある種のオカルト本の中の数ページをコピーしたものだった。

「昔、まだヴァレンタイン家が大家だった頃に、その所有する鉱山からのみ特殊な鉱石が発掘されるって言う噂があってな。その人曰く鉱石は所有者を選ぶそうで、資格のある者が触ればその人に応じた反応を示し、それ以外の人が触れば茶色く錆びるそうだ。ただ、ヴァレンタイン家の情報のほとんどは中央の奥深くに封じられているのもあって、これ以上調べるのは不可能だと判断した」

「そっか。こっちこそありがとうね、こんな変な話調べてもらって」

「ちなめにさ、もしこの短剣に使われてるのが本当にその鉱石だとして、売ったらいくらになるとかその人言ってた?」

 一通りの話を聞き終わり柚葉は今後のことを考えていたが、悠はふと疑問を投げかける。

「具体的な額は聞いてないが、裏市場でなら一生遊んでも使いきれない額は下らないとは言っていたな」

 それを聞き、悠は目を輝かせて短剣に手を伸ばす。

 しかし、悠がつかむより先に柚葉が手元に収める。

「ダメだよ。これは茜に預けておくんだから」

「そんなぁ……」

「不知火に渡さないのは賛成だが、預け先は考えた方がいいんじゃないか?」

「うーん、そもそもこれについて知ってる人が少ないから、短剣を狙った誰かに襲われるってのは考えづらいし、そもそもさっきの話なら茜は資格があるってことでしょ? なら私たちが持ってて腐らせておくよりはいいと思ったんだけど」

「そういう事なら止めないが……」

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