26話 いざ白陽総合学園へ①
紫陽学園も夏休みに入り、生徒は思い思いに時間を過ごしていた。
友達と遊びに行く者、実家に帰省している者、1日中工房にこもっている者。
皆、それぞれの方法で夏を満喫していた。
一方私はというと。
「動きが遅れてるぞ!」
「はいっ」
体術の授業の補修を受ける為体育館にいた。
今まで体をあまり動かしてこなかったからか、激しく動くと直ぐに息が上がってしまっていた。
実践形式での練習なのだが、相手の茜ちゃんの動きが凄すぎてついてくだけで精一杯だった。
「おいっ、年下に遅れをとってどうするんだ!」
「はいっ」
「おー、やってるやってる」
「なんだ宮矢。お前もやるか?」
「冗談やめてください。ただでさえ暑いのに、これ以上汗かきたくありません」
「ここは涼しいはずだが」
「そんな事より、少しエレナ借りて良いです? というか借ります」
「まあ、良いか。よしっ、2人とも! 少し休憩しよう」
先生の掛け声と同時に茜ちゃんの動きが止まる。
多少息が上がっているものの、まだまだ余裕そうだった。
一方私はフラフラと壁際まで歩き、壁に寄りかかり座る。
「お疲れ様」
「みやさん、来ていたんですか」
「そう、ちょっと急ぎで聞きたいことあって」
「何ですか?」
「この前さ、白陽の文化祭に生徒会が行くって話あったじゃん。少し事情が変わって、エレナには1週間くらい前から行って貰いたいんだけど、良いかな」
「私は別に構いませんが、何かあったんですか?」
「何かあったというか、何もない確認をしたいというか……。詳しい事はまた後日になるけど」
「ちなめに、それって私1人ですか?」
「いや、多分悠さんが一緒に行くと思う」
「そうですか」
それなら良かった。
流石に1人は心細い。
「それじゃあ、私はこれで。頑張ってね」
「はい」
「もしもし、会長。エレナ行ってくれるそうですよ」
「そう、それは良かった。音葉には私から返事しておく」
「しかし、あの2人で大丈夫なんですかね? なんなら私も」
「はぁ、みやがエレナの事気にかけてくれるのはありがたいけど、ちょっと過保護気味じゃない?」
「別にそんな訳じゃ」
「それに悠だって居るんだから。きっと大丈夫だよ」
「何ならそこが1番不安なんですけど」
白陽総合学園へと行く日、正門へ行くと悠さんと会長が話をしていた。
そして、当然のように会長の腰には茜ちゃんが抱きついている。
もしかして、1日中そうしてるのかな。
「すいません、お待たせしました」
「よし、それじゃあ行こうか」
白陽総合学園は紫陽学園から電車を使えば20分程度で行ける距離だが、向こうにいる間は寮の部屋を借りて過ごす事になった。
「いやー、僕が居なくなると寂しくなるねぇ。ね、ね、ね?」
「エレナ、悠がうるさかったら言ってね。後でしばいとくから」
「またまたぁそんなに照れちゃって、ゆずは可愛いなぁ」
「ダメです。お姉ちゃんはあげません」
「はいはい、茜は少し静かにしてようねー。悠も、任せたよ」
しばらくこの雰囲気と別れると思うと少し寂しい。
それでもやっぱり新しい場所に行くのは楽しみだ。
「うん。それじゃあ、行ってくるね」
「行ってきます!」
「はい、行ってらっしゃい」




