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拝啓、あの世の私へ  作者: りんごあめ
第二章 白陽総合学園編
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36話 夜の学校

 その晩、三枝さんから話を聞いた私は生徒会室で書類の整理をしていた。

 そろそろ終わりにしようかと思い片付けを始めた頃、ふとドアの方に目をやると無言で悠さんが立っていた。

「うわっ!! 驚かさないでくださいよ」

「ごめん。そんなつもりはなかったんだけど」

「そうだ、環さんが倒れて、今病院に」

「うん。話は大体聞いてる。その事でさっきまで先生達と話してた」

「そうですか。じゃあなんでここに?」

「あのさ、この後時間ある?」

「どうしたんです急に。それに、もう寮の門限が来ちゃいますけど」

「寮の方は先生からの頼み事だから大丈夫。少し手伝って欲しいことがあって」

「手伝うって何を」

「ちょっと話は長くなるんだけど……」

 悠さんの話をまとめるとこうだった。

 数ヶ月前から定期的に夜中に教室が使われた形跡があり、その犯人を探してほしいと頼まれたらしい。

「先生たちも思いつく限りの方法は試したらしいんだけど、ダメだったからって」

「事情はわかりましたけど、手伝うって何するんですか?」

「一言で言うと校舎を燃やす」

 寮の門限が過ぎた事を確認すると、私たちは場所を廊下の端へと変え、準備をしていた。

 悠さんは途中で廃材らしき木の棒を拾うと一本を私に渡す。

「燃やすって、本当にするんですか?」

「そうだよ。ただ、使う炎は特別なやつだけど」

 そう言い悠さんは私の持つ木の枝の先の手をかざして炎をつける。

 つけられた炎は青かったが、いつまで経っても熱は感じず木の棒が黒く焦げることもなかった。

「これは」

「僕のギフトは炎を自由に操れる。まぁ加減を間違えたら大惨事になるけど」

 いつもと違って真面目は顔をしているからか、冗談なのか本気なのかがわかりづらい。

 そんな事を考えてると悠さんはもう片っぽの棒にも火をつける。

「うん。ちゃんと調整出来てるね」

 悠さんは棒が燃えていない事を確認すると私の持っていた棒を取り、炎の量を増やしていく。

 私は離れたところから見ているとふと視線を感じ、振り返ると物陰からこちらを覗く人影と目が合った。

「あ……」

 人影は目が合ったことに気づくと、慌てたように廊下を駆けてその場を離れようとする。

「ちょっと! 待って!!」

「どうしたの?」

「多分見つけましたっ!」

 全速力で追いかけるが、電気がついていなくて学園祭の飾り付けが散乱している校内では見失わないようにするだけで精一杯だった。

 しばらく追っかけっこを続けてると、人影は教室へと入る。

 直後に私も入るが、何度見回してもあるのは資材の山で、人影は見当たらなかった。

「ここ?」

 少し遅れてきた悠さんも同じように教室を見回す。

「はい。ここに入ったのは見たんですけど……」

「いや。そこまでわかればもう大丈夫」

 悠さんは部屋の中心へと行くと、目を閉じる。

 しばらくすると、部屋のあちこちからポツポツとさっき見たばかりの青い炎が現れ、あっという間に部屋中に広がっていった。

 ただ、さっきと違い炎は熱を放っていて、まるで火災現場にいるような錯覚が起こる。

「見つけた」

 そうボソッと呟くと、悠さんは部屋の隅の方へと歩いていき、壁の前でしゃがむと柔らかい声で語り出す。

「こんばんは。こうして話すのは4年ぶりだね、出雲心音さん」

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