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どれくらいの時間がたっただろうか。
レオナルドは、すべての肉を食べ尽くし、横たわっていた。だが体は波打つほどに激しく動いている。
レオナルドの意志ではない。
また、眠くなった。
夢か?
硬くて、薄い色の土。そこを駆けている。
腕をしっかりと振り、前だけをみて駆けている。
気持ちがいい。
ムカつく顔の人間の頚動脈を噛み切ったときくらい気持ちがいい。いや、知らんけど、ここから出たことないし。
速く走りたい。
タイソンもカーターも抜いて、ボルトも抜いて、誰よりも速く駆け抜けたい。
「くそ、鎮静剤の散布だ、落ち着くんだレオ!」
なにかを蹴った気がした。
レオナルドは、目を覚ます。また体が濡れている。匂いもする、異様な悪臭だ。
「レオ、動くな」
レオナルドは見上げていた。目の前に博士がいて、銃のようなものを自分に向けている。
その後方。
なんだ?
あのガラスはどこへ行った?
足元。
あの5cmの幅があったガラスの壁は6つほどに割れて、床に倒れていた。
「レオ、いい子だ」
博士が生唾を飲んだのがわかった。