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博士が這うようにして背中を向け、走り出す。
いつもの扉が開き、すぐに閉じた。窓はない。
上から今度は煙が舞い降りてきた。
レオナルドは無意識に呼吸を止めた。これは体に取り込んではいけない、と脳が判断した。
「落ち着け。レオはもう」
扉の向こうで、博士はそう叫んだ。
銃声。
また博士の叫び声がした。他に誰かいる。
どうする。
窓はない。換気口はどうだ。
いや、無理だ。
レオナルドは自分でも驚くほど、今自分がどういう状況にあるのかを理解していた。この部屋に入ってきた人間は、博士一人ではなかった。
だから、おおよそ扉の向こうにいる人間がこれから自分をどうするのかも、想像がつく。
それに博士からはいろんなことをすでに学んだ。
扉が、ほんの少しだけ開く。