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透明な烏賊の刺身(続き)

「考えてみれば、直径60mだっけ? 気球の大きさ。 最初、バス3台分なんて表現だったけど、でかすぎるよね?」


「よっぽど、重いものを飛ばそうとしていたという事ですよね」


「EMP爆弾っというものがどういう仕組みかは詳しくはわからないけど、電池が重いんじゃないかな。まぁ勝手に推測するなら、直前に一気に充電して限界まで来たら、放電爆発して、周りの電気装置をぶっ壊こわす」


「気球だったら、作るのにそんなに費用は掛からないでしょうね。撃墜する側の方が費用が掛かりそうですね」


「今まで、EMP爆弾の問題の一つとして味方の装置を壊さないでどうやって爆発させるかというのあったんだ、爆撃機からの投下を考えていたらしいんだけど、投下した爆撃機にも影響が出る可能性が無いわけじゃないから」


「じゃぁ、今回中国はアメリカに使い方を教えちゃったような感じですね」

 洋ちゃんは、ビールを一口飲みこんだ。



「それで、午前中に、ネットでニュースを見たら、面白いのが載ってたんだ」


「どんな内容なんですか?」


「米国は、気球の分析状況を報告する義務があると中国が言ってるらしいんだよね」


「どんだけ、高いところから目線なんだよって感じですね」


「勿論アメリカは、そんなのガン無視なんだけど、笑っちゃうよね… 気候観測衛星だって言ってるんだから、分析報告なんて必要あるわけないだろうに。いかにも『どこまでばれちゃったの教えて…』って言っているみたいだよね」


「それを高いところから目線て言うのが中国らしいですよね」


 洋ちゃんのお皿を見ると、先ほどお出ししたお刺身は食べつくされていた。 グラスも空いている。


「次は… どういたしましょう?」

 俺はお皿と、グラスを指して言った。


「さっきの、烏賊が美味しかったんで、それで何か… いけますか?」


「う~ん、素材がいいから、何でもいけるよ。ソテーでも、烏賊リングでも、〆には烏賊飯なんてのもあるけど」


「ちょっと、おなかが空いているいるので、烏賊飯をお願いします」


「烏賊飯は、ちょっと時間がかかるから、その間に塩辛なんて…」


「お願いします」


「お酒は如何いたしましょう?」


「若いバランタインを水割りで…」


「承知いたしました」


 まず、水割りを作って、冷蔵庫から作っておいた塩辛をお出しして、もう一度バックヤードに入った。


でも内心俺は、このメニューだったら、日本酒とか焼酎とか会いそうだよなぁ… と思ったりした。 …けど、美味しい日本料理を洋酒、特にウィスキーで食べてみたい、そんな店がないから、俺が作ろうと思ったんだよなぁ。


ここで、淡泊な若いバランタインをオーダーするとは洋ちゃんも結構な洋酒好きだなぁ…


 烏賊飯ってのは、実際に作ってみると、そんなに難しい料理ではないんだ。

 ざっくり説明すると、烏賊の胴体にお米… もち米を使う事が多いんだけど、うちではササニシキも少し入れて、具材… は何でもいいんだけど、椎茸とか根菜類の野菜とか入れて、酒・みりん・醤油・砂糖・水などで炊く。具材にゲソやエンペラを入れても良いね。ちょっと時間はかかるけど、あんまり失敗はないかな。


 炊いている間、おれは又カウンターに戻った。


「マスター… この塩辛も美味しいですね…」


「ありがとう。 そう言っていただけると、正直に嬉しいよ」


「で、日本ではたかが気球と言って『気球に聞いてください』と言ってたのが、今になって実はやばかったんじゃって話になっているけど、結局EMP爆弾の話はないよね。最も深刻すぎて公にできる話じゃぁ無いんだけど、それでも報道の雰囲気としてEMP爆弾のヤバさっていうか、緊張感無いよねぇ」


「僕の知り合いなんか、北朝鮮のミサイル日本に落ちたら良いなんて言ってる人がいるんですよ」


「なんでだい?」


「そうしたら、9条があるから日本は安全なんだと言っているお花畑の人も目を覚ますんじゃないかって事です」


「まぁ、ミサイルはともかく、平和的に過ごしていた、ウクライナにロシアが責められたのを見て、9条だけじゃヤバイと思ったお花畑の人はいるよね」


「多分、多くの人が『9条があるから日本は戦争に巻き込まれない』という、のに疑問を持ったと思いますよ」


「あと、気が付かないのは、『信者』だけだね」


「信者ですか?」


「そう、『9条』を盲信している人。 この人達は、何があっても9条があれば、戦争に巻き込まれないと思い込んでいる。まぁ思い込みたいのかもしれない。さっきの話じゃないけど、この人達は、日本にミサイルを落とされても、それは『誤爆』だ日本は戦争に巻き込まれないと信じたい人達だろうね。もし巻き込まれても『話し合いで解決できる』とか言っているよね、きっと」


「そういう人達って本当に居ますよね、でもどうして、そんな風に考えちゃうんでしょうかね?」


「日本の教育がおかしいところがあるんだ」


「教育ですか?」


「洋ちゃんは、2次大戦中日本は、半島を侵略して、台湾とともに植民地にした… 日本人はあちこちで悪いことをしたんだ… なんて学校で教わらなかったかい?」


「教わりました」


「それで、日本は悪いことをした、悪いことをした、と徹底的に教え込んで。戦争は悪いこと、戦争は悪いこと、巻き込まれないように我々には平和憲法があるから、戦争に巻き込まれないと、学校で教育したんだ」


「…」


「日本は確かに半島を日本に併合したし、台湾も日本に併合した。 併合であって、侵略して植民地にしたわけじゃない。 日本は併合した地域の人々は、日本人と同様に扱うんだ。まぁ半島で言えば、元々併合を望んだのは、半島の『青年党』の方だったんだけどね。併合は国連の承認のもとで行われた。更に翌年の日本の国家予算の3分の1を半島で使ったんだ」


「どうしてですか?」


「まず、上下水道の整備だね。あまりに下水道設備がひどくて、病気が蔓延してしまう。病院などの重要な建物も立てたし道路も整備した。当時は南北に分かれていなかったから、北の方には工場などを作ったし、それに必要な発電所なんかも作ったんだ。これには金がかかる… 国家予算の3分の1って言うのも分かるよね」


「どうしてそんな事したんですか?」


「当時の日本人も半島に金を使うなら日本で使えという意見が多く出たみたいなんだよ。だけど、併合しわけだから半島はもう日本だ。彼らは貧しいけど、今は同じ日本人だから我慢してくれ… って説得したんだよ」


「じゃぁ、何故今半島の人は日本を悪く言うんですか?」


「こういう事実を知らないし、教えない。日本でもこんな話を知っている人は少ないんじゃないかな。半島で上下水道整備している時に、当然地下に配管を埋めるわけだけれど、当時の半島の人たちからすれば何をやっているのかわからなかったんだろうね。妙な噂が流れたんだ」


「妙な噂ですか?」


「日本人が地下に鉄パイプを埋め込んでいる。『あれは我々を(のろ)うためにやっているんだ』っていう話なんだよね。当時風水というか呪い(まじない)のようなものが生活に密着していた時代だから。龍脈というか気の流れを悪くして、日本が(のろ)ってるっていうんだよ。日本人がいくら『違う』と言っても聞く耳もたないんだよね。当時から… 人は信じたい事しか見えないんだ」


 洋ちゃんは水割りをゴクリと流し込んだ。


「あ、それからもう一つあるんだ。かの地の人は、中国を尊敬していて、中国に一番近い我々は、遠い日本より偉いんだ… と思い込んでいるところがあるんだよね。対極旗って言ったっけ、半島の旗… 昔の旗には、「大清国属」と書かれていたんだそうだ。つまり清の一番の属国は我々だと言って誇っているね」 


「日本は、日出天子… の時代から中国とは対等に付き合うようにしていたのに…」






 




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