Reincarnation
鼓膜が破れそうになるくらいの爆音にも似た音が周囲には響いている。
「ここは…」
少年が目を開くと光輝く星と月が視界に入ってきた。
「うそでしょ。このタイミングで新入りとか、かばいきれない」
いきなり聞こえてきた声に少年は顔を横に向けた。するとそこには黒髪で長髪の高校生くらいの女の子が立っていた。
「ここはいったい」
「話はあと、とにかく今はこの場から逃げるわよ。さあ」
そう言うと少女は少年の手を取り走り出した。ビルが立ち並ぶ待ちの中を手を引っ張られ走らされているこの状況に少年の頭は全く追いついていなかった。
「なんなんだよここは。てか逃げるって何からだよ」
少年はそう言って少女の手を振り払った。
「まぁたしかにいきなり逃げろとか言われても困惑するわよね。敵もついてきてないみたいだし自己紹介をしとくわ。私は空野 茜よろしく。」
少女の落ち着いた自己紹介に少年も落ち着きを取り戻しゆっくりと話し出す。
「お、おう。俺の方こそごめん。いきなりで頭がおいついてなかった。俺は、おれは…あれ?名前が出てこない。」
「記憶がないパターンね。心配しないでじきにもとに戻るわ」
「記憶がないパターンってどういうことだ?」
少年がその質問をした瞬間さっき通ってきた道の方から何かが走ってくるような音が聞こえてきた。
「やばい。敵だわ。でもこの足音からすると敵は1体見たいね。ちょうどいいわさっきあなた敵って何って聞いてきたわよね。今からそれを見せてあげるわ」
そして少女は腰のあたりから銃のようなものを取り出した。
「それって本物か?」
少年は少し動揺しながらそう聞いた。
「もちろんそうよ。それよりもうそろそろ来るわ。あなたは後ろに下がってて。」
少年は言われるがまま少女の後ろに下がった。そして少女は持っていた銃を前に突き出し構えをとった。
「なんだあれは」
少年の視界に入ってきたのは全身黒いオーラのようなものに覆われた人型をしたものだった。
「よしきた」
茜はその黒い何かに向かって銃を撃ち始めた。
迫って来る敵に向かって茜は右足、左足と撃ち抜き相手を動けなくさせた。
「トドメだ」
そう言うと茜は黒い敵の頭を狙いそして撃ち抜いた。
「いっちょあがり」
頭を撃ち抜かれた敵はまるで蒸発するかのように煙となり空に消えていく。その光景をポカーンとしながら少年は見ていた。
「どうだった。あれが私たちの敵。私たちはあれをブラックって呼ぶの。ネーミングセンスがないのはうちのリーダーに言ってよね。」
ポカーンとしていた少年がその言葉を聞いてある疑問を持った。
「リーダー?」
「あぁそういえば言ってなかったわね。私たちは何人かが集まった部隊みたいなもので活動しているの。それよりそろそろ時間だわ」
そして周りに大音量でサイレンが鳴り響いた。
「よし。今日の戦いも無事終わったー。いろいろ聞きたいことはあると思うけどそれは私たちの基地についてから説明するからとりあえずついてきてくれる。」
「あぁ」
そして少年は言われるがまま茜の方について言った。
2人はビルの間を10分くらい歩き続け少し古びたアパート的なところに入っていった。
「ここよ。入って」
そう言って茜はドアを開けた。
「ようこそ。私たちの部隊へ」
ドアの向こうの部屋には10人程の男女がいた。
「おかえり、茜ちゃんそいつは新入りか?」
「あかねちん今日も無事におかえりー」
「へぇー新入りとか久しぶりじゃん」
中に入った瞬間誰が喋っているのかわからないくらい声が飛んできた。
「ちょっとみんな落ち着いて。新入りの子が戸惑うでしょ。まず自己紹介しようよ。とりあえずリーダーよろしく」
そう言って茜は場を静めた。そしてみんなの自己紹介が始まった。はじめに1番奥の椅子から男が話出した。
「よし。じゃあ俺からだな。リーダーの龍崎 拓人だ。よろしく。呼び方は拓人とかリーダーでいいぞ」
「こちらこそよろしく。拓人」
親しみやすそうだけどかなりしっかりした感じだなぁと思いつつ少年はそう返した。
「次は私ね。私はこの部隊のブレインを担当している茜。改めてよろしくね」
そう言って茜も自己紹介をした。
「こちらこそよろしく」
こいつブレインだったのかぁと内心思いつつ言葉を返した。
「次は順番的に俺だな。佐藤 健だ。よろしくな」
「よろしくな。健」
そうして計16人全員の自己紹介が終わった。
「よし。最後は新入りくん君の自己紹介を頼むよ。」
拓人が少年に向かってそう言った。そう言われると少年は一歩前に出て話し出した。
「どうも新入りです。記憶が無くて自分の名前が思い出せないがよろしくお願いします。まだこの世界のこととか全然わからなくて今理解しているのは、みんながあのブラックとかいうやつと戦ってるって事ぐらいで…。なんていうかまぁよろしくお願いします」
少し緊張しながらも自己紹介を終えた少年に健が肩に手をかけ喋りかけた。
「お前も記憶がないのかぁー。俺もここにきた頃は全く記憶がなかったけど日が経つにつれ徐々に思い出してきたんだ。だから心配すんなそのうち思い出すさ」
「ありがとう。健」
そう言って2人は握手をした。
「全員の自己紹介もおわったことだしとりあえず新入りくんにこの世界のことについて説明するか」
そう言って拓人が椅子に腰をおろした。
「新入りくん、君も空いてる席に座って。とりあえず新人が来たとき恒例のこの世界についての説明を始めるからな」
そう言って少年は近くのソファーに座ると質問をした。
「なぜみなさんはあんな敵と戦っているんですか?」
「うーんとねー。それはこの話が終わったあとに答えるとするよ。まずは、俺がこの世界に初めて来たときの話からだ。」
静かな部屋の中で拓人の声だけが響いていた。