表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/58

自分コール(3)

 殺す気ならばとうに殺せて居た――。

 アンビバレッジの瞳は今まで四つの死を見届けてきた。その一つ一つを瞳に焼付け、主の願いを成就させてきたのである。

 当然、その対象の内の一つである神崎エリスの命を奪うのは最初から決まっていた。だが、その命を奪う事はまだしない。“まだ”、しないのだ。

 いつかは殺す。だが、神崎だけはそう簡単には殺さない。いたぶっていたぶって、心がぼろぼろになるまで殺さない。アンビバレッジの行動原理にはそうした錆付いたナイフで切りつけるような思考が存在していた。

 故にこれは完全にイレギュラーである。アンビバレッジ以外のVSが――“所有者セイヴァー”が干渉してくることなど、アンビバレッジの“セイヴァー”も予想はしていなかった。

 蜘蛛が振り降ろす巨大な足の爪先を回避する響。アンビバレッジの攻撃を器用に回避して行く。アンビバレッジの矛先は人間の肉を貫く事はない。しかし、“当たれば致命傷になる”。

 アンビバレッジに足音はない。触れているのに触れて居ない――。その存在は架空。人の目に映る事のない幻影。光を浴びて反響し、ただそこに浮かび上がっているだけのイメージ。

 怪物の雄叫びを受け響は立ち上がっていた。手にした紅い携帯電話を滅茶苦茶に操作している。必至に冷静さを取り戻そうとするが、こんな状況下で冷静になれるほうがどうかしているのだろう。

 あの時は出来たはずだった。あの時は生き残れたはずだった。だが今は出来ず、ならば生き残れない。死が目前に迫り、響の頭の中で何かが起こった。

 “割り切った”のかもしれない。響は考える事を止めた。そうしてケータイのディスプレイに零れ落ちていた自らの汗を見て思い出す。巨人が現れた時の景色を。

 巨人は大地から現れた? 違う。巨人は水溜りから現れた。泥水から現れた。ばちばちと火花を散らし、世界を映し出すモノを貫いて飛び出したのだ。

 響は視線を周囲に向ける。壁には組み込まれている途中だったガラス張りの壁があった。ケータイを持ったまま走る。背後から迫るアンビバレッジへと振り返り、同時に響は携帯電話を握り締めたその手でガラスの壁を叩いて砕く――!


「ジュブナアアアイルッ!!」


――Are You Raedy?


 時が止まる。砕けたガラスの破片があちこちへと飛散する。空中に浮かんだ硝子のカケラの一つ一つ、それらに真紅の巨人の横顔が写りこむ。

 カケラからカケラへ。映り込んだ響の姿を写し取り、硝子の中から現れる。硝子の破片全てが紅く発光し、一陣の吹き抜ける風と共にジュブナイルは姿を表していた。

 飛散する破片の中、低い姿勢からジュブナイルは顔を上げる。次の瞬間砕け散ったはずの硝子の破片は時を巻き戻すように吸い込まれ、元通り美しい新品の硝子壁へと姿を変えていた。

 姿を現したジュブナイルは迫っていたアンビバレッジを正面から受け止める。振り上げた鋭い足を二つ掴み、響への進行を妨害する。二つの巨大なシルエットは同時にノイズを走らせながら取っ組み合う。巨大な力二つが圧し合い、稲妻が何度も迸る。

 ジュブナイルがアンビバレッジを取り押さえている間に響は脇を抜けて走っていた。神崎エリスは相変わらず鉄骨の一つにぶら下がっている。その糸から少女を解放しようと響は手を伸ばすが、糸に触れようとする手は素通りしてしまう。

 ケータイを振るい、振り返る。ジュブナイルは瞳を輝かせ、電撃を迸らせながら蜘蛛を上へと投げ飛ばす。ジュブナイルは体を捻り、何度かステップを刻んだ後、落下してきたアンビバレッジの腹を横から蹴り飛ばした。

 蜘蛛は悲鳴を上げながらビルから落下して行く。ジュブナイルは重い動きで体勢を立て直し、自らの主へと腕を向ける。

 腕から放たれたのは鋭い先端部を持つアンカーだった。それは糸を切り裂き、主の腕の中へと少女の体を落す。それを見届け、ジュブナイルは顔を上げてビルから飛び降りて行く。


「……言葉で命令しなくても、ケータイさえ持ってれば動くのか……。一体どういう理屈なんだか……」


 響の腕の中、エリスは小さく身じろぐ。意識を取り戻そうとしている少女を抱え、少年は階段を駆け下りる。

 三階から飛び降りたジュブナイルは落下と同時に下に落ちていたアンビバレッジを踏みつける。脚部がアンビバレッジの頭に食い込み、蜘蛛の悲鳴が上がる。

 紅い巨人は背面にあるバーニアから炎を巻き上げて跳躍する。後方に移動して着地した後、足の裏に設置されたローラーを回して前進する。

 低い姿勢から正面に突撃し、振り上げた拳に勢いを乗せて振りぬく。アンビバレッジの脇腹に食い込んだ拳は一瞬で装甲を貫き、腹を貫いた腕は炎上する。

 拳が赤熱し、チカリと紅い小さな輝きが断続的に瞬く。次の瞬間アンビバレッジは爆発と同時に燃え上がり、断末魔を上げながら後退して行く。

 真っ赤な炎は消え去る気配を見せない。アンビバレッジは後退を続け、壁に立てかけてあった巨大硝子材の中へと飛び込んで行く。ジュブナイルが現れた時同様、ガラスの壁は一瞬砕け、次の瞬間には元通りになっていた。


「逃げられたか……」


 階段を駆け下り、ジュブナイルの隣に立つ響。響の腕の中、目を覚ましたエリスは目をぱちくりさせていた。


「な、なに……? なんでエリス、響ちゃんに抱っこされてんの……?」


「…………俺が訊きたいよ」


 エリスを降ろし、響はジュブナイルへと視線を向ける。VSアプリケーションを終了するとジュブナイルは稲妻と共に消滅し、そこには何の痕跡も残されてはいなかった。

 VSが見えて居ないエリスはジュブナイルが消えた事にも、ジュブナイルが消えた刹那の稲妻にも気付いてはいない。呆然とした様子で顔を上げ、響を見詰める。


「無事でよかったな、神崎」


 そんな事を言いながら溜息を漏らす響。その当たり前すぎる様子にすっかり安心し、エリスはその場にへなへなと座り込んでしまった。



自分コール(3)



 “VS"がどういうものなのかなんてことは、正直に言えば全然良く判ってなんかいない。だが、それでVSが使えないって言うわけでもない。

 ベルサスはVSを操る為の鞭だ。これを持っている限り、ジュブナイルは俺の思う通りに動く。イメージは現実の俺の能力を超え現実化し、ジュブナイルは俺の理想を実現するかのように行動する。

 一つだけ確かな事があるとすれば、VSアプリケーションの発動には幾つかの要因が必要になるらしいという事。ケータイ操作によるアプリ起動、それと同時にVSを生み出す為の鍵みたいなものが必要になる。

 それが前回の水溜り、今回で言う硝子という事になる。恐らくは、自分自身を映し出す物がそこにあればいいのだろう。良く判らないが。

 VSは実体の無い存在だ。それが召喚される時、連中は“鏡”を通して現れる。逆に言うとその鏡は連中の通り道でもあるらしい。アンビバレッジはそれを使って逃げたわけだ。

 兎に角、ジュブナイルが無事に出てくれたのは幸いだった。神崎と共に工事現場を後にし、今は大通りに出ようとしている。あれだけダメージを与えたのだから、流石に追っては来ないだろう。


「ねえ響ちゃん、何がどうなってたの……? エリス、超イミフメーだったんだけど……」


 まあ、見えてなきゃ意味不明だろうな……。行き成り自分が勝手に歩き出して、挙句の果ては何かに引き摺られたんだから。

 しかし、どうしてあそこまで実体を持つ存在に物理干渉出来る……? VSってのは実体のない存在なんじゃないのか? これじゃあまるで、本当に幽霊だ。


「ま、無事だったんだからいいだろ。それに判った事もある」


「えぇ〜? なになに? 何がわかったのぉ? なんで一人で納得してんのー! ズルイ、ズルイズルイーッ!」


 ずるもくそもあるかよ……。


「でも……響ちんが助けてくれたんだよね?」


「そうだな。助けたぜ」


「そっか……。えへへ、すごいね、響ちん! ユーレイ相手でも無敵なんだ!」


 そんな事は無いが、ここまで嬉しそうにされてしまうとなんともいえない。神崎は常に素直に感情を表に出している。それだけ見ていれば……決して悪いやつには見えないんだが。

 よくよく考えれば神崎とこうしてマトモに接するのは初めてかもしれない。今まではずっとテキトーに受け流していたし……まあ今もそうなんだが。

 これがイジメなんかするんだから女は良く判らん……。苦笑を浮かべながら二人で歩いていると、大通りへと抜ける道に立ち塞がる一つの影があった。

 神埼が足を止め、俺も遅れて停止する。しかしそこに立っていたのは俺の知り合いだった。何故こんな所で鉢合わせるのかはわからないが――。


「舞……? こんな所で何してんだ?」


「そりゃこっちの台詞よ……! 響、そこで何してるの? あんた、そんな女の子連れてこんな暗がりで……」


 舞――三代 舞は俺の目の前まで歩み寄り、腕を組んだまま顔を近づけてくる。じっとりとした視線の理由は腕にくっ付いている神崎にあるわけで、俺は直ぐに神崎を振りほどいた。


「な、何もしてねーから! つーか、お前こそここで何してんだよ」


 彼女は古くから付き合いのある所謂幼馴染というやつだ。元々東京に住んでいた桜井家の隣に住んでいた女の子で、俺よりも二つ年上だ。

 今はメガフロートにある大学に通っていたと思ったが……なんでまたこんな所にいるんだ? 工事現場にしか続かない、狭い通路なわけだが。


「あたしは……。そうだ響、この先で何か見なかった?」


「何か……?」


 余計な口を聞こうとする神崎の口を素早く抑え、舞を見詰める。舞は相変わらず気の強そうな瞳で俺をじっと見詰め、視線を反らそうともしない。

 嫌な予感が過ぎる。この先で何かを見なかったか……勿論工事現場のことなんか言って居ない。だったら一つだ。アンビバレッジ……だが、アンビバレッジを知っているのはアンビバレッジの主だけなんじゃないのか――?

 まさか、舞がアンビバレッジを操っているのか? そう考え始めた瞬間、神崎を庇うように前に出ていた。しかし信じられない。あの舞がそんな事をするだろうか。


「――見たぜ」


 正直の答えてカマを掛ける事にした。別に嘘を付くような事じゃない。真っ直ぐに舞を見詰め返す。

 暫く舞は俺と見詰め合っていたが、小さく溜息を漏らして腰に手を当てて項垂れてしまった。なんだかその様子は落ち込んでいるようでもある。


「そう……。って事は、あんたも“所有者セイヴァー”って事ね」


 舞はそう呟き、自分のケータイ――オレンジ色の“ベルサス”を取り出した。俺のとは違う、最新版にいつの間にか買い換えていたようだ。

 ケータイを取り出したという事は、そのままの意味になる。ここで戦うとでもいうのだろうか? だがしかし彼女はVSを起動せず、自らのケータイを俺に手渡してきた。

 ディスプレイを見ろという事らしい。視線を下に。画面には彼女の登録したらしいユーザー名、【M3】という名前、そしてその下に彼女のVSの名らしい、【ディアブロス】という名前があった。

 つまり、自分がVSユーザーである事を教えたかったのだろう。だが――彼女のVSは、アンビバレッジではない――?


「もしかして、狙われていたのは響?」


 ぶっきらぼうな質問だ。神崎は意味が判らずに首を傾げている。なるほど、神崎は――VSを持たない人間には出来れば伝えたくないらしい。


「俺じゃない。でも、俺が追い払った」


「響が……? うーん、そっか。じゃあ……違ったんだ」


 舞は一人で納得している。少しだけ残念そうに肩を落とし、それから俺を指差す。


「気をつけなさい。出来ればセイヴァーには近づかないようにして。自分がセイヴァーである事実も、出来れば知られない方がいい」


「おい、そりゃどういう……」


「直ぐに判るわよ。でも、判らないほうがいいわ。それと……ここで会ったのは多分何かの運命だと思う。だからこれ、あんたに託す」


 彼女がそうして俺に手渡したのは一つの携帯電話だった。メインカラーは白、所々透明度の高い紫の素材で出来た、見たことのないケータイだった。

 勿論全てのケータイを把握しているわけではないのでそんな事もあるのだろうが、デザインはどこかベルサスにも似ている。だが最新版は舞が持っているヤツのはずだが――。

 舞は俺の手にケータイを握り締めさせるように手を重ねる。肌が触れ、それから舞は複雑な表情で俺から身を引いた。


「そのケータイを絶対に失くさないで。このストラップ、良ければ使って」


「お、おい……?」


 こっちの台詞は完全無視。舞は自分のスカートのベルトから下げていたシルバーのストラップを外し、俺のベルトに嵌めて例のケータイを提げた。


「そのケータイがあれば、もしかしたら見つけられるかもしれない……。“奏”を」


 またもや思わぬ名前が飛び出した。俺が不機嫌そうな顔を浮かべていると、舞は笑いながら俺の胸に軽く拳を当てる。


「そのケータイは、“ベロニカ”――。いい? 絶対に失くさない事。壊さない事! それじゃ、あたしはもう行くから――その子、家まで送ってあげなさいよ」


「おい、舞っ!!」


 結局俺の台詞耳も貸さず舞は走り去って行ってしまった。一体どういうことなんだ? 舞がどうしてここに? 舞もVSのユーザー……? “ベロニカ”ってなんだよっ!?

 意味がわからん。なんだこのケータイ。どうしろっていうんだ……? そもそも電源が入らないじゃないか。壊れてんだろうか。うーむ……。


「ねえねえ響ちん、さっきの人ダレ?」


 そういえばすっかり神崎の存在を忘れていた。説明するのが面倒くさくなり、一言で片付ける。


「幼馴染だ」


 すると神崎はどこか不機嫌そうになった。ほっぺたを膨らませ、俺の脚を蹴り飛ばす。勿論非力な神崎のキックなど痛くも痒くもないのだが。


「響ちん、あの人の事が好きなんでしょ」


「いぃっ!? な、なんでだ?」


「だって……そんな顔してたじゃーん」


 そうなんだろうか? 自分の顔に手を当ててみる。しかし……自分じゃ判らないもんだな。

 確かに俺は舞が好き……だった。今ではもう好きじゃないが、昔は好きだった。なんというか、今はしょうがないから諦めている。舞は――“兄貴”の彼女だ。

 あんまりその辺は思い返したくないので割合する。わざわざ神埼に聞かせてやる話でもないだろう。神崎を無視し歩き出す。俺たちはようやく人通りのある場所へと戻ってくる事が出来た。


「さてと……じゃあ帰るとするか。神崎、お前の家はどっちだ?」


「え? 泊めてくれんじゃなかったの?」


「あー……とりあえず今日は平気だろう。それに心配しなくても俺がお前の事を見張ってるよ。その方が“奴”も釣れそうだ」


 周囲を見渡す。とりあえずオフィス街に乱立するビルのうち一つ、硝子の壁の前に立ちジュブナイルを召喚する。砕けたガラスが紅く発光し、ジュブナイルが現れた瞬間全ては元通りに戻る。

 この音も、ジュブナイルの姿も、割れた硝子も全ては幻……。誰も何も気付いては居ない。周囲から見れば俺がただケータイを弄っているだけに見えるだろう。

 そう考えるとアンビバレッジが誰のVSなのかを探るのは本当に難しいな。今のご時世、道端で只管カチカチケータイをいじってる連中なんて掃いて捨てる程いる。

 ジュブナイルを神崎の後ろに立たせる。これは物凄く目立ちそうだが……。誰にも見えて居ないとは言え凄まじくシュールな光景だ。


「神崎、鏡とか持ってないか?」


「うん? 持ってるよ」


「ちょっと貸してくれ」


 神埼は鞄から折りたたみ式の手鏡を取り出し、俺に渡す。俺は鏡を翳し、ジュブナイルはそこに腕を伸ばし、小さな小さな鏡に吸い込まれていくかのように消えてしまった。

 鏡を覗き込むと、そこにはジュブナイルの影が見える。なるほど、こりゃ便利だ……。そのまま鏡を閉じ、神崎に手渡す。


「おまじないをしといた。この鏡を肌身離さず持ち歩いてろ」


「はだみ、はなさず?」


「常にって事だ。風呂でもトイレでも寝るときもだ。そうすれば間違いなくお前は安全だ」


 ジュブナイルは異変を察知したら鏡から飛び出し、神崎を守るように設定した。これで俺が傍に居なくとも、ジュブナイルがとりあえず神崎を守ってくれる。


「そんなんでホントに大丈夫なの……?」


「大丈夫だ。とりあえず家の場所は教えておいてくれ。送って行くし、何かあれば駆けつける」


 こうして俺は神崎と共に神崎の家へと向かう事にした。アンビバレッジが自分から出てきてくれなかったなら、神崎を家に連れ帰る事になるところだった……。うーむ、運が悪いのかついているのか……。


「でもなんていうかぁ、駆けつけてくれる方がロマンチックだよね?」


 そんなくだらない事を言いながら笑う神崎。まあ、納得してくれるのならばこっちはなんでもいいんだけどね――――。



 学校の屋上に一人の少女の姿があった。街に沈んで行く夕日を見詰め、フェンスに指を絡めて風を受けている。

 夏の風が髪を撫で、その風はきっとあの沈む夕日よりも向こうまで自由に攫われて行くのだろう。ふとそんな事を考え、憂鬱な気分になった。

 見下ろす大地は遥か彼方。もしもこのフェンスが無ければ、自分はここから飛び出す事が出来るのだろうか? 毎日同じ事を考えてしまう。

 友人が一人、ここから落ちて行く夢を見る。それは決して夢などではない。実際に一人、彼女の友はここからふらりと攫われてしまった。

 まっさかさまに落っこちて、ぐしゃりと割れて散って、後には何も残らない。残ったものは空しさと、それを超える不安だけ。

 フェンスに絡めた指にこめる力を強くする。もしも飛び降りる事が出来たのならば、それは勇気なのだろうか。それともただの逃避――?


「……逃げるな、か」


 ぽつりと一人で呟く。そんな事を真っ直ぐに言う人に出会った。扉を開けたその人は、只管に真っ直ぐに自分を見詰めていた。

 自分を見てくれる人がまだ居た……その事実に何故かほっとして、同時に何倍も怖くなった。きっと自分を見詰めてくれる人は、いつかは居なくなってしまうから。


「あと何回飛べば、私はそっちに行けるのかな……」


 空を見上げる。そこは、フェンスで仕切られた境界線。対岸は今だ遠く、波音さえも聞こえない。

 少女は振り返る。そこには誰も立っては居ない。そこに立っていた人はもう居ない。風を受けて靡く髪の向こう、少女はまた同じ夢を繰り返す。

 友人が一人、ここから落ちて行く夢を見る。その夢の途中、少女は目を覚ますだろう。自分が落ちて行く、摩り替わる悪夢の先で――。


〜とびだせ! ベロニカ劇場〜


*ある意味恒例*


響「ここが噂の“劇場スペース”か……。なんだか色々なものが置いてあるな……。神剣リア――とか……」


氷室「このコーナーの歴史は古く、後書きになんか劇場的な物を発足させたのはレーヴァテインが最初だからな。見ろ! あんな所にレーヴァテインがっ!!」


響「全長およそ40メートルのロボットが配備されてる放送室ってどうなんだリアルに」


氷室「あっちにはキルシュヴァ……」


響「それは兎も角、今日から俺たちがここ使う事になるんだぞ? 行き成りここに召喚されても何すりゃいいのかわからんがな」


氷室「とりあえずキャラとかVSの紹介とかをやっていけばいいだろう。あとはテキトーなノリで」


響「ま、ここは本当に無計画だからな。若干シリアス目なベロニカに存在するオアシスみたいなもんだな」


氷室「オアシス……? カオス・ゲヘナの気もするが」


響「ですよね〜」


〜小休止〜


響「この後書きスペース、通称劇場ではベロニカの設定とかを公開していく予定です」


氷室「乞うご期待ッ!!」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
こちらのアンケートは終了しました。さり気無く結果公開中。
うさぎ小屋目安箱
第一回対岸のベロニカアンケート中
対岸のアンケート〜序〜
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ