22話 教科選択
紫陽学園のカリキュラムは一般的な物と比べると異質な物になっている。
生徒は学年の最初に必修科目と選択科目から好きな教科を選び、そのテストを年に5回受ける。
授業に出席義務は無いが、正当な理由のない欠席が規定の回数を越すと単位の認定難易度が跳ね上がり、噂ではテスト等の点数が満点に近くないといけないと言われていて、授業に出ない生徒はほとんどいない。
つまり、生徒会の仕事があるとは言え授業に出てない生徒会の面々は、めちゃくちゃ頭がいいと言う事になる。
のだが。
「ふふっ、どこで聴いたのそんな話。それに私たちだって出てる授業はあるよ」
教科選択のことを相談しに生徒会を訪れると、みやさんが笑いながら否定する。
「その噂は会長と双葉さんのせいだね。2人ががいつも満点ばっかだからそう言われてるだけ。確かに、授業出てないと厳しくはなるけど、学校だって鬼じゃないし。まぁ、そもそも紫陽のテストってもの凄い難しくて、授業も進むの早いから、ついてくだけで結構すごいんだけどね」
「それ、私置いて行かれません?」
「はははっ、どうだろ。でも、いざって時は私たちが面倒見るし」
「ううぅ、そうならないよう頑張ります」
生徒会室でみやさんと教科選択について話ていると、扉がノックされる。
みやさんが扉を開けると、そこには意外な人が立っていた。
「あの、お姉ちゃん居ますか?」
静かに立つ茜ちゃんに私は驚きを隠せないが、みやさんは知っていたらしく中へ招く。
「ごめんね、まだ来てなくて。そこに座って待ってて」
「いえ、すいません。失礼します」
そう言い茜ちゃんが席に着くとほぼ同時に、再び部屋のドアが開けられる。
「ごめん、少し遅れた」
「いえ、ちょうど来たばっかですよ」
「お姉ちゃん…」
2人が見つめ合う中、部屋の空気が重くなったのを感じる。
正直な話全く状況が見えてこないが、この空気の中そんな事を聞く余裕はなかった。
そんな中最初に口を開いたのは茜ちゃんだった。
「連邦会の方から話は大体聞きました。その、すいませんでした」
「そう。今回は無くなった記憶もちゃんと戻ったし、怪我人もほとんど居なかったから良かったけど、一歩間違えたら取り返しのつかない事になってたかもしれないんだよ。って言っても洗脳されてたんじゃ仕方ない面もあるけど」
「それでも、私のせいでたくさんの人に迷惑かけて…」
「まぁ、それを分かって反省してるならこれ以上は言わないよ」
「ちょっと待ったあぁぁっ!」
「ちょっと、みや。急に大声出さないで」
「私を吹っ飛ばしたの忘れたとは言わせないよ! あれ結構痛かったんだから!」
「すぐに痛みが引いたって聞いたけど?」
「それでもです!」
予想外の反撃だったのだろう、わざとらしく背中をさするみやさんに茜ちゃんはそわそわとする。
「えっと…。すいませんでした!!」
「そんなんじゃ私の痛みは治らないよ」
「それじゃぁ……、私を一発叩いてください!!」
「えっ!? 茜、何言ってるの?」
突拍子もない提案に会長さんはあっけに取られるが、本人は真面目なんだろう。
「よし、それで手を打とう。表に出な!」
「え、みやも? ストップストップ」
意図しているのかしていないのか、先程とは一変、重い空気が取り払われ生徒会室はいつも通りの賑やかさを取り戻す。




