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拝啓、あの世の私へ  作者: りんごあめ
第三章 覚醒編
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45話 内1名死亡 1名意識不明①

 八重が来た次の日の晩、柚葉は約束の時間を前に部屋で考え事をしていた。

「神楽……、今の私でどこまで通じるんだろう」

 遠くを見る柚葉は無意識のうちにすぐ横で寝息をたてる茜の頭をなでていた。

「さてと、もう行かなくちゃね」

 そう言って、柚葉は立ち上がろうとするが、茜に手をつかまれる。

「……どこ行くの?」

「ごめんね、起こしちゃった? これから用事があるから、茜はもう寝てるんだよ」

「それって、昨日言ってたとこ?」

「そうだよ。とっても大事な用事だから」

「やだ、行かないで」

 そう話す茜の目はわずかに潤み、手は震えていた。

「もしかして、聞いてたの?」

「ごめんなさい」

 柚葉が何かしゃべろうとするが、それより早く誰かが部屋のドアをノックする。

「ゆず? もう時間だけど」

「ごめん、すぐ行く。とりあえず、茜も手を放してちょうだい」

 そう言われ、少し悩んでから茜は手を放すと、ドアの方へかけていき勢い良く開ける。

 まさか茜が出てくるとは思わなかった悠はあっけにとられるが、茜はお構いなしに言葉を投げる。

「もしお姉ちゃんに何かあったら絶対に許さないからっ!」

「ちょっとっ」

 柚葉は茜を止めようとするが、悠はしゃがむと小指を茜に向けてだす。

「良いよ、約束する。ゆずは死んでも守る」

「絶対?」

「絶対。これでもちゃんとした約束は一回も破ったことないから」

「……わかった」

「良し。それじゃあ部屋でいい子で待ってるんだよ」

 そう言って悠は茜の頭を優しくなでると、部屋へと入れる。

「なんであんな約束したの」

 外へと向かうため歩いていると柚葉が尋ねる。

「どうもこうも本心だよ。神楽家相手だと共倒れもあり得る。もしそうなったら僕は柚葉を優先する。それだけだよ」

「……そう」


 紫陽学園と紅輪学園のちょうど真ん中らへんにある小山の中腹にその場所はあった。

「それでは、よろしくお願いします」

 近くの木陰に身を潜ませ、沙羅は二人へと頭を下げていた。

「別に、頭を下げる必要はないでしょ。そもそもこっちにとってもメリットがないわけじゃないし」

「ちょっと、悠は今は黙ってって」

「え?! なんで?」

「なんか気が抜ける」

「なにそれ、酷くない?」

「酷いとかないでしょ、事実なんだし」

「そんなぁ」

「それで、中の案内は八重さんに任せるで大丈夫なんですよね?」

「はい。ただ、細かいところまではわからないので、一回メインルームによります。そこからなら施設内の全ての状況がわかるので」

「わかりました。悠ももう行くよ?」

 問いかけに対し、悠は縦に頷いて答える。

「なんで黙ってるの?」

「だって、黙ってろって言ったじゃん」

「あぁ。もういいや」

 そして時を同じく、柚葉たちが話している場所と建物を挟んで反対側。

 建物へと向かう道の端に二つの影があった。

「みやさん、何してるんですか?」

 しゃがみ込み、猫と向き合っているみやに対し、エレナは尋ねる。

「うーん。ねぇエレナ、この黒猫目の色がきれいなエメラルドグリーンなんだけど、可愛くない?」

「何してるんですか」

「はぁ、寮が動物OKだったら連れて帰りたいなぁ」

「でも、その子首輪してません?」

「本当だ。暗いし首輪の色も黒だから気づかなかった」

「もう、寄り道してないで行きますよ。早くしないと会長たちが始めちゃいますから」

「ほーい」

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