第19話 力走!迷走!疾走!
ちょっと過去の話です、ついでに戦闘が多いのでこんなタイトルに(--;)
暗い岩地を全力で駆け抜けるさっきから閃光と爆音が響き僕を焦らせる。
『む…勇者の存在が薄くなりつつあるのだ!』
「そんな!」
急いでいる気持ちで冷静さを失ったのが仇となった、左から来た熱線に気付かず爆発に巻き込まれてしまう。
「っ……な、なんだ?!」『コゾウ!左に三歩、後ろに飛べ!』
「う、うん!」
左手の火傷が痛い、ブンの指示にしたがい行動すると今度は雷撃が背後から迫る。
『コゾウ!右に五歩!目の前の木を盾にするのだ!』
「っ!わかった!」
雷撃が右肩にかする、腕が痙攣し銀王を離してしまう、体に力が抜けて元の身体能力に戻ってしまう。
当たる!と目を固く閉じるが周りの空気が寒くなり左手に心地好い冷たさが伝わる。
「はぁはぁはぁ、間に合ったっす、大丈夫っすか?」
「クルツ!」
目を開けると肩で息をしているクルツが火傷を冷やしてくれている。
僕を庇うように前に立つと暗闇をにらみ、見回す。
「そこっす!」
手をかざし冷気が周りを冷す大量の氷柱が木々に刺さり周りが北極のようになる。
「酷いな!同じ存在なのに!」
「違う!」
突然暗闇から声が響きさっきの熱線が氷を蒸発させる霧に包まれクルツに抱えられるようにして回避する。
「何が!違う?!何故違う!ケイトの事は認めたのにか?」
「お前は俺じゃないっす!同じなんかじゃない!ケイトだっつてそうっす!」
霧が晴れると今度は厳密には違う、けど同じクルツがいた、ただ向こうのクルツの方が二十歳ぐらいだと思う。
「トレイス!待ちなさい!あくまでもクルツの意匠で」
「わかったよ……たく」
険悪なムードがケイトさんの登場で収まる、僕はと言うと完全においてけぼりだ。
僕自信も関わるべきでは無いと思うからことの成り行きを見守る。
「……ケイト」
「クルツも!トレイスも落ち着きなさい!」
ケイトさんの一喝にクルツとトレイスさんはお互いに能力を抑えた、と言うかクルツはいつまで僕を抱えているんだろう。
「クルツ、やはり一緒に来ないのですね?」
「フロナを一人には出来ないっす」
「てめぇ、ケイトの言うこと聞けね」
「トレイス!」
「そう……仕方ないわ、クルツ待っていますから、行きますよ、トレ……ぐふ!」
「「ケイト!!」」
「ケイトさん!」
ケイトさんの胸に金色の矢が刺さりクルツが急いで駆け寄り矢を抜き氷で傷を塞ぐ。
「いけないなぁ……裏切りは良くないお前達は対クロス用の切り札なんだ……それも、みすみす逃すかよ!」
「てめぇ!!リガン!」
「たく!可笑しいと思ったぜ!俺様の計画が徐々にずれてるとお前の仕業か兵器共……ドールシリーズの動きが鈍いし、まさか俺様に攻撃を仕掛けてくるなんてな!」
再びボウガンを打ち出し、地面に刺さる、紫の空間が渦巻きそこから大量の怨霊とおじいさんの場所で降ってきた雷の剣を持った巨人が出現した。
「ジャンクは要らねえ!そこの二体と赤毛のガキは生かせよ!」
「させないっす!」
氷で攻撃を仕掛けるが巨人には効いていない用だ、クルツは僕を離して銀王を拾うように指示する。
「奏歌!先にいくっす!道は開けるから!早く!」
「わかった!」
『コゾウ防御だ!』
声すらもあげる事が出来ず遠くにふっとばされる。
「かはぁ、ゲホっ……」
「おっと、以外にタフだな気を失ってないな……それにかわいい♪」
『こ、コゾウに触るな!!』
「おっと、残念だなオチビちゃん、ぼくチンの能力は“外部からのダメージ”は完全向こうなんだ、よ!」
『うご!』
「ブン!このぉ!そんな!銀王でもダメなのか!」
「はいはい!効かないから大人しく寝てな!」
「っう!バカ力だな!」
細身なのにとんでもない力だ、木に叩きつけられ肺から空気が抜ける。
「させ連れていくか」
「ソウに触れるなー!」
突然爆炎が男に直撃し火だるまになる顔を挙げると大きな木箱を抱えたハルくんが僕を心配そうに見ている。
「待ってろ、レイ」
『ほいさ』
レイさんから白い炎が出て僕にかかるすると体の芯から暖まり傷と疲れが無くなる。
「ここは俺に任せろ」
「ハルくん!クルツが危ないんだ早く助けてあげて!」
「任せろ!」
『切り替え早!』
レイさんが突っ込むがハルくんは軽く無視しクルツのもとえと向かった。
「おっと、油断した……さて赤毛ちゃん、ぼくちんと一緒にいくよ」
『コゾウ、一端はなれろ!』
「酷いな、大人しくしてくれれば手荒な真似はしないさ」
大丈夫だといったものの正直、対策がない避け続けていると突如後ろから柔らかき暖かいものにぶつかる。
「大胆ね♪」
「ノ、ノ、ノベル?!」
「お!いい女、ジオさん好みだ!」
微妙な雰囲気になったが、さっきからオレンジ色の閃光と爆発が目立つ、勇者さんが危ない!
「でも、残念!おねいさんは死んで!」
「邪魔よ、消えなさい」
二人がすれ違い、ノベルは平然としているがジオは震えている。
「あれ?可笑しいな外部からの攻撃は効かないのに」
「死になさい♪」
「ぎやぁ?!」
「ペラペラ、能力を喋るからよ」
全身の血管が浮き上がり、爆発して肉片とかした……余りのグロさに目を強くつぶってしまう。
「いくまえに」
「んん?!」
恒例のキスをされる、逆らえない自分が情けない用な気がする。
「大分中和出来たわね」
「中和?」
「貴方は私がキス魔だとでも思ったの?……みたいね、いいわ行きなさい、私は用があるから」
僕は顔に出やすいのかな、そんなことより早く勇者さんの所に行かないと!