かたくななカカシ
掲載日:2017/12/27
『かたくななカカシ』
かたくななカカシがありました
山里に
住む人はとうになく
ひからびた田んぼには
すすきが茂っておりました
守るべき米のひとつぶも
落ちてはいません
麦わら帽子を拾ってくれるような人は
誰ひとり通りません
いつのまにか
着物ははがれおち
顏は破れ
かしいだ棒きれのような姿で
それでも
カカシは
かたくなに立っておりました
晴れた日の暮れ方には
カカシはほんのりと
柿の実色に染まりました
そして
ときどき風が吹けば
カカシは
呼ぶでもなく
泣くでもない
細い笛のような音を立てるのでした




