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拝啓、あの世の私へ  作者: りんごあめ
第三章 覚醒編
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56話 生まれつきの難病持ち

「どこで聞いたのかわからないけど、沙羅が私のところに来たのが最初だったかな。弟の病気を治してくれって」

「弟って……、環が?」

「やっぱり知らないか。環は生まれつきの難病持ちなんだよ。過去に症例もなければ治療法もない、そういう類の病気」

「そんな、どうにか出来ないの? それこそ師匠のギフトを使えば」

「無理だよ。可能性がないとは言い切れないけど、失敗すれば取り返しのつかないことになる。悔しいけど、今の人間の体って奇跡的なバランスの上に出来てるんだよ」

「そんな……」

 短い時間とは言え仲良くしていた人に迫る死に、悠は己の無力さを感じていた。

 うなだれたまま言葉を詰まらせる悠を見て、詩乃は何も言うことは無いと言いたげに続きを話し始める。

「もう次行ってもいいよね。それで、治せないなら根本から状況を変えようとした」

「根本からですか?」

「そう。原因はすぐにわかったから」

「その原因って何なんですか?」

「そうだなぁ~。せっかくだし詩乃ちゃんセンパイの特別授業しよっか」

 詩乃は机の上に乗ると、どこから取り出したのか丸眼鏡をかけ指示棒を持つ。

「では問題です。ギフトの定義を応えよ。はい柚葉」

「えっと、何かしらの危機的状況に陥った時に持つ、強い願いに反応して覚醒する異能力ですよね?」

「それだけだと50点。そもそも、みんながギフトと呼ぶものは人間の体に備え付けてある機能で、みんなが覚醒って言ってるのはただその力を閉じ込めてる扉が何かの拍子に開かれることなんだよ。だから、みんながみんな命の危機にって訳じゃない。朝起きたらなんか覚醒してたってこともあるの」

「それって、みんなギフト自体は持ってて、後はそれが使えるか使えないかって違いだけってことですか?」

「まぁ、そんな感じ。それでギフトを維持したり行使するにはそれ専用のエネルギーみたいなのが必要になる。わかりやすくすると、ギフトは電化製品でそれを動かすための電気が必要、みたいな? あたりまえだけど、人の体にはその発電器官に当たる部分も備え付けられてるよ」

「でもそれでいうと、ギフトが覚醒してないと作った電気はどこ行くんですか?」

「おぉ、ナイス指摘エレにゃん。まさにその通りで、大抵の場合分解されて他の部分に回される。ただ、ごく稀に生成の速度に分解が追い付かなかったり、そもそも分解出来ない人がいる」

「それが環の病気とどう繋がるの」

「まさに環がこの状況なんだよ。エネルギーの生成機能が平均以上な上に分解機能がそもそも備わってない。ある程度なら溢れても体に大した影響は出ないけど、それが続けばそのまま衰弱死へまっしぐら。今も生きてるのが不思議なくらいだよ」

「……そんな」

 詩乃の話に部屋の空気は重くなり、自然とみんなの口は閉じられる。

 そんな中、柚葉がふと疑問を投げかける。

「あの、一つ気になったんですけど。八重姉妹は元々白陽に居たんですよね? なんで紅輪学園に行ったんですか?」

「それが、ある時噂を聞いてね。紅輪の久遠桜が裏でクローンの研究をやってるって」

「それって……、冗談ですよね」

「私も最初はそう思ったけど、もしそれが本当なら環を助けられるかもしれない。だから沙羅と紗奈に紅輪に行って調べてきてもらってた。まぁ、結果として実験の内容がメモされたノートは見つかったけど、内容が全く分からなくてね。再現のしようがない」

「それじゃ、環はどうなるんですか!?」

「他の方法がなきゃ死ぬだろうね。それも遠くないうちに」

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