#7 いざゆかんCDO
そうして、俺はようやくCDOの世界に降り立つ。
俺がさっきの白い部屋から転送された先は、活気に溢れる街だった。
しばらくして、翔からメッセージが届く。
〈遅いぞ響。何時間待たせるつもりだ〉
俺は慣れない手つきで返信する。
〈悪い。クドゥーさんと随分話し込んでたんだ。真美菜もそこにいるのか?〉
宮藤さんをわざわざクドゥーさんに変えたのは俺なりの心使いだ。
〈え、響お前宮藤さんに会ったのか?〉
俺の優しさを返せ。
〈あ、あぁ。なかなか面白い人だったぞ〉
〈何と言う羨ま…まぁいい。響、今どこにいる〉
どこ…って言われてもな…
まだ地名とか分かってないし、説明のしようが無い。
せめて、何か目印になるものは…あった。
〈地名が分からないからどこかわからん。後ろに大きい水色の宝石がある位だ〉
しかもこの宝石、ちょっと浮いてるよな?
見間違いじゃないよな?
〈そうか分かった。ちょっと待ってろ。今行く〉
これで分かったのか⁉︎
すげえ。
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「よう、お待たせ」
「おう」
「まったく、いつまでTRやってんのよ。暇すぎて討伐クエスト一周しちゃったじゃない」
真美菜が文句を言って、翔がなだめる。
二人とも怒ってなくて良かった。
「…で、響。良いのか?その名前使っても」
「ん?あぁ、もう良いんだ。それに、いつまでも過去を見てたら前に進めないだろ?」
「「おぅ…大人響テライケメン」」
「…頼むから俺がついて行ける範囲で話してくれ」
俺の設定した名前、〈スグル〉
俺がまだ幼かった頃、俺は優と言う名を持っていた。
全ての分野に置いて、優れた人になるようにと言う意味がある。
実際、俺は他人より頭も良かったし、運動も出来た。
人望もそれなりに有ったつもりだし、何より正義感の塊でもあった。
だが、ある事件をキッカケに俺は全てを失った。
その事は時期が来たら話すとしよう。
「ま、響が構わないって言うんなら俺は別にいいけど」
「そうね。それに、ゲームの中にリアルを持ち込むのはタブーだし、こっちじゃ響のこと、スグルって呼ばせてもらうわ」
「あぁ、悪いな。そうそう、TRでパートナーエッグを貰ったんだけど、孵化のさせ方って知ってるか?」
翔、真美菜…もとい、ショウ、マミナに聞く。
「おぉ、SPの卵、手に入れたのか!って事はゴールドルートに入ったんだな?」
ん?ゴールドルート?
「いや、俺が行ったのはシークレットルートだぞ?」
「なん…だと…⁉︎」
え?俺、なんかまずいこと言っちゃった?
「ね?行ったでしょ?TRに隠された道があるって!これであたしの言い分は証明されたわ!さ、賭けに勝ったからさっさとよこしなさいよ」
「チッ…ほらよ1MC」
「やったぁ!これでやりたかった装備強化が出来る!響…じゃなかった。スグル!ありがとね。これはお礼だよっ!」
…chu
マミナに、頬にキスされました恥ずかしいですハイ。
「スグル…死ぬ覚悟は出来たか?」
「え、ちょ、まっ…今のは絶対事故だっ!」
「だまらっしゃい!俺から1MC取って、たとえマミナだとしても女の子からキスを貰った罪は重いッ!判決、有罪ッ!死刑ッ‼︎」
「ウワァァァァァァァァァ‼︎」
賑やかな街で、俺の悲鳴が響き渡りましたとさ。
爆ぜろリア充!弾けろカップル‼︎
ヴァニシ○ントdisッWorldッッ‼︎
( #°A °)