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そうだったな。あまりにも似合わないからついつい忘れてた

あれから何匹かエネミーを倒してエンターたちは基地へ帰ることにした。


「どうだった? 今日初めて戦ってみて」


 校長がにこやかに聞いてきた。


「なんか、形が気持ち悪い奴がいました。それと、なんか大きいです」


「今のやつはそれでも大分マシですよ。前はもっと気持ち悪い奴が多かったんですから」


 炎帝が思い出すように言った。


「今のやつとは違った気持ち悪さを持った奴が多かったな」


 雷帝も覚えがあるのか口を挟む。


「どんなふうに違うんですか?」


ファイルはあんまりそこらへんがピンとこないようだ。


「今のエネミーはアリみたいな形が多いですが、昔のエネミーはなんか、微生物みたいな形でした。こう、なんて言うんですかね」


 手をウニャウニャさせながら、何かを伝えようとしている炎帝。

 あれ、この人こんな人だったっけと思いながら、とりあえず、その微生物みたいっていう特徴で想像する。


「なるほど。最近と昔で他に違いが出てきたところはありますか?」


 ファイルはこういう話に興味があるのだろうか。

 食い入るように質問をした。


「空飛ぶエネミーが出てきた」


 雷帝が即答した。


「そうだね、それが一番大きいね。他には最近のエネミーって大きくなってきてる気がするんだ。昔は今よりもう少し小さくなかった?」


「はい、それは私も感じていました。あと、数がもっと多かったですよね。最近前線にいて思いますが、戦闘回数が減ってきているように思います」


 エネミーが大きくなって、そして戦闘回数が減ったか。

 最終的になんかプラスマイナスゼロなのではないか。


「パッと思い浮かぶのはそれぐらいかな」


 基地の扉を開きながら水帝はそう言った。


「あ、いい匂いですね。こんばんはカレーですか」


 基地の扉を開けた途端、近くにある食堂から胃袋を刺激するいい匂いが漂ってきた。

 エンターたちは食堂へと向かう。

 そこではたくさんの人が話しながらカレーを食べていた。

 匂いの通りこんばんはカレーのようだ。

 食堂にレンジでチンすれば食べられるようなご飯とレトルトのカレーが届けられている。

 一体いつ届いたのかは分からないが、そんなことよりもお腹が減ったのでエンターはレンジでご飯を温めた後、別皿に移したカレーも温める。 


「明日はどうすればいいですか?」


 エンターはカレーを食べながら、近くに座る校長にきいた。


「明日か。今日と同じ時間から戦闘訓練をおこなう。それまでは何をしていてもいいけど寝不足だけにはしないように。戦闘に多大なる支障をきたすから」


「カメラ。お前なんか先生みたいだな」


「雷帝、私一応今校長しています」


「そうだったな。あまりにも似合わないからついつい忘れてた」


「すみません、そういうのは陰で言ってください。真正面から言われると傷つきます」


 いや、本人の知らないところで言われる方が傷つくんじゃないだろうか。





「これが、いわゆる交戦中です」


 炎帝はエンターに向かってそう言った。

 昨日、エンターが戦ったときはエネミーがあまりいなかった。

 そのため、他の人たちは引きあげてきていた。

 しかし、エンターがここに着いたとき、ほとんどの人は戦っていた。

 それはなぜか。

 エネミーがたくさんいたからだろう。

 そして、これが、エネミーがたくさんいるときの光景だという。

 昨日エンターが戦った時とは比べ物にならないほどエネミーがたくさんいた。


「エネミーって段階に分けて、まとまってくるって決まっているのですか?」


「いえ、そうでもありませんよ。まとまってすごい量が一気にくる場合もありますし、ずっと途切れずにある程度の量が来続けることもあります」


「どっちの方が大変ですか?」


「個人によって意見が分かれますね、それは。私はずっと途切れずに来続ける方が嫌です。どんなにたくさんの量が来ようと、まとまっていれば一気に焼き払うことができるので、その分お得だと思っています」


 今の俺は一気に来られると対応できないから、ある程度の量が来続ける方がいいのだろうか。

 いや、ある程度の量が来続けられても対応できないか。

 なんだそれ。

要するに足手まといか。

 なぜか自分を貶める思考へと陥ってしまったエンターは頭を振ってその思考を振り払う。

 いつかきっとこの借りは返しますから。


「さて、だいぶん減ってきましたね」


 今回は一気にたくさんの量が来るバターンだったようです、と言いながら炎帝は西の切れ目を見つめた。


「じゃあ、雷帝がきたら今日も戦闘訓練を始めようか」


 今の交戦中に前線で実際に戦っていた水帝に校長、そしてファイルが歩きながら引き返してくる。

 

「私が呼んできます」


 校長がそう言って一旦、基地の方へと向かった。


「どうでしたか、今日は戦ってみて」


 炎帝が今戦っていた人たちに聞いた。


「私は、今日空を飛ぶエネミーと初めて戦いましたが、基本的に大きくないですか? あいつ」


 近くで見ると、優に私の二倍三倍ありますよ、とファイルが驚いたように言った。


「確かに、あんまり小さいやついませんね」


 私はそのぶん攻撃があたりやすくていいなと思っていましたがそうですね、と納得したようにいう炎帝。


「よう、お疲れ」


 校長が雷帝を連れてやってきた。


「じゃあ、今日も始めようか」


 ということで、あたりを見回す。


「まずは、あの昨日倒したような奴で復習してから、今日は空飛ぶ奴と戦ってほしいんだよね」


 俺の聞き間違いじゃなければ、あいつらって基本的に大きいんだよな?

 俺、能力使えないんだけど?


「とりあえず、あそこにいるやつ倒しとこうか」


 復習がてら、地を這うエネミーを倒す。


「随分と余裕が出てきましたね」


 エンターの戦いっぷりを見ていたファイルがそう評価した。


「ありがとうございます」


 そう返事をした途端、エンターの近くで大きな音がした。

 何事? と思い振り返ると、それ飛ぶエネミーが倒れている。


「なかなかうまくいきませんね」


「どうしたんですか?」


「いえ、エンターくんが戦う空飛ぶエネミーを殺さない程度に撃ち落とそうと思っているのですが、なかなかうまくいきませんね。かと言って、そんな都合よく降りてきてくれるとは思っていなですし」


 もう、いいんじゃないですか?

 それは諦めろってことですよ。

 だって、このサイズでしょ?

 エンターは今落ちてきたエネミーを見る。

 相当、大きいじゃないの。

 正直言って無理じゃない?

 この大きさ相手に剣で立ち向かうのは。

 結局この日はエンターが倒したエネミーよりも、いい具合に撃ち落とそうと思って倒してしまったエネミーの数の方が多かった。


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