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拝啓、あの世の私へ  作者: りんごあめ
第一章 紫陽学園編
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14話 目指せ犯人①

「いやー、疲れた疲れた」

 柚葉に宮矢を探すよう頼まれ校内を一周した悠は、寮へ行こうと校門の前を通るとふと何者かの視線を感じる。

 視線の主を探し見渡すと校門の隅で顔を覗かせる顔をローブで隠す少女を見つける。

「えっと、何か用ですか?」

「あの、これ」

 そう言って少女が差し出すのは片手に収まるほどの大きさの布袋だった。

「これは?」

「この前、説明会の時に拾った落とし物です。あの時は色々大変で渡せなくて……」

「そっか、ありがとう」

 受け取ろうと差し出された手に少女は袋を乗せる。

 袋が手に触れた瞬間、悠の体を凄まじいめまいが襲い、体のバランスを崩した悠は袋を床に落とすと少女の手首を掴む。

「あちゃー、流石にやり過ぎちゃったかな……。大丈夫?」

「何をしたっ!」

 先程までとは対照的に明るく笑う少女を絶対に逃す訳にはいかないと、悠は少女の腕を握る手に力を込める。

「何って、知ってるでしょ? だってあなたが作った物だよ?」

「そんなのは……」

「あれ。気絶した?」

 少女は悠の手を振り解くと爪先で軽くつつく。

「うーん、せっかくだしもうちょっと遊んで帰るかなぁ。ていうか強く握りすぎ。アザになったらどうしよう」

 少女は手首をさすりながら再び袋を取ると、たまたま通りがかった生徒数名に同じ事をし、意識が無くなった事を確認するとその場を立ち去る。


「ここは……」

 悠が目を覚ますと外はすっかり日が落ちきっていて、時計を確認するとちょうど10時を指していた。

「ん、起きたか」

「九条? なんでここに」

 悠が起きたのに気づくと九条は読んでいた資料から顔をあげる。

「ここは、病院?」

「ああ、体に不調はあるか?」

「少し怠いくらい」

「そうか、ならよかった。何があったか覚えているか?」

 悠は何が起こったのか出来るだけ細かく話す。

「そうか、じゃあ周り倒れていた他の生徒の事は知らないのか」

「他の生徒? うん、多分僕の後に狙われたんだろうね。その子達は怪我はしてない?」

「ああ、怪我はしてない。だが、記憶が無くなっててな」

「記憶が……それって」

「おそらく、お前が会ったのが記憶喪失事件の犯人だろう」

「じゃあ、何で僕だけ記憶喪失になってない?」

「そんなの俺に聞くな」

 そう言うと九条は広げていた資料を片付けはじめ、部屋を出る準備をする。

「そう言えば、発信機つけた」

「発信機?」

「そう、九条にこの前もらったやつ」

「犯人にか?」

「急いでたし、もしかしたら途中で壊されてるかも」

「いや、それでも十分だ」

 九条は急いで荷物をまとめると、駆け足で部屋を後にした。

 部屋に1人残された悠は、再びベットに横になる。

「あと30年ちょっとか。どうしたもんかな」

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