第13話 もう一人
ひたすら長い廊下を走り時々でてくるエミティやデーモンを蹴散らし先に進む時折見える外の様子は穏健派の皆が敵の撹乱を招き城の至る場所から聞こえる戦闘音が僕の耳に入る。
「退いてくれー!手加減なんかできないぞ!」
『コゾウ!』
「わかってる!はぁぁ!」
ブンのサポートとフロナさんの煙幕の能力そしてクルツの氷で効率良く進む。
大きな扉の前に差し掛かろうとすると地面に亀裂が入りバラの様な機械が出てくれその中央には人間が沢山のコードで繋がれていた、触手を降り攻撃を仕掛けてくが銀王で弾きクルツが地面に手をかざし大量の氷の刃が獲物に迫る。
「くっ!俺だけじゃ満足出来ないのか!」
「クルツ?」
クルツが憎しみを表した表情をし向かって行く向かって来るミサイルを氷で撃ち落とし爆風に紛れ人間の胸に手を翳す、勢い良く生成された氷は鋭利な刃物の様な鋭さで人間の胸を穿つ、そのまま扉を突き破り三倍はある大きさのバラの様な機械を壁に叩きつけた。
人間は赤い体液ではなく白く濁った液を撒き散らしながら痙攣し氷ずけになる。
「はぁはぁはぁ……フロナ、奏歌進むっすよ」
「……クルツ」
「少し取り乱してしまったす」
クルツは顔を背け扉を破壊する、フロナさんはそんなクルツを見て微かに顔を曇らせた。
冷気の霧が晴れた風景は城の中に居る筈なのに中に森林があるのだ。
「森だ……綺麗なところだなぁ〜」
『む!和んでおる場合でわないぞ……手強いのだ』
「クルツ」
「はい」
確かにブンの言う通り音が近づいてくる、僕は銀王を取り出し素早く構える、クルツも右手をゴキッとならし冷気の霧が拳を覆う。
音が大きくなり木の葉がザワリと揺れ黒い影が見え隠れし一本の木に止まる。
「クルツ〜、久しぶりね〜」
「………」
「クルツ?!違う女の人だ」
木の上から見下ろすのはクルツと瓜二つの顔を持つ女性だクルツより年上な感じがする、その女性は優しく微笑む。
そして手を横に振ると電撃の線が僕達を襲う、磁力防御で防ぎ横から攻撃を仕掛けようと銀王を降り被るが完璧に読まれている、僕を見もせずに銀王を交わされ腹部に膝蹴りを入れられ裏拳を顔面に受け木に叩きつけられる。
「奏歌!」
「クルツ!」
何とか起き上がりクルツが駆け寄ろうとするのを制止する、クルツはフロナの元に戻り、僕はゆっくりと立ち上がる。
「ブン、サポートありがと」
『うむ』
「KR2?こっちにいらっしゃい」
「…クルツ!」
「わかってるっす、自分はフロナの人形っす、フロナ命令を」
フロナさんの前に膝をつき忠誠を捧げる、フロナは女性を睨み付けクルツに命じた。
「奏歌さんを先に進ませます、クルツはあのエミティの除去を」
「はい」
クルツは鋭い視線を女性にぶつけクルツを中心に痛い程の冷気が草木を凍らせる。
「奏歌さん!ここはクルツに任しましょう!」
「クルツ!頑張って!」
クルツは無言で頷き僕達は先に進むが既に複数のエミティ・ドール、そしてさっきのバラの様な機械。
「簡単にはいかないな、よし!気合い入れていくか!」
『サポートは任せるのだ!』
「………」
僕達は戦闘を開始した。
〜〜〜〜クルツ〜〜〜〜〜
奏歌達が先に進んで静寂が包む、目の前の自分とそっくりな女性は木から飛び降り静かに着地した。
「どうしたの?わたしを覚えてないのクルツ?いえKR2?それとも」
「………!!」
一瞬の電気音の後、電撃の鞭が俺を襲う直ぐに交し氷を相手に発射し牽制避ける場所を予測し進路を塞ぐように氷の壁を生成する。
が、爆雷が氷を粉砕しそのまま向かってくる、避けようと身体が動く前に腹部に拳が入り口に鉄の味が広がる、そのまま壁にぶつかり首を捕まれ目線を合わせられる。
「今は名もない、ただの人形?」
「くっ!放せ」
投げ飛ばされ木にぶつかる、立ち上がり体制を立て直そうとするが雷撃を纏った拳が目の前に迫る腕をクロスしガードし迫る蹴りを受け止め氷の刃を突き立てる、しかし笑顔を張り付けたままの表情は崩れることはなくあっさり交わさせる。
「ダメね、全然ダメ……今のあなたじゃ、完成体には勝てない、貴方はただのジャンクよ」
「……俺は、俺は人間っす」
再び攻防を繰り返し、闘う。
「くっ!まだ!」
「…旧式の貴方が勝てる程の甘くないわ、引きなさい」
「………だまれ」
拳を繰り出すが簡単に受け止められる、そのまま引かれ右手が握力で激しく痛む。
女性の左手が俺の鵬を擦るその表情は母が子を労る表情に似ているその姿は玲二のはは玲奈さん、そして梓さんと被ってしまう。
「っ!お前は何なんだ!」
「……ただの敵よ」
爆雷が俺を襲う、激しく全身が痙攣し意識が飛びそうになるが弄られた身体だ筋肉が麻痺することはない。
「………引きなさい!わたしと一緒にくるの」
「…いやだ……俺はまだフロナといたいっす!うぉぉ!」
捕まれてた女性の腕が凍らせる、悲しみが苦痛に代わり直ぐに離す左腕を氷で作ったナイフが襲う、女性はただ肩にナイフが刺さるのをながれる血を悲しそうに見つめる。
「……さっきの問い…答えるわ……わたしは貴方よ」
「え?!」
「貴方のオリジナル……ケイト・ライネントよ」
「そんな……」