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鱈の西京焼き(続き)

「ところで、なんでいつもは都市伝説とか幽霊の話が多い洋ちゃんは、今日に限って経済の話ってか、国の借金なんて言い出したんだい?」


「実は… 某オカルト雑誌にいつも投稿されている竹原姫子さんの投稿が『未来が心配だ、国の借金が多すぎる』なんてコラムに載せていたんです。だから…」


「あの、東京オリンピックは無いって言った人だよね」


「はい」


「あの時もちょっと説明したけど、あの人… というか予言てのは大体、情報が多すぎるんだ。下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる。 確率的な話をすると、当たった予言より外れている方が多い。当たった時のインパクトが強いから、どれだけ外れているかという事は忘れられてしまう」


洋ちゃんは、がっかりしたような安心したような表情をしている。



「それに、金融緩和で、日銀が国債を買いまくっているって知っているかい?」


「なんとなく、聞いた事がありますが、それが何か関係あるんですか?」


「じゃぁ政府の負債、洋ちゃんの言うところの『国の借金』はどういう風に作るの?」


「そ、それは国債を発行して…」


「その通り、だから日銀が、金融緩和で国債を買ったら、『国の借金』は減るんだ」


「え? どう言う事ですか?」


「日銀が持っている国債って、無くなったに等しいんだよ… だから日銀が国債を買いまくっているんなら、世に出回ってる借金が減るって事じゃないかなぁ」


「ええ? どういう事ですか? 日銀が国債を持っているって事は、利子も払わなければならないし、期日がきたら元本保証もしなきゃいけないんでしょう?」


「いや、政府は、日銀に利子も払わないし、元本も払わない」


「ええ? どういう事ですか?」


「正確には払うんだけど、結局日銀は、政府の子会社みたいなものだから、連結決算で日銀の持っている国債はチャラになっちゃうようなもんなんだ。

 まず、まぁ普通なら満期が来た時に利子も含めて払うんだろうけど、ここでは分けて考えるとして、まず利息の話をするとね… 日本政府は日銀に利子は支払う」


「ほら、払うんじゃないですか」


「ところが、日銀法… だったかまぁ、法律によって、日銀は単独の利益を得る事が出来ないから、日銀が得た利益はそのまま日本政府の方へ戻るんだ。行って来いって事でチャラだね」


「ええ?」


「で、元本の方は、国債の期末が来たら、日銀が日本政府に『国債持ってきたから借金返して~』と言うと、日本政府は、新しい国債を発行してその満期を迎える国債と交換するんだ」


「ええ?」


「だから、いつまでたっても日銀が持っている日本政府の国債は、現金(キャッシュ)にはならないんだ。つまり日銀が国債を持った瞬間に、その国債の価値は無くなったに等しいってわけ」


「本当ですかそれ?」


「うん。 まぁ説明としてはざっくり過ぎて、厳密に言うと違う部分もあるんだけど、だいたいこんな感じ。だから他の先進国では、自国の国債が中央銀行に渡った場合、それ以降財務諸表からその金額をはずす国もあるんだ」


「じゃぁ、国の借金… なんて気にしなくて良いって事ですか?」


「うん。まぁ、今の状況なら問題ないね。 日本の国債は、殆ど国内で所有されているからね」


「そうかぁ、心配ないんだぁ。 じゃぁ次は安心して都市伝説の話をしようと思います」


「うん。その方が洋ちゃんらしいね…」





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