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三匹の夏休み 3.ガール ミーツ ボーイ&ガール

あ、秋の気配が・・・って、すいません、作中まだ夏ですっ!

心の中は夏休みっ! サラちゃんと一緒に、夏休みな気分を味わっていただけると嬉しいですっ!!


カタカタと街道を馬車は進みます。


普通だとものすっごーくガタガタってなるんですが、イーちゃんが馬車に特製の風魔法をかけてくれて馬車の部分が少し浮いているのです。お馬さんも引くのが楽なんで長距離走ってくれますし、浮かんでいる分そんなに揺れないんですよー。


でもね、人によってはフワフワして気持ち悪いっ!って言うこともあります。サラはお昼寝するのにちょうどいいので、好きですよ~。

アル兄ちゃまにもらったウサちゃんに抱きついて眠っている間に、ずいぶん進んだようですね。


王都からナールさまのご領地へ向かっていると、どんどん緑が濃くなってきます。


王都は、やはり建物が多くて緑が少ないですからね。

「人より、木の方が多い」って言われて笑ってしまいましたが、ほんとーでした。

 そして、ご領地では、牛さんの方が、領民さんより多いそうです。・・・すごい、牛さんの数ですねっ!見られるでしょうか?


「サラちゃん、起きてごらん。窓の外、ご希望の風景だよ?」

あれ、またいつの間にか寝ていたようです。

エドに起こされて眠い目をこすりながら馬車の外を観ます。


「う・わぁぁぁーーーっ!すっごーーい」

目の前に広がるのは、緑の海。匂い立つような緑が眼下に広がっています。

風に草たちがなびいて、まるで波のようにみえるのです。


風が吹くたびにざわざわと草が揺れ、それが日の光に照らされて色を変える。一瞬で淡い緑から、濃い緑へと鮮やかに姿を変えていきます。

その草原の緑が大きな白い雲の浮かぶ青い空に映えて、とってもキレイ、いつまでも見ていたいです!


「すごいねぇ、エドー。」

「そうだねー、あの牧草は牛さんや、馬さんのごはんになるんだよ。」

え、あんなにいっぱいあっても足りないくらい?・・・すっごい食べるんだね!


そんな緑の海を見入っているとその中に、小さな光が見え隠れします。

あれ、ここは小麦畑かな?


小さな光は楽しそうに跳ね回って、麦の穂をぴょんぴょんと飛び回っていきます。

小さくってよく見えないのですが、どうやら麦の穂に抱きついて祝福を与えては次の穂へと渡り歩きながらクスクスとたのしそうに笑っているような気がします。

麦に祝福を与えるあの小さな妖精は、きっと緑の精霊の眷属たち。


ということは、サラの大好きなお友達に歌につれられて来たに決まっています!


そう気づくと嬉しくなって、馬車の窓から体を乗り出して、行く先を探します。

小高い丘の上に小柄な体をピンと伸ばして緑の海に立つ一人の少女。リンちゃんです!


ほら、やっぱり歌いながら待っていてくれている。


「リンちゃーーーんっ!!」

馬車に気付いたのか、大声に気付いたのか、リンちゃんも笑って手を振ってくれます。


「こら、サラちゃん、そんなに乗り出したら、危ないって!」

「ふぇ、はあい。でも、もうちょっと・・・」

一生懸命に手を振っていたら、エドに馬車にひっぱり戻されました。でも、もう少しだけ、リンちゃんに手を振りたい・・・。


そおっと窓に寄って、手をふる機会をうかがっていると、エドにじろりと睨まれました。


「サラちゃん、危ないって言ったよな?」

「はぁい・・・」

うう、エドに叱られてしまいました。

早くつかないかなー。リンちゃんは、もう着いていたんだー。


もう、ワクワクが止まらなくって、そわそわするサラにエドは苦笑い。

「もうすぐ着くからな、少しだけ、我慢、ね?」

「はーい」


もう、別荘は、目の前です。


☆彡 ☆彡 ☆彡 ☆彡 ☆彡


「リンちゃーーんっ!」

馬車が止まると同時に、車内から飛び出てしまいました。「あ、こらっ」ってエドの声が聞こえた気がしますが、もう止まらなかったんですよ。


で、案の定、慌てて降りたので縁に躓いてしまいました。

「きゃあ・・・っ!」

高くなっている馬車から落ちていく感覚があり、次にくる衝撃に体を固くします。

地面に激突って、ぜったいに痛いっ!よねー。


でも、その衝撃はやってこなくって、その代わりにふわりと優しく抱き留められた感触があります。

「サラ、だいじょうぶだ」

優しい言葉に、そおっと目を開けるとそこには、もう一人のお友達がいました。


「ユーくんっ!」

「サラ、少し落ち着け、リンは逃げないぞ」

綺麗に淹れたお茶のような肌の色と、波打つ黒髪、黒曜石のような瞳を持つ竜人のユールくんです。ユールくんは卵から孵った時からのお友達なんです。

卵の中でぼんやりしていたら10年経ってしまっていたと話すうっかりさんでもあるんですが、とっても優しくって力が強くって頼もしいんですよ。


「さすがユールくん、ありがとうなー。サラ、慌てるなって!」

「だってぇ・・・」

エドにお小言をもらってしまい、ユールくんに抱っこされたまま、ちょっとむくれてみます。リンちゃんが見えたのに、じっとしていろと言う方が無理なんですもん。


「サラちゃんっ! もお、ユールばっか、ズルいっ!私だって抱きしめたいっ!!」

いつの間にか、走ってきてくれたリンちゃんが、ユール君毎でサラを抱きしめてくれます。

わーい、幸せっ!!


「はあ、しょうがないなあ、ユールくん、大変だと思うけど、二人まとめて中に運んじゃってくれ。

 とりあえず、お茶にしようや」

「平気です。二人は仔猫くらい軽いから、運ぶのに問題ない。」

ため息混じりのエドのお願いを聞いて、ユールくんは、リンちゃんを右手に、サラを左手の抱っこした状態で、スタスタと建物に向かって歩いていきます。


幾らなんでも、二人を抱っこしたままって・・・って思ったんですが、ユールくんは、顔色一つ変えずに歩いていきます。


「ユールくんってば、力持ち! で、でも、サラ歩けるよう~」

「気にするな、どうせすぐに着く」

「ああ、かっわいくなーーい。顔色一つ変えないって、もおー」

三人でおしゃべりをしている間に、玄関についてしまいました。

別荘の執事さんがニコニコを扉を開けてくれて、応接間に通してくれます。

お世話になりますーっ!


淡い緑色の地に可愛い小花柄の壁紙のお部屋には、レモン色のソファセットが置かれています。

ユールくんは、暖炉の前にある、三人掛けのソファーにサラとリンちゃんを下してくれました。


「わあ、ふかふかー」

「いいソファーだねー。さすがナール様んちだわ」

座り心地の良さに、ニコニコしながら二人でソファーに寝ころびます。

 ちょっとお行儀が悪いかもですが、リンちゃんとユールくんだけしかいないので、思いっきりソファーを堪能することにしました。

 わーい、クッションもフカフカですー♪


ウチの馬車を使っている分、あまり疲れていないと思っていたんですけど、やはり長時間の移動って、疲れるものでした。ソファーに座らせてもらって、コロンって寝そべったら、ふっと眠気がきました。


でも、だめ、・・・まだ、あそびたいの、リンちゃんも、ユールくんもいるのにぃ・・・。


「ああ、無理に起きなくていいから、ごはんまで少し寝ておいで」

・・・うう、でもエドぉ、サラはみんなと遊びたいのぉ・・・。


やだやだとダダをこねるサラに、クスクスとエドは笑いながら、頭を撫でてくれます。

大丈夫だよ、夏休みはこれからなんだから、って言いながら。



ちっさい子のお約束。着いた途端に電池切れ!(笑

さっきまで、物凄い騒いでいたのに、電車が着く少し前に寝落ち。。。お、お前、狙ったのか!?っていう時がありますよね。


サラちゃん、あんまり楽しみにしすぎて、コーフンしてみんなに会うまでに体力全部つかったようです。

まあ、今日はゆっくり寝て、明日は全開で遊びましょうっ!(笑


続きもお付き合いいただけると、嬉しいですっ!

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