Prologue(2)
「――――あっつい」
真夏の太陽は世界をジリジリと焦がすように照り付けている。アスファルトに囲まれたコンクリートジャングルではそれも無理の無い事だ。
東京メガフロートの各所には風力発電用の巨大な風車や大型のソーラーパネルが隙さえあれば乱立し、エコをアピールしているが、年々温暖化の進む世界がそれだけで涼しくなるのならば誰も苦労はしない。
エアコンの効いた車に乗りたいものだが、オープンカーも捨て難い……。空を見上げながらワイシャツの胸元のボタンを外しながら櫻井 鳴海はそんな事を考える。鳴海の視界、路地裏へと続く物陰を走ってくるスーツ姿の青年の姿がある。路肩に駐車している鳴海の車に駆け寄り、男は額の汗を拭いながら溜息を漏らした。
「鳴海さん、いつまでそこでぼーっとしてるんスか? アイスなんか食べてないで、調査を手伝ってくださいよぉ〜……」
背の低い短髪の青年――。スーツ姿はまだ似合わず、背伸びをした印象を受ける。しかし彼は列記とした警察官である。去年警察官になったばかりの新米ではあるが、東京メガフロートでの暮らしは長く、土地勘には恵まれている。鳴海と彼がコンビを組まされているのには様々な事情があったが、上下関係は見てのとおりシンプルな物だ。
アイスを食べながら真っ赤なオープンカーの運転席で呆けている鳴海と汗をかきながら走り回る青年。鳴海は彼の泣き出しそうな声を聞き届け体を起こす。
「新庄君もアイス食べればいいじゃない? おいしいわよ」
「じ、自分は……遠慮しまス。一応、勤務中ッスから……」
「真面目ねえ〜。それで? 何か目ぼしい物は見つかった?」
「全然ッスよ……。鳴海さんも自分の目で確かめてみたらどうッスか? そこで日光浴しているよりは、あっちのほうが涼しいと思いますよ」
確かに新庄の言う事にも一理ある。納得して鳴海は車を降りた。鍵をかけ、狭い路地の中へと進んで行く。
彼女たちが追い掛けている事件が起きたのは現在から三日ほど遡る。七月十二日、午後五時頃。ビルの屋上からの飛び降り自殺事件が発生した。
死亡したのはメガフロート内に存在する私立高校、第三清明学園の女子生徒十六歳。十二日、授業が終了した後一人で学校を出た後、まっすぐこちらのビルまで移動。屋上から直ぐに飛び降り自殺を試み、結果地上十七階から真っ逆様に落下し、全身が砕け即死……。
鳴海は現場となった路地に立っていた。黄色い規制線を潜り、被害者の死を模ったラインを見下ろしている。真上を見ると、太陽の光の差し込まない狭い路地から空を見る事が出来た。
幅3メートル程だろうか。狭いとは言え、こうして自由に身動きは取れる。充分に道としては効果を発揮するし、ここを通る人間もいる事だろう。実際この事件が直ぐに発覚したのは、この道を通った生徒からの電話のお陰であった。
「なんで飛び降りちゃったのかしらねえ。人生生きてればいい事も沢山あるのに」
「……自分にもその辺はわからないッスけど、若い頃ってそういうのに憧れる節はありましたよ。死とか……ここじゃないどこか、みたいな」
「青春の代名詞みたいな言葉ね〜。だからって実際に死んで別世界に行かなくたっていいのに」
腕を組んだまま鳴海は溜息を漏らした。その動作はどこか色っぽく、肌蹴た胸元に新庄の視線は自然と向けられてしまった。汗ばんだ肌を見ていると変な気分になりそうで新庄は視線を反らす。
「死亡した――“高山 里奈”は、清明学園の生徒ッス。これで清明学園の女子生徒がビルから自殺を試みるの、四件目ッスね……」
そう、何もこれは初めてではないのだ。この自殺が事件としてこうして取り上げられているのには勿論理由がある。連続で発生し、全員が同年代の、同学園の女子生徒なのである。これまでに三人、同じようにビルから飛び降りて死亡した生徒がいた。
学園側はそれを公表する事を躊躇っている。勿論まだ事件性があるとは断定出来ない。新庄の言うとおり、“青春のはしか”みたいなものが悪化した可能性もある。高校生ともなれば、多感な時期だ。何となくフラリと自殺を試みてしまってもおかしくはないかもしれない。
問題はその死亡した女子生徒たちに自殺するような理由が見つからなかった事、そしてこの二週間の間に四人も死んでいるという事。それらの違和感を事件と呼べるまで昇華させるのは難しい。何より鳴海は“別件”を追っているのだ。この事件は本来担当ではない。
「関係あると思う? 例の、“デジタルドラッグ”と」
「――さあ、ちょっとわかんないスね……。でも、例のヤツの中には人の死みたいなものを味わわせる、見たいなのもあるみたいッス」
「死を体験するって事?」
「まあ、当然それも架空の妄想なんスけどね。ただ、死そのものに憧れる子供が多いのも事実ッス。自殺の件数、年々増えてるし」
「空想された死に意味があるのかは謎だけど、まあ子供騙しにするには丁度いい売り文句ね。だからって現実と混同して、実際死のうとまで思うかしら?」
「鳴海さんは例のヤツ食らった事がないからそんな事言えるんスよ。そーとー来ますよ、アレ。一発で立ち直れなくなる人、多い見たいっすから」
苦笑を浮かべる新庄。“本題”の手掛かりになるのならばとも思ったが、今の所連続飛び降りと“ドラッグ”には関連性が見当たらない。無理矢理こじつけると頭の角度に問題を来たす可能性もある。鳴海は邪推を追い払い、胸元の煙草に手を伸ばした。
「そういえば、自殺した高山里奈の死体の傍に、足跡があったじゃないスか」
「……確かそうだったわね」
「目撃者の足跡じゃないかって見方が強かったんスけど、目撃者の靴と一致しないんスよ。それに目撃者は血溜りには足を踏み入れて居ないとか」
「第三者がそこにいたって事? 落ちてくる女の子を、ここから見上げて?」
鳴海は実際に空を見上げてみる。真上から女の子が落ちてきたら……相当ショッキングだろう。気絶とまではいかないだろうが、前後不覚には陥りそうだ。
クラクラするような空想を振り払い、煙草に火をつける。新庄は空を見上げながらぼんやりと呟いた。
「とはいえ、屋上には高山里奈以外の痕跡は見つからなかったらしいですし、事件と関係があるのかどうか……。もし現場を目撃しちゃった人がいるなら、ビビって逃げ帰っても別に可笑しくはないでスしね〜」
「だからって通報くらいしてくれてもいいのにね。ま、いいわ。もう少し手掛かりになりそうなものがないか漁ったら今日は撤収! クーラーガンガンに効かせたオフィスに戻るわよ〜!」
「了解ッス! それじゃあさっさと済ませましょう!」
二人は血溜りのあった場所を避けて歩いて行く。大地には高山里奈の死の痕跡だけが残されていた。
Prologue(2)
「――んの野郎ぉおおおおおっ!!」
前に向かって思い切り跳躍する。目指す場所は落ちてきた女の子の向こう側、蜘蛛の化物の頭――!
勢いを付け、助走と共に繰り出した蹴り。化物相手に何故そんな事を試みたのかは判らない。ただ、なんか――じっとしていられなかった。
繰り出された蹴りはしかし空回りする。一瞬頭の中が空っぽになる。血の海に着地し、足元が滑ってよろける。転びそうになりながら前のめりに走り、気付いた。
「通り……抜けたっ!?」
振り返ればそこには蜘蛛の化物がこっちにケツを向けている。その化物の中を文字通り素通りして、俺は通り抜けてしまったのだ。見れば蜘蛛の化物は体にノイズを走らせ、その姿が――“グラフィック”がブレているように見える。
立体映像か何かであるといわれれば信じるだろう。しかし頭が混乱しすぎていて何も判らない。化物は振り返ると同時に雄叫びを上げ、僅かに前進しながら俺の体に体当たりをかます。
それがただのグラフィックなら貫通して終わり――そのはずなのに衝撃も痛みも全部本物になって襲い掛かってくる。理解が追いつかずに吹き飛ばされる。道端を転がり、無様に背中を打ちつける。
「っつう……!」
吹き飛ばされた拍子に手放したケータイがアスファルトを滑って壁にあたる。それで思い出した。あのケータイ――ケータイがなくちゃ駄目だ!
「ケータイ……! ケータイッ!!」
起き上がってケータイを取りに走る。背後では蜘蛛が壁と壁との間に足を伸ばし、器用に壁を昇りながら追い掛けてくる。殆ど飛び込む形でケータイ目掛けてジャンプし、落ちてきた蜘蛛をかわすと同時にケータイを手に取る。
また背中を壁にぶつけて痛かったがそれどころではない。ケータイを耳に押し当てながら逃げるように駆け抜ける。路地を抜ける僅かな距離がこんなにも遠い――!
「おいっ!! どこの誰か知らないが、どうすればいいんだ!? 教えてくれるんだろっ!?」
『ゆっくり説明している暇はない。俺の言葉には全て従え! 聞き返したり、疑問を投げかけたりするな!』
ケータイの向こうの声は焦っているように聞こえる。しかしこっちのほうがもっと焦っている。見えるはずもないのに、無我夢中で縦に首を振った。
「判った、判ったからなんとかしてくれ!」
『まず大事な事を先に教えておく。まず絶対にケータイを手放さない事。自分の命だと思え。それから“それ”には触れない。お前以外にも、恐らくは見えて居ない』
疑問が連続で浮かぶ。しかし聞き返す事はしない。何となくここは従わなければならない気がした。何がなんだかわからないが――でも!
『路地を抜けて右に走れ。人通りの多い場所を抜けるんだ』
「判った……!」
路地を駆け抜ける。直ぐにそこは駅前に面した通りだ。人が行き交う街中を全力疾走する。
もしかしたらもう追い掛けてこないんじゃないかと淡い期待を抱いて振り返ると、蜘蛛はビルからビルへと飛び移りながら俺を追ってきていた。
「勘弁してくれよ、オイッ!!」
『VSはどうした?』
「はあ!?」
『VSアプリケーションだ。インストールしたのか?』
「んだよそれ、しらねーよっ!! VSアプリ……!? そんなもん――――あっ」
ケータイを耳元から降ろす。通話は――継続。そのままメールフォルダを開き、例の“迷惑メール”を開いた。
「……あった、VSアプリ……」
それは、俺が抽選で獲得した謎のアプリケーション。サイトにアクセスしてダウンロード……? もう考えている場合じゃない、大人しくサイトへとアクセスする。
俺の“ベルサス”は最新機種と比べると読み込みが長い。それにこのアプリ……どんだけ重たいんだ!? 全然終わる気配がない。どうすれば――!
『人ごみを走り抜けろ! あいつも周りの人間にまでは手を出さない!』
「保障はあるのか!? こんなわけの判らないまま周りの人間巻き込んで殺人者にはなりたくねえぞ!」
『聞き返すなと言っただろう。大丈夫な“はず”だ。保障なんて知るか!』
くそ……! アプリケーションのダウンロードまではまだ数分かかる。ただ只管に息を切らして走り続けた。
どうなっているんだ? なんであいつには触れないのに、あいつはこっちに触れる!? なんであんなデカブツがピョンピョン跳ね回ってるのに誰も気付かない!? おかしいだろ、オイッ!
つーか、あの落ちてきた女子はやっぱりあいつに殺されたのか……? だったら目撃者である俺も殺すって事か? くそ、意味がわからん! だが―ー!
「上等だ……。殺せるもんなら、殺してみやがれよっ!!」
アプリケーションのダウンロードが終了する。即インストールしながら説明文も全て読み飛ばす。狭い路地へと駆け込んだ。やっぱり他人をまき沿いにするわけにはいかない。
しかし俺の行動がわかりきっていたかのように電話の向こうの声は落ち着いていた。インストールの間、ケータイを耳に押し当てる。
『路地に入ったらもう少し時間を稼げ。アプリが起動すれば問題は解決する』
「時間を稼げって――うおっ!?」
真上から落ちてきた蜘蛛の足の一本が俺の足元に突き刺さる。慌てて後退し、転がっていたゴミ箱を投げつける。しかし散乱するゴミも、そのゴミが入っていた箱もヤツをすり抜けてしまう。
周囲にある物を投げまくって見るが、ヤツに命中した瞬間ヤツが一瞬“ブレる”くらいで、他に効果は見られない。本当に陽炎か何かを相手にしているみたいだ。
じりじりと後退を余儀なくされる。そうして直ぐに気付いた。後ろにはもう道がない――袋小路に入り込んでしまったんだ。思わず冷や汗と共に妙な笑いが込み上げてくる。これは――死んだか!?
蜘蛛が機械的な口を開きながら迫ってくる。動きまで機械的で気味が悪い。壁に背を預け、携帯電話に目をやる。ディスプレイにはインストール完了の文字が浮かんでいた。
「頼む……! 頼むから、何とかしてくれぇっ!!」
もう半ば投げやりな気分でアプリケーションを起動する。ディスプレイが真っ黒になり、紅い文字でそれは表れた。
――Are You Raedy?
「うわっ!?」
突然ケータイが青白い稲妻のようなものを迸らせた。それが何なのかわからない。痛みはないが、ケータイを持つ手が熱い――!
迸る電撃はあちこちへと飛び散り、やがて全てが意思を持つかのように集約する。そうして落雷となって蜘蛛の正面、俺の正面、二つの狭間、薄汚れた水溜りへと直撃した。
電撃と衝撃、強く吹き荒れる風に思わず腕を翳す。蜘蛛もまた突然の出来事に混乱しているのか、ゆっくりと後退して行く。青白い稲妻は段々と色を変え、気付けば真っ赤な光を炸裂させる。
水溜りが爆ぜた。上空に舞い上げられた泥水の全てが真っ赤に染まり、それと同時に先ほどまで水溜りであった場所から腕が生えてきた。
「……は? 腕が生えてきた?」
何を冷静に考えているのだろう。しかしそれが事実だった。飛び出した巨大な腕が蜘蛛の顎にアッパーを食らわせる。かなり気持ちいい具合に決まったアッパーで蜘蛛は後方へと思い切り吹っ飛ばされた。
水溜りから腕が二本、そうして這いずり出るようにして異形が姿を見せる。現れたのは紅いロボットだった。古めかしいデザインに、奇妙な造詣の顔……。手足の長い、やや生物的な二足歩行ロボット。
六つある瞳が輝き、その全てが俺を見ていた。思わず息を呑む。蜘蛛を吹き飛ばしたロボットはゆっくりと振り返り、俺を見下ろしている。
全長3メートル程だろうか。この狭い通路では腕を振り回す事も満足に出来ないだろう。ロボットは俺を一瞥し、振り返る。背後では姿勢を持ち直した蜘蛛がこちらを見ていた。
『“ジュブナイル”――そのロボットの名前だ。そいつはケータイのアプリを通じてでしか指示を出せない。指示を出せばお前の思い通りに動くが、出さなきゃ突っ立ってるだけのガラクタだ。指示を出せ、響! お前のVSに――!』
携帯電話を耳元に当てる。通話は終了してしまった。ロボットは俺に背中を見せている。それは俺に指示を求めているように見えた。
「ジュブナイル……。なんだか良く判らんが――ッ!!」
ああ、そういえば子供の頃――この手のロボットアニメに憧れたっけ。
俺は自分で操縦するロボットのほうが好きだった。乗り込んで、悪と戦うヤツだ。あんまりにも古めかしすぎて、誰もそのロボットの話に見向きもしてくれなかった。
だからオモチャ箱の中にしまいこんだまま、忘れっぱなしのロボットの超合金――。でも、覚えてる。俺は本当に、本当にその時憧れていたんだ。テレビの中のロボットに……その、紅いロボットに――!
「ジュブナイル!! とりあえず――ロケットパアアアアンチッ!!」
ロボットが瞳を輝かせて前進する、それと同時に片腕を大きく振り被り、眼前の蜘蛛目掛けて拳を突き出した。
嵐のような風が路地の中に吹き荒れる。ロボットの腕は射出された。ロケット噴射をしながら、握り締められた硬い拳は吹っ飛んでく。文字通り、白煙を巻き上げながら、“ロケットパンチ”を――炸裂、させ――!?
あまりの衝撃に天地がひっくり返ったんじゃないかと思った。俺は壁に背中を打って――本日三回目――倒れていた。ロケットパンチが蜘蛛に命中した瞬間、凄まじい衝撃と轟音が世界を揺らしたのだ。
ゆっくりと顔を上げる。蜘蛛の姿はもうなかった。何となく、倒したんじゃなくて逃げられた……そんな気がしていた。
「いってえええ……っ! おい、真面目にふざけんなよなんだこれ……」
ロボットを見上げる。ロボットは俺を見下ろす。
「……かっ……ちょええええええっ!!」
まさにそれは“ジュブナイル”だった。俺が昔憧れた、鋼鉄戦士ジュブナイルだ。再放送で夕方にやっていたアニメ……その主人公ロボが俺の目の前にいた。
しかしそれはアニメのやつと比べてかなりちっこい。いや、これでも充分にデカいわけだが……。それにしても、何だか俺の知っているジュブナイルよりもだいぶかっちょよくなってるような気がする……。
「しかし……どうすんだこれ。どうやってしまうんだこれ」
ケータイを見やる。VSアプリケーションを終了してみた。目の前にいたジュブナイルは一瞬で消えてしまった。電源を切られたテレビみたいだ。
ようやく世界に異質なものがなくなって一息つくと、ある事に気付いた。あれだけとんでもない衝撃が走ったというのに、路地には傷跡ひとつない。一体何がどうなっているのか……。
「なん……だったんだ?」
ずるずるとその場に座り込む。今になってどっと疲れが出てきた。俺は一体何をしてたんだ? 履歴に残された自分のケータイからの電話……。氷室の言っていた“自分コール”の痕跡そのものだ。
まさかこんな非現実的な事が普通に我が身に起こるとは思って居なかっただけに混乱したが、思えば別に大した事じゃない。噂は本当でした、ただそれだけの事だ。どうせ噂になるくらいなんだ、俺以外にも体験したやつがいるんだろ……。
「だとすると、世の中の都市伝説って結構本物なのか……? いやいや、まさかな……」
氷室が大喜びしそうなネタを仕入れちまった。くそ、どうすんだよこれ。なんなんだVSアプリって……。
空を見上げる。ああ、蒼かった空はもうとっくに夕暮れ……。時間が経つのは早いなあ――って、バイドがっ!?
「うおおおっ!? 間に合わないぞこれ!?」
一人で雄叫びを上げ、再び走り出す。しかも鞄――どっかに落としてきてる……。探さないと……ああもうっ!
何が何だかわからないまま、元来た道を走り出す。今は兎に角ロボットがどうより、バイト先にどう言い訳するか、そっちの方が問題だった――。