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ビーゴ様の奥さんで超絶美少女マリアちゃんの話を聞くべく体勢を整えれば マリアちゃんが大きく深呼吸を何度か行う


そんなに緊張する内容なのだろうか?あれか?ビーゴ様の凶悪外見に愛想が尽きたとか?いやいや、それはないだろう、なんたって以前、その見た目が最高だと言っていたのだから


「あの・・・・一音様」


「うん、どうしたの?」


「・・・その・・・」


そういってマリアちゃんは言いにくそうに顔を背けた後、自分のお腹にそっとふれる

ん?お腹?・・・・ってんん?!もしかして・・・


「マリアちゃん・・・赤ちゃん、できたの?」


もしやと思って聞けば バッっと顔を上げてこちらを見てくる表情に確信してそっとマリアちゃんの手を取る


「赤ちゃん できたんだね?」


「・・・はい」


そう返事をしたマリアちゃんはどこか悲しそうに顔を伏せる、んー・・・


「・・・赤ちゃん、嬉しくないの?」


「そんなことありません!!すごく嬉しいです!!嬉しいのですが・・・でも・・・」


「でも?」


「でも・・・旦那様が・・・」


「うん、旦那様が?」


ぎゅっと手を繋いで辛抱強くマリアちゃんの言葉の続きを待てばギュゥッと手を握り返してきて


「以前、旦那様がお話をしていたのを聞いてしまったのです。子供ができたら、私の体に負担がかかりすぎるので産むことは許せない・・・と」


そう言うとぽろぽろとその大きな瞳から涙がこぼれるので思わず抱きしめて反対側にいるヴェーラさんを見る


「そうですね、確かに人の身に魔族の子供を宿すというのは命に関わる事ですから」


そういいながらヴェーラさんもマリアちゃんの頭を撫でる


「でも、でも私はっ、この子を殺す事なんてっ!!」


絶対にいやです!と半ば叫ぶように訴えてくるマリアちゃんに何か解決方法はないのか?と考えてしまう


「ヴェーラさん・・・」


「ええ、わかっていますよ魔王パート様、私も同じ女性です 愛する人との子供を殺してまで自分が助かろうとは思いません。

ですが、ビーゴ様の気持ちも分かります。逆の立場で考えればマリアさんを失ってまで・・・と考えてしまうのも仕方のないことだと思います」


「何か・・・方法はありませんか?」


「そうですね・・・方法がないわけではないのですが・・・」


「ないのですが?」


「腹立たしいことに天族の長であれば子供もマリアさんも助けることができるのです」


「天族の長・・・っていうとソレイユ様?」


「ええ、ロリショタ変態男女です」


「ヴェーラさん、マジで嫌いですね ソレイユ様のこと」


「大嫌いですよ(にっこり)」


笑っていない笑顔で大嫌いと断言するヴェーラさんに苦笑いしてしまう

まぁ、なんといいますか、天族と魔族ははっきりいえば仲が悪い、悪いとか言う言葉を越える険悪さだ

だが、天族の長であるソレイユ様と魔王(本物)様は言うほど仲が悪いわけではないが

性質上、まぁ水と油な属性同士でかつ天族は博愛主義なところもあり魔族の考えとは相入れないのは仕方がなく

また、ヴェーラさんがソレイユ様を毛嫌いしているのは性質以上に幼い少年少女に悶えるその考えや姿に生理的嫌悪を抱いているためなのだが


「んー、まぁ、それでも ソレイユ様ならマリアちゃんも赤ちゃんも助けることができるんでしょう?」


「はい、憎々しいですが」


「それなら話は早い・・・けど、とりあえず」


マリアちゃんをのぞき見れば涙は止まってはいないもののしかし心配そうにこちらを見ているのでポケットからハンカチを取り出してそっとその目元にハンカチを当てる

ごしごしこすると赤く腫れてしまうのであくまでもそっとだ、しかし美少女の泣き顔はこちらも心苦しくなってしまうなぁ

だが、泣かしてばかりでは話は進まないので


「ビーゴ様には話をするよ、いい?」


マリアちゃんに意思確認をする


「たぶん、どうにかなると思う だけどビーゴ様はマリアちゃんの旦那様でお腹の子供の父親だから話をしないままで進めるのはよくないと思う」


だからいい?と聞けば マリアちゃんは涙をハンカチで拭った後、はい と返事をする


「私と、旦那様の子供です。きちんと旦那様にお話をします」


「ん、良い子だね じゃぁ、私から話すけどいい?」


そう聞けばキュッと私の手を握ってきた後


「私から・・・私から話します

二人きりで ちゃんと、私の考えを聞いてもらいたいですし旦那様の気持ちもちゃんと知りたいです

でも・・・あの、話終えるまで待っていていただいてもよろしいですか?」


「もちろんだよ 終わるまでちゃんと待ってる」


はい、とマリアちゃんの返事をもらった後ビーゴ様を部屋に招き入れる

ちなみに今までの会話はヴェーラさんの防音盗み聞き禁止の魔法でビーゴ様には伝わっていないので部屋に入ったビーゴ様がマリアちゃんの泣き顔を見て盛大に崩れ落ちたのはまぁ・・・ちょっと愉快だった


だって、巨体で凶悪な見た目のビーゴ様が小柄で超絶美少女のマリアちゃんの涙でKOだよ?その後盛大にうろたえる姿にちょっと笑えたのは見逃してもらいたい


で、まぁ、部屋にマリアちゃんとビーゴ様を残して私とヴェーラさんは外にでたのだけれど

ではこれから確実にマリアちゃんの思いは通じるだろうという確信を持ってソレイユ様に連絡を取りましょうかね


スマホを取り出してとりあえずメールを一通


『いま、暇ですか?少し助けていただきたいことがあるのですが』


と送ればすぐに


『大丈夫ですよ、暇で死にそうでしたから

で、何かありましたか?』


と返ってくるメールにふすっと笑ってしまう、長なのに暇で死にそうって というか天族って基本不死なのだから死ぬはずないのにと


『新しい命とその命を宿している母親を助けて欲しいのですが』


『事情は察知いたしましたのでよろしいですよ とりあえずアリーヤ殿にそちらへ行く許可をいただきますので 都合がよろしくなったら改めて連絡をください』


『ありがとうございます 私からも魔王(本物)様にお願いしておきます いま、話し合い中ですので終わり次第すぐに連絡をしますのでその際はよろしくお願いします』


で、改めて魔王(本物)様にもメールを送る すぐに了承したという返事が来るのであとはあの二人の話し合いが終わるのを待つのみだ


「ねぇ、ヴェーラさん」


「はい、魔王パート様」


「赤ちゃん、楽しみだね」


ヴェーラさんを見れば ヴェーラさんはにこりと笑って


「ええ、どちらに似るのかも楽しみです」


「外見マリアちゃんで中身ビーゴ様とか?」


「逆かもしれませんよ?」


乙女なビーゴ様を想像してブフっと笑ってしまえば同じく想像したのだろうヴェーラさんもプッと吹き出している


「ロリショタ変態男女に頼むのは正直嫌ですが、新しい命が誕生するのは喜ばしいことです」


「ああ、魔族は出産率が低いんでしたっけ?」


「ええ、高位魔族の子供が産まれるのは確か・・・100年ぶりになるのではないでしょうか?」


「それはそれは可愛がられるでしょうなぁ」


ほのぼのとそんな会話をしつつ話し合いが終わるまで控えの部屋へ移動することにする

確実にマリアちゃんの説得が成功するのは間違いないのでさて、私はソレイユ様へのお礼を考えなければと改めてスマホを取り出し、通販サイトへリンクをつなげる


そう、ソレイユ様が気に入るであろうゲームを手に入れるために・・・




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