0話 最悪の旅立ち
初投稿です。至らぬ点しかありませんがドラえもんの様な暖かい目て見守って頂ければ幸いです。
社会に出てしまえば、評価してもらえるのは所詮結果と経歴だけで、努力などは少しの加点にもならない。
そのことを15の誕生日の今日、嫌というほどに理解させられた。
==================================「面を上げよハインツよ、主は本日より騎士となったのだ。少しは喜べばどうだ」
先生はまるで祝辞の様に語りかけてくる。僕の任務を知らない訳じゃないだろうに。更に先生は続ける。
「騎士となったお前に国王様直々に任務が下されたのだぞ、あのお方から任務を受けたのは今年度の卒業生でお前だけだ。心して取り掛かるように」
まだそんなことを言っている。戦闘訓練トップの奴でも来ない命令が僕に来る訳がないだろう。僕だって知っている。使えない騎士は経費の削減の為[殉職]させられるのだということを。
入団1日目でなるやつも少なくないということも。
「任務の内容だが」
重々しく口を開く、もしかしたら生き残るチャンスがあるのではないか、その思いで頭はいっぱいだった。
「魔王軍幹部が少し離れた洞窟に潜んでいる
そこを調査してこいとのことだ」
暫しの間僕は驚きで動けなかった。桁違いだ。万に一つも生き残れない。
このことを聞いて、自分の一家の見栄えの為に騎士学校に入らせた父は一体なにを思うだろうか。魔導学校に入りたいと言っていた息子が殉職させられると知って慌てふためいたりするだろうか。
だが父の答えは全く違うものだった。
「この親不孝者が、だから俺は魔導学校に行けって言ったんだよ。こんな奴がいなくなると思うとせいせいするぜ」
驚いた、自分で言ったことも忘れていたのか。
「お前と違って弟はすこぶる優秀だよ。安心しな、我が家は安泰だ。思い残すことがなくて良かったな。安心して死ねよ」
父は弟以外眼中にないことをあまりのショックに失念していた。自分の言ったことを忘れていたのにも納得だ。
自分でもひどい親だと思う。
だが、こんなに嫌な父の言ったことなのに、何故こうも落ち込んでしまうのか。不思議と涙が溢れた。
居ても立っても居られなくなり、いつの間にか僕は支給品の粗末な槍を持ち、頼りない薄い鎧を身に付けて家を飛び出していた。