31話 怖がられてる?
「さっきの出雲さんって有名な方なんですか?」
「そっか、紫陽にいたら知らないか。元子役だったんだけど、ある日急に居なくなってね」
「それは、引退したってことですか?」
「いや、家族も事務所も居場所を知らなくて、神隠しって言われてたね。それが、白陽の入試を受けてて少しざわついたんだよ。しかも、空白の数年間の事を聞いても旅に出てたとか、ずっと家にいたとか毎回適当な事言っててね。まぁ、そのうちみんな気にしなくなったけど」
「へぇ、そんな事があったんですね」
「さて、それじゃあ僕は調べ物しに連邦会に行ってくるから、エレナちゃんは続けて聴き込みしてきてもらえる?」
「わかりました」
とはいっても、どうしたものか。
ここに来てから行く先々でちらちらと見られて、誰も目を合わせようとしない。
何でだろう。
紫陽の生徒だからって警戒されてるのか?
そんな事を考えていると後ろから手で目隠しをされる。
「どうしたの? そんな顔して」
「その声は……三峰さん? 何でここに」
「なんか困ってそうだし〜」
「それもそうですけど、演劇部の子はどうしたんですか?」
「え? 2人と話してるの見てたからもう帰したよ」
「見てた? どうやって?」
「私のギフトはね、あらかじめ決めた場所を離れた所から見れるの。監視カメラなんかがイメージしやすいかな〜」
なるほど、見てたってそう言うことか。
「それでぇ、何か困ってそうだけど話聞こうか〜?」
「それが……」
「なんだぁ、そんな事か〜」
「そんなに軽いんですか?」
「だって、エレナちゃん怖いんだもん」
「え? そうですか? そんなにだと思いますけど」
「あぁ、そうじゃなくて。雰囲気? がねぇ。妙にピリピリしてるっていうかぁ。空気に馴染んでない感じ?」
「それは、一応お仕事ですし」
「それだね。知らないかもだけど、紫陽と白陽のパワーバランスは圧倒的に紫陽の方が上だから、急に紫陽の生徒がピリピリして来たら『何かあるのかっ!!』て警戒するのは当然だと思うよ〜」
「でも、それって建学した時の話ですよね。もう何十年も前って聞きましたけど」
「まぁ、そうなんだけどねぇ。プレイヤー以外もここで学べるのは紫陽のお陰なのは事実だからねぇ。多かれ少なかれみんな感じてると思うよ〜」
「だとしたら尚更、空気に馴染むって難しくないですか?」
「そうっ。だから、これを着ようっ!!」
そう三峰さんが鼻息を荒くしながら取り出したのはミニスカのメイド服と猫耳のカチューシャだった。
というか、どこから出した。
それに。
「これっ、丈短すぎません?」
「いやぁ、被服部で作ったは良いけど、実行委員からストップかけられちゃって使えないんだよ〜。だから、せめて供養だけはちゃんとしてやらないとって思って〜」
「何でですか!」
「だって、エレナちゃんなら似合うと思って〜」
「いやですよ! こんなの着れないです!! って言うか、実行委員から止められてるなら、なおさらアウトじゃ無いですか!」
「そう言わずにさ〜。バレなきゃ大丈夫だって」
「それ絶対バレるやつじゃないですかっ!」
そんなこんなで私の白陽総合学園での1日目は終わった。




