21話 その後
あれから1週間、事件は一段落付いたものの生徒会の面々はそれまで以上の忙しさに追われていた。
学内に居たと思われる内通者は見つけることができなかったが、記憶の無くなった生徒は悠さんと双葉さん、連邦生徒会の尽力あって無事に記憶を取り戻すことができた。
だが、私が失った記憶を取り戻すことはできなかった。
たぶん別の原因があるんだと思う。
だけど私の生活もこの間で大きく変わることなる。
「初めまして、エレナです。今日からよろしくお願いします」
紫陽学園の一室、転入する事になった私は早速教室で挨拶していた。
生徒の間で噂が広まっていて、記憶も戻らなかった以上生徒として生活しても問題ないだろうと言うことで、高等部の2年生に転入する事になった。
なんで高等部の2年生なのかはよくわからない。
生年月日がわからない為、生徒会で学年を決める時満場一致で2年生になった。
どうやら一番しっくり来たのが2年生らしい。
ただ、転入生自体が少ない学校なこともあり。
「エレナさんはどこから来たの?」
「その髪色と目の色って天然? とても綺麗ね」
「エレナさんはどんなギフトなの?」
「授業は何を取るか、もう決めた?」
「あの、えっと……」
昼食を取ろうと食堂に行くたびに質問攻めに合っていた。
「はいはい、皆さんそのくらいにしてあげて。エレナさん困ってるでしょ?」
「まぁ聞きたい気持ちはわかるけど、この位にしてあげて」
困っていると、見かねたのか会長さんと、担任の清水先生が生徒を止めに入る。
ただ私は気づいているぞ、会長さんは少し離れたところからこの様子を観察して楽しんでいたことを。
「やば、清水だ。逃げろ!」
「あ、ちょっと! 待ちなさいっ!」
散り散りに去る生徒を清水先生が追いかけるが、すぐに諦めて戻ってくる。
「うう、逃げられた」
「そりゃそうだよ。あの人数相手じゃ」
「そうだけど……」
「あの、2人ともありがとうございました」
「まぁ転入生が珍しいだけだから」
「でも」
落ち込む清水先生の頭を会長さんがなだめる様に撫でる。
「2人は仲が良いんですか?」
「そう見える? でも、最初に会ったのは戸田さんが中等部の頃だから……もう5年?」
「そうなるのか。色々あったなぁ。いつだか彼氏に逃げられた時は一晩中慰めたこともあったしね」
「ちょっと、もうそれ忘れてって言ったじゃん!」
「いやぁ、『私、遊びだったのかなぁ』だっけ。今度エレナにも詳しく話してあげるね」
「ちょっとぉ……」
求める反応を得られて満足したのか、会長さんはケラケラと笑っている。
そして清水先生は取り繕うのを諦めたのか、頭を撫でられているのをそのままに私の向かいに座る。
「さて、気を取り直して真面目な話をしよう」
「真面目な話、ですか」
「そう、エレナさんは正式に紫陽の生徒になった訳で」
そう言いながら清水先生は持っていたファイルから冊子を取り出す。
「教科選択をしてもらいます。出来れば明日中に出して欲しい」




