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「ママぁ!お兄ちゃんがぁ!」
ベソベソ泣きながら台所に居た母に駆け寄る妹アネット。そんなアネットに腕を広げ母は向かい入れる。
「どうしたのアネット」
「グスッお、お兄ちゃんが、血で、真っ赤にぃぃ」
「血って…きゃぁぁあ⁉︎」
台所の入口まで来た俺の姿に悲鳴を上げる。それはそうだ。俺の右手は血に染まっている。しかもまだ血が止まらずポタポタと垂れている。
鏡を見た俺はあの後目の前の鏡を殴りつけてしまった。その時アネットが部屋に入ってきてしまい、血が出る瞬間を目撃しパニックになって母の元に駆け出してしまった。
血が止まらないが、アネットの事も気になってそのまま追いかけてしまったら母親に叫ばれてしまった。
サッと後ろに隠すが意味の無い事。母は慌てて駆け寄りエプロンを外し俺の右手に巻き付け血を止めようとする。
「サミュエル痛い⁈どうしましょう!そうよ、お庭に草があるからそれで止血しなくちゃ」
「わたしが取ってくる!」
アネットが台所から飛び出す。
だが、母と妹よ。庭には綺麗な花が咲いていたりはするが、止血効果のある薬草は生えていない。雑草でも持ってくる気か?そもそもアネットに薬草の見分け方が分かるのか?
母も母でもう少し落ち着け。アワアワして包丁を片手に持って近付かないで欲しい。包丁で何する気だ。
「母さん、アネットが外で庭の草毟ってたけど」
「サルーン!大変なのサミュエルが怪我をしたの!」
「け、怪我?」
入口から声をかけてきたのは先程まで外に出ていた兄サルーン。アネットの奇妙な行動を尻目に母に聞きに来たのだろう。包丁をサルーンに向けて喋り出す母にさすがのサルーンも若干顔色を悪くしながら俺を見る。
「サミュエル、その怪我の理由は」
「あー…ノリ、で?」
「…はぁ」
溜息つかれた。『俺』だったら消炭にしてるところだぞ。
サルーンは俺に近付き右手に手を添え、魔法を唱える。
「回復魔法治癒」
暖かい光が右手を覆い傷を見る間に癒していく。光が消えると血が止まり、傷口も薄ら残るまでになっていた。
「母さん、もう治したから包丁置いて」
「まぁ!流石サルーン!」
「サミュエル、母さんに心配をかけるな」
「…はーい」
くそっ!『俺』だったらこんな傷一瞬で治せるのに!
サミュエルの魔法書
1.回復魔法 治癒/ヒール
サミュエル「回復魔法治癒はその名の通り治療の魔法だ。回復能力が低くちょっとした擦り傷とかでしか余り役に立たないな。ただ魔力を持つものなら得意な属性関係無く、覚える事が出来れば発動可能な特殊魔法に分類されている。」