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拝啓、あの世の私へ  作者: りんごあめ
第一章 紫陽学園編
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15話 目指せ犯人②

 みやさんと私はは月明かりのさす街中を全速力で担がれていた。

「うわあぁぁ、何なんですか? これー!」

「悪いけど、ちょっとだけ我慢してね。これが1番早いから」

 鎖を自在に操れる会長は私たちにそれを巻きつけると、そのまま他の鎖を使い移動していた。

 ただ、その速度が尋常じゃなくて、多分車と同じかそれ以上出てるんじゃないかな……

『200m先、右手に公園の入り口。その奥の噴水広場から反応がある。くれぐれも気を抜くなよ』

「わかった。九条くんは連邦会の方任せたよ」

『ああ、できる限りはやってみる』


 私達が広場に着くと、しゃがんで噴水を覗き込むローブ姿の人影があった。

 会長が話をしようと近づいて行くと、少女はその場から離れようとするが、会長がローブを捕まえ剥ぎ取る。

 少女の顔が月明かりに照らされると、私達はその場に呆然と立ちつくす。

「あーあ、予定より前に見つかっちゃった。もっと準備を済ませてから迎えに行こうと思ってたんだけど」

「うそ、何で茜が」

「フフフ、そのビックリした顔も最高に可愛いよ、お姉ちゃん」

「全部、茜がやったの?」

「そうだよ、全部私とお姉ちゃんのため。だからね、頑張ったんだ。偉いでしょ? もうお姉ちゃんの陰にいる私じゃないの」

「なんで? 何が私の為なの? 沢山の人傷つけて!」

「あぁ。お姉ちゃんさ、何か勘違いしてしてない? 別に、私はあれ全部殺しても良かったんだよ? でもそうするとお姉ちゃん悲しいかなって思って。私さ、お姉ちゃんの悲しい顔も好きだけど、笑ってる顔の方がもっと好きだから。予定より早いけど……」

「いちゃついてるとこ悪いけど、こっちの事無視しないでっ!」

 掛け声と共に、宮矢は腰のポシェットから数個のボールを取り出すと、思いっきり投げつける。

「ボール?」

 茜が足元に落ちたボールを拾うと、目の前で破裂し辺り一体を色とりどりな煙が覆う。

「何これっ!見えないっ!」

 だが、開けた場所だったと言うこともあり、煙はすぐに晴れていった。

 茜がいくら確認しても、さっきまでいた姉の姿はもちろん人の姿は確認できなかった。

「なんで、どうしでっ!」


 煙が晴れると、倒れた茜ちゃんの拘束をみやさんが、私と会長はみやさんの複製したワイヤーと鎖を繋いでいた。

「そっちはどう?」

「言われた通りにできました」

「こっちはもう少しですー」

「よしっ。そしたら」

 話をしながら宮矢は拘束を進めていくが、あと少しと言うところで茜が目を覚ます。

「うそっ、いくらなんでも早すぎる!」

 茜は拘束をそのままに、身を引いた宮矢を力任せに蹴り飛ばす。

「みやさんっ!」

「エレナはそこにいてっ」

 木に打ち付けられた宮矢はそのまま倒れそうになるが、拘束を解き追ってきた茜によって木に押さえつけられ首元には短剣の刃が当てられる。

「私とお姉ちゃんの邪魔しないで」

「悪いけど、そのお姉ちゃんのお願いなんだわ」

「そう。じゃあ死んで」

 そう言って腕を振ろうとしたが、鎖に絡まれて動かすことができない。

「なんで邪魔するの? お姉ちゃん」

 動きが止まった一瞬で柚葉は宮矢をその場から遠ざけ茜の四肢を拘束する。

「私さ、ちょっと嬉しかったんだよ。どんな理由であれ、茜が私に会いに来てくれて、また私のことお姉ちゃんって呼んでくれて」

「ならっ、一緒に居よう? また2人で」

「それは、出来ないよ」

「なんで。わからないよっ! なにがそんなに嫌なの? 不満があるならなんでも言って! 全部直すからっ!」

「違うよ。私も茜と一緒に居たい。けど、その前にやらなきゃいけないことがあるの」

「ならもう良い。力づくでもっ」

 茜は亀裂が入るほど強く地面を蹴ると柚葉へ向かって一直線に飛んでいくが、柚葉は茜の脚に鎖を絡ませると茂みの方へと放る。

 そんな事を何度も続けた結果茜の体中にはいくつもの傷ができ、血が滲んでいた。

「茜、もう大人しくして。もうこれ以上ケガをさせたくないの」

「ケガ、心配してくれてるの?」

 茜はフラフラと、何かを悟ったように立ち上がる。

「そうか。最初からこうすれば良かったんだ。バイバイ、お姉ちゃん」

 そう笑いながらつぶやいた茜は地面に落ちた短剣を拾うと、躊躇いなく自らのお腹に突き刺す。

 倒れる様に膝をつく茜のお腹からは血が絶え間なく流れ出て地面を赤く染めていく。

 柚葉は茜のそばに駆け寄ると短剣を抜き止血しようとするが、茜がその手を握って止める。

「ハハッ……やっと、おねえ……ちゃんが」

「うるさい、喋らないで。絶対死なせない。エレナ手伝って!」

「はっ、はい!」

「もう、だめだよ……」

「ダメ。このまま死ぬなんて、絶対に許さない」

「やっぱり……おねえちゃんは、おねえちゃんだ」

「なにバカなこと言ってるの。私はずっと茜のお姉ちゃんだから。だから、茜もちゃんと生きてい罪を償って」

「そっか……よかった」

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