第8話 潜入
コラボは延期されました、誠にすいませんm(__)m。
案外あっさりとしたもので眩しいのが一瞬、次に目を開けたら何処かの森にいた季節は春なのか暖かく、小鳥のさえずりと心地好い風がふき平和そうだ。
「……はっ!皆は?!」
思考を現実に戻し、辺りを伺うと普通に皆はいた、ホッと安心しリュックから銀王を取りだした。
「みんな居るな、三つに別れるグレイとセイの話によると、回りに幹部クラスのエミティが六人いるらしい俺達の優先事項は奏歌をクロスの元に送り銀王で確実に仕留めることだ!」
輝が皆を見ながら、手順を説明し三つに別れる事になる。
「まずは伊吹、グレイ、夕夏のチーム、そして俺とセイのチーム、最後に奏歌、フロナ、クルツのチームだ出来るだけ早くクロスの元にたどり着いて勝負を決める!散会!」
それぞれの案内で障害を突破するため3方向からの奇襲を掛けることになる、そして僕がいかにクロスの力を封じれるかが勝負だ!
『コゾウ!我輩がついておるからな!』
「期待してるよ!」
皆を三方向にかけていく、クルツ達も移動しはじめたので僕も慌てて着いていく途中クルツに止められ茂みに隠れる。
「……数は5ってところっすね……フロナ、奏歌、俺が出来るだけ闘うっすから」
フロナさんの方をチラチラと見ながら曖昧に笑みを浮かべ飛び出す。
五つ分の悲鳴と共に肌寒い空気が流れてくる。
「クルツ強いね!」
『コゾウは気付いてなかったのか?』
微妙に様子の可笑しいクルツはフロナをチラチラ見ながらオドオドしている。
「行くわよ!」
「はい」
フロナさんの三歩、後ろに付き着いていくクルツ、僕もそれに続いた。
暫くは敵が出現せずに岩や土ばかりの谷に出る草は崖に少し生えている程度で、驚くことに僕達の世界が映っている。
『む……嫌な感覚なのだ』
「大丈夫かい?」
ブンがクッタリとダウンしてしまいリュックに待避させる、きっと僕には感じない力を察知しているのだと思う。
「近いっす……本隊は……」
「後1キロって所ね……まだ城から出てないわ」
クルツが鋭い視線を谷の向こうにぶつけ、フロナさんがモスグリーンの煙を出す。
「……リビール・アルゼン!……アイツが仕官の様ね……だいたいの情報は集まったわ」
「なんで分かるんですか?」
一人ぶつぶつと呟くフロナにたまらず聞いてみる。
クルツが代わりに説明しようとした時、フロナが手を出しクルツが下がる。
「あれは私のエミティの能力の一つです、煙の範囲を直に見ているのと同じ感覚で景色を見ることが出来ます、因に“黙視する千の目”(サイレント・アイズ)と私は名付けています」
もっとも、自分の能力に名前は付ける人はあまり居ませんけどね、と苦笑しつつ教えてくれる。
「へぇ〜、便利ですね!」
「フロナ、下がって……警備兵がくるっす」
急いで岩の影に隠れてやり過ごす、中世の鎧と日本の鎧を合わせて薄くしたような装備をしている人達が向かってくる。
「無駄な戦闘は避けたいわ……クルツ」
「はい」
クルツが素早く移動し、死角になるポイントに到達する。
「ん?がぁぁあ?!」
「いつの!あが?!」
敵が目の前を通り過ぎた瞬間にさっと飛び出し首をもち回す、続けざまに氷で作ったナイフで頸動脈を切り裂く夥しい血が噴水のように出てクルツの足元に広がる。
「やっぱり、慣れないなこう言うの」
『その方がいいのだ、コゾウよ』
胸がムカムカする感覚を押し殺し、先に進む丁度広い草原の用な土地に巨大な建造物が表れる、その回りに地面が真っ白に埋まって雪が積もったような数のタイプ・デーモンとその約半数がエミティがいる。
『むぅ………なんて数なのだ』
「うん、これはヤバいよね」
背筋がゾクゾクと電気が走った用な感覚を味わい、改めて自分の役割の重要性でプレッシャーがかかり胃がキリキリする。
「クルツ」
「はい、いくっすよ奏歌、そろそろ輝や姫守様が着いているころっす」
クルツがフロナの手を取り急な坂を下る。
「そろそろっすね」
「えっ?!」
身を隠しながら城の裏手に付くそこには無数のタイプ・デーモンとエミティが転がりその中央にバンザラ頭に丸眼鏡の長身でヒョロッとした青年が立っていた。
「お疲れ様です、トレス」
「いえいえ!セイ様のためです!俺もクロス様のやり方には反対ですから!」
すごくテンションの高い人だ、いちいち声がうるさい。
「あの〜彼は?」
「彼はトレス・G・グラドリースっす、セイ様の志に共感してくれた穏健派のメンバーっす」
クルツが説明してくれたので、挨拶をしようとしたら手を握られブンブン上下に降られる首がガクガクと揺れ気分が悪くなる。
「俺、トレス!よろしく!!」
「はぃ、よ、よろしく……うぷ」
幸運にもリュックにあった酔い止め薬をブンが渡してくれたので直ぐに復旧した。
「皆の準備は?」
「はい!間もなく先行部隊と交戦に入ると思われます」
「戦力差は明確です、混乱を興せたら直ぐに撤退を」
「はい!承知しています!」
フロナの物静かな雰囲気(プレッシャー?)を相殺出来るトレス、ちょっと凄いと思ったり。
「では、進みましょう、クルツ」
「はい」
『気合い入れて行くのだ!』
「任せてよ!」
各々、戦闘準備を済ませぽっかり空いた穴から城内に潜入した。