5話 怪しい人影
痴話喧嘩も一段落し、悠は手続きがあると退出したところで残りが机につき話し合いが始まる。
「さて、新しい被害者が出続けている訳だけど、何か意見は?」
「あの関係ないんですけど、私含め皆さん授業は出なくても良いんですか?」
「あぁ、テストさえ出来れば授業に出席する義務はないから大丈夫じゃない? エレナに関してはそもそも紫陽の生徒じゃないし」
「そうなのですか……」
「何さそのもの言いたげな顔は。言いたいことは言っておいた方が良いわよ?」
「いえ別に、珍しいなと思って」
「まぁ、他の学園じゃ聞かないかもね」
「あの! 二人とも話がどんどんズレて行ってますけど、このままだと解決しませんよ!」
話が進まない事に苛立ったみやは机をバシバシと叩き、二人の話し声をかき消す。
「会長! わかってるんですか? このままだと会長が責任取らなきゃなんですよ? 学校退学になるかもしれないんですよ?」
「それは、わかってるけどさ。でも……」
「でもじゃありません。エレナも自分の失くした記憶が気にならないんですか? このままにするんですか?」
「それは、このままは嫌です」
「でしょ? なら、何で」
「みやさん、何をそんなに焦っているんですか?」
「焦ってる? 私が? あれ。何でだろ」
話の腰を折られて冷静になったのか、みやは椅子に座る。
「すいません会長、落ち着きました」
「よかった、でもみやの言うことも本当だから」
「私もごめんなさい」
「いや、私も言いすぎた。ごめん」
少し問題も起こったが、無事話し合いの始まった生徒会室を扉一枚挟んで廊下から聞き耳を立てる人影があった。
「そっかそっか、これ本当に効果あるんだ。試せてよかった」
そう言うと人影は手に持っていた小さな宝石のような物をポケットにしまい、その場を後にする。
「ところで対策ってどうするんですか?」
「今までは見回りとかしらみ潰しに探すくらいしか出来なかったけど……。って会長それ何ですか?」
「あぁ、ちょっと良さそうな作戦を思いついたから」
そう言うと会長さんはホワイトボードに書いていたペンを置き、その作戦について説明を始める。