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第22話 砕ける王

クロスに決めの一手が決まった、全神経を集中し出せるだけの力を込めた、そして一気に振り抜くドンと発砲音と共に魔除針を叩きこむ。


「……ふふ……なかなか効きますね……直に受けるのが一番です、その武器はもう学習しましたよ」

「そんな?!確かに効いたはずなのに」


痛む身体をお越しクロスを見上げる、確かにあの瞬間完璧に決まっていた……でも、次に目に入った光景にはひび割れた魔除針に円形に陥没した地表、そして冷や汗を垂らすも冷たい視線を僕に浴びせるクロス。



『大丈夫か?コゾウ』

「な、なんとか……うわぁ?!」

「さぁ、消えなさい」


再び銀王を構え魔除針を装填しようとするが死線が肩を掠める、鈍い痛みと肉の焼ける嫌な音が響く。


「っう、うぅ」

『コゾウ!』


余りの痛さに膝を着き苦痛の声が喉の奥から込み上げる、それを必死に圧し殺しクロスと向き合う溢れる涙を拭い震える脚に力を入れ直した。


「……もう貴方は勝てません、大人しくオモイデになりなさい」

「拒否する!てりやぁぁ!」


気合いと共に一撃、それを弾かれ斜めから仕掛ける。クロスは顔色一つ変えずに的確に受け流し翼の刃が左右から迫る、上手く回避し翼に銀王を叩きつける。


「……な、なんで……ブン!もう一度だ!」

『うむ!』

「諦めが悪いですね!もうその武器のスペックでは私を越えることはできませんよ」


砕けた翼は直ぐに元に戻る銀王の効果は全く通じなくなっている、それどころか力が増しているのだ。

また魔除針を装填し仕掛けるがクロスの声が響き死線をまともに受ける。


『なぁぁんとぉー?!』

「うぁぁ?!」


なんとか磁力防御と銀王の無効吸収化で消し飛ぶ事はまのがれた。

瓦礫に埋もれ痛むからだを必死に動かす、頭がボーッとするが次の攻撃が迫る地面を転がり回避に成功するが銀王から魔除針が弾きだされている。

「けほこほ、うっ!」

『不味い!』


追撃の攻撃が容赦なく迫る、魔除針を装填していない銀王では受けきれる訳もなく爆風に吹き飛ばされた。

『むぅ……しかた有るまいコゾウ』

「な、なんだい?」

『我輩をくれてやる、一時的に人間をやめるのだ』


突き刺さる羽を全てかわすが空いた穴に落っこちてしまう、肩で息をする僕にブンが小さい体で僕を起こそうと頑張ってくれる。


「どうゆうこと?人間を辞めるって?

『うむ、今我輩がコゾウに貸しているのはほんの三割程度の力なのだ、本来は相容れぬ存在……同調し我輩達“鬼”がお主たちに合わせて貸して!回避!』

「ごちゃごちゃと余裕ですね、次はどんな事をしてくれるのですか?」


真上から棍棒を突き刺すように鋭い一撃、其を銀王で受け止め距離をとる。


『……いるのだ』

「だから?」

『簡単に言うと同調(シンクロ)率を十割にし鬼人になってもらう』

「えぇぇ?!っ!この!」

「貧弱!」


力負けし大穴の空いた場所に追い込まれる底が見えないくらい深い穴は不気味な音が小玉しクロスの攻撃力の強さを改めて認識する。


『安心しろ呑まれぬ限り我輩が力の供給を辞めれば直ぐにもどる』

「じゃあ!勝てる?!」

『うむ勝率は上がるが問題もある、時間が少しばかりかかる30秒』

クロスの攻撃を交わし真上をとる会心の一撃は呆気なく避けられ死線が降り注ぐ幾らか直撃しそうになるが氷で防がれる。

続いて白い鎖が無数、白い電気を纏わせクロスに迫る。


「奏歌!話は聞いたっす、時間は稼ぐっす!」

「クルツ!」

「う……レイ行けるか?」『やってくれたわね!春樹反撃は四倍返しよ』


ハルくんとクルツが復活し戦闘に参加するクロスは特に驚いた様子もなく二人を相手に闘っている。


『うむ、では始めるぞ強く意識を保て呑まれたら悪鬼になる覚悟は良いな?』

「うん」

『……徐々にでいい我輩の力を感じろ』


ブンが呟くと睡魔にも似た微睡みを感じ重力がないかの用に体が軽くなる。

感じる鼓動……ブン……そして同時押し寄せる様々な感情と思い、願い、絶望、喜び……感情が頭に直接訴えかけている用な感覚……頭が割れそうに痛いが、ふわりと手を握られる暗かった空間にポツリと白いシルエットそしてユックリと僕の中に入っていった。


「………成功したのか……ブン?」

『うむ、成功なのだ今我輩はコゾウと一心同体……半鬼人』

「凄い力……これなら!勝てる!」



回復する傷に目で追うのが精一杯、なんとか音と勘で回避してきた動きがハッキリと見える。

銀王の耀きも比べ物にならない位力強い光を放ち、優しい光が周囲を照らす。


「っ!ここ…までだ…な」

「そう…っす……ね」


肩で息をし、疲労困憊なうえボロボロのクルツとハルくんとは対象的に無関心な瞳と涼やかな表情を見た目相応の笑みを浮かべ歓喜に体を振るわせている。


「いいですよ、実にいい!貴方は楽しいですよ……さぁ、来なさい」

「いくぞー!」


地面を強く踏む、一気に距離を詰め一撃続いて二撃、受け流されるだけだった攻撃はスピードが極端に上がった事によりクロスも正面で受け止める。


「ふふ……面白い!」

「ぐっ!うぁぁあ!!」


あらんかぎりの力で振り抜く片手一本だったのが二本使わせることは出来たが甘くはないこれでもクロス相手にいつまで持つかわからない。


「おぉぉおおお!!」


磁力が磁場に進化し体から紫電の渦が出来上がり谷を囲むように磁場のフィールドが出来る。


「なるほど……少しでも勝率を上げようと」

「はぁぁあ!!」

「?!」


クロスが驚くのは無理がないだろう何故なら僕が瞬間移動をしたからだ、棍棒で防御されたもののクロスの軽い身体を浮かせるのに十分らしく吹き飛ぶ、そして止めとばかりに砕けた瓦礫や岩などが一斉にクロスに向かい飛来する。


「……勝ったのか?」


岩の塊は地面に落下し腹に響く地響きを立て沈黙する。

が、白色の凶暴な腕が現れ僕に殴りかかってくる其を弾き飛ばし叩き潰すが直ぐに復元し6枚の翼が出現し岩は砕け肩から血を流すクロスが現れた。


「どんな手品を使ったのかしりませんが興味が湧く、さぁ続きをどうぞ」

「っ!」


再び紫電が辺りに広がり高速の連撃を浴びせるクロスはあえて防御はせず直に受ける、確実にクロスの力を奪っている筈なのにダメージや疲労感が皆無なのだ。

「これじゃ魔除針のストックは持たない……!ぐ!」

「理解しましたよ過去に貴方に近い能力を持つエミティの戦闘パターンと同じ……磁場の波にのり超高速の戦闘にギンオウ?の能力を合わせたパターン」

「……」

「常人なら貴方は間違いなく強者ですが私の前ではただの弱者です」


はっきりと言い切られた、解いてしまった問題に興味は無いと言わんばかりに鈍痛が全身に広がる、殴られた?

鬼の眼でも反応出来ない、壁に叩き付けられ陥没した地面に落下する。


「さぁ、もう余興は無いのですか?」

「かはぁ……かはぁ……くそ!まけるかぁぁ!!」



喘息の用に息がヒューヒューとなり目が霞む、どうしようもない力量を見せられ悔しくて涙がでる、それでも立ち上がり最後の魔除針を装填し極限まで集中する。


「はぁはぁ…ソウ無理…するな……くそ!こんな時に」

「不甲斐……ないっす……」


必死に炎を出そうとするがライター程度の力しか出ずクルツも顔色が凄く悪い。そんな二人に強がりの笑みを浮かべクロスと向き合う。


「ブン…僕の強がりにもう少し付き合ってよ」

『うむ、我輩はコゾウの相棒、最後まで付き合う』


頭の上からではなく心に響く声に頷き、特攻する。

ぶつかり合う銀王と棍棒地響きが広がり力と力の余波で地面が陥没する、全身全霊の攻撃は後何回続けられるかわからない。


「!威力が上がった?」

「はぁぁぁ!」


押しきり磁場の波に乗り攻撃、殴打、殴打、殴打。

自分の声とは思えない用な怒声と戦闘に恐怖を覚える。

中距離、遠距離の戦闘では圧倒的に劣る僕達は闘いとは言い難い超高速かつ超近距離での攻防へと持ち込む。


「つおぉぉぉぁ!!!」

「っつ?!」


激しい紫電を纏わせた銀王を振り抜く、クロスの顔が初めて苦痛に歪むクロスの小さな体を通りこした余波は地面を陥没させ地形を変えて行く。


「はあぁぁぁぁあ!!雷桜閃花!!」

「!!させません」


銀王の耀きが増し銀色の桜吹雪とオレンジの死線がせめぎあう、最後の一撃だ死力を尽くしたこの一撃………。


「受けとれぇぇ!!」

「っ……く…ああ!」


爆発が当たりを吹き飛ばし森が谷がただの広野とかすピンとはりつめた静寂は鈍い音と共に綺麗に消え去る。


「……今のは危なかった」

「あ……あぁ……銀……王……」


僕の腕は自分の力に堪えられず複雑骨折をしているだろう痛すぎて痛みも感じない。左目が見えない右目も霞むしクロスに支えられている状態で銀王を見つめるクロスの棍棒が深々と刺さりヒビが入る。

酷くスローモーションに見える銀王が砕けた……。

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