29話 涙の再会?
「いや〜ごめんね、僕のわがままに付き合わせて。あんな空気だと断りづらかったでしょ」
生徒会室を出て悠さんは最初にこんな事を言った。
それは、あの空気だと断れないけど協力したいって気持ちは本当だし。
「とはいえ、どこから手をつけるかなぁ」
「そうですね。あの紙を誰が送ったのかも気になりますし、そもそも爆破の脅しが嘘だと決まった訳では無いですし」
「そこなんだよなぁ。あれが嘘だとわかれば手っ取り早いんだけど」
そんな事を話しながら校内をぶらぶらと歩く。
校内では至る所で学園祭の準備が進められていた。
「そう言えば悠さんはここの会長さんとお知り合いなんですか?」
「そう言えば言ってなかったか。いつだかさ僕の研究のこと話したじゃん。あれここの施設借りてやってるんだよ」
「あぁ、それで」
「いやー、みんな元気にやってるかなぁ」
「そんなに時間たってないと思いますけど」
「そうなんだけどね、何とも言えない心地よさがあったんだよ」
「へぇ、そうなん……。え?」
「そうそう、こんな感じで良くじゃれあってね。え?」
「やっと見つけたっすよ」
先まで普通に話していた悠さんは、気づけばメイド服の少女に組み伏せられていた。
ん、少女? 本当に女の子か?
「さあ、観念するっす」
「やぁ、久しぶりだね千晴。ところで、その服は?」
「こっ、これは。先輩達に……。その、無理矢理」
その後もボソボソと呟く千晴の肩を何者かがガシッと掴む。
「みーつーけーまーしーたーよー、どこに行くのかなぁ?」
「ひゃぁっ」
「ほらほらこっちに来てくださ〜い。もっと可愛い服が沢山ありますよぉ」
悠を組み伏せていた千晴の腕はあっという間に肩を叩いた生徒によって逃げられないように拘束さていた。
「うー、先輩へるぷっす。たすけてっすー!」
「先輩? あれ! 不知火君だぁ。いつの間に戻ったの〜?」
「ついさっきね。でさ、何で千晴はメイド服着せられてるの?」
「自信作なの〜。前々から、女装の才能あるって思ってたんだけど。どお? 予想以上に良いと思わない?」
「あ、なるほど。じゃあさここのフリルなんだけどさ」
「あぁ、そこはこだわりがあってね〜」
「ちょっと、何話してるんすか。助けろっすー」
何だろう、この話に置いてけぼりな感じ。
なんか、ものすごい既視感。
「はあぃ、芸術科3年三峰小春だよ〜。よろしくね〜」
「技術科2年生の高木千晴、一応男っす」
「んん〜」
「あ、ちょっと。やめろっすー」
私達は作戦会議をするのも兼ねて、悠さんの使っていたというラボに場所を移した。
三峰さんは高木さんを膝の上で抱えながら頬擦りをしている。
ん、芸術科? 何で。
「何で私がって顔してるね〜。それは〜、これでも白陽じゃ数少ないプレイヤーの1人なのですよぉ」
「いやぁ、単身来たのはいいものの、よく考えれば実験台になってくれるプレイヤーのこと忘れてたなって。プレイヤーが少ないとは聞いてたけど、ここまで少ないとは思わなくて。苦労したよ」
実験台って……
「自分のギフトを使うのじゃダメなんですか?」
「いやー、最初に試したんだけど、僕のギフトには耐えきれないみたいで石が爆散しちゃってね」
そう言うとケラケラと笑い出すが、恐らく本人は悪気は無いのだろう。
三峰さんは抱えていた高木さんを下ろすと笑顔で悠さんへと近づいていく。
ただ、その目は全く笑っていなく、どこからか取り出したハリセンで悠さんの頭をパシパシと叩く。
「ちょっと、小春さん? 何をされてるのかな?」
「そうですよねぇ。さぞかしお強いんでしょうからねぇ」
「えっと。僕のギフトは身体強化じゃ無いから普通に痛いんだけど」
「何か言いましたか?」
「いえ」




