1VS1
俺とアリスは中に入り、ワープ装置を目指した。
洞窟の中はエッグフォンの光で照らされ、思っていた以上に明るい。
中に入ると、風の音が交差しており、水の滴り落ちる音も聞こえる。
洞窟の中にはコウモリがいるらしく、羽ばたく音が聞こえる。
「洞窟の中にはモンスターもいるから気をつけなさい!まぁここの敵は弱いから四季でも余裕だろうけど。」
俺は敵がいつ来てもいいようにダークソードを握りしめた。
「あっ!あとあたしはここの敵には一切手を出さないから。一人で戦いなさいよ?」
「えっ・・・なんでだ・・・?」
「あたしが倒しちゃったら四季に入る経験値が減っちゃうもの。クエスト中もあたしは手を出さないわよっ!」
まじすか・・・。
アリスの言葉を聞いて俺は恐怖心に駆られた。
洞窟の奥に進むと、岩の陰から不気味な気配を感じる。
「ピピッ敵接近中!」
エッグフォンが鳴り出し、敵の存在を知らせる。
この音毎回心臓がバクっってなるぜ・・・。
少し奥のほうでなにやら足音みたいな音が聞こえる。
その足音はだんだんと近づいてきて、敵の姿を肉眼で確認することが出来た。
俺はその敵に向けてエッグフォンを合わせた。
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level 49
名前 ヴァンパイア
戦闘力 480p
名声値 560p
経験値 1026p
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コレなら行けるかもしれない・・・。
戦闘力が俺より低い!
敵の姿は、顔の色が青く、鋭い牙に爪、大きなマントを羽織っており、周りには沢山のコウモリが飛んでいた。
そんなヴァンパイアが口を開き俺に話しかけて来る。
「おっ!いいかもがきたぜぇ♪食事の時間だっ♪」
こいつ喋れるのか・・・。
ヴァンパイアはよだれを垂らしながら、嬉しそうに俺の方を見ている。
俺はダークソードとセイントソードを腰から引き抜き、戦闘態勢に入った。
「四季!頑張りなさい!」
アリスは後ろの方から俺を応援してくれた。
「いくぜぃ♪ひゃっはぁぁあ♪」
するといきなりヴァンパイアは突然突進してきて爪で攻撃してきた。
俺がそれをダークソードで受け止めると、ヴァンパイアはもう片方の爪で俺に攻撃してくる。
俺がそれをセイントソードで受け止めると、ヴァンパイアは牙で攻撃してきた。俺は後ろに身を交わしヴァンパイアの攻撃をかわす。
「今だっ!!」
俺がヴァンパイアにダークソードを振り落とそうとした瞬間俺の体はぶるぶると震え、攻撃することができなかった。
ヴァンパイアといえど姿は人に近い・・・。
俺はとてつもない恐怖心に駆られた。
するとヴァンパイアはまた爪で俺を斬りつけてくる。
咄嗟のことに反応出来ず、俺はお腹を切り裂かれた。
「うあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」
強烈な痛みに俺は叫び声をあげ、お腹からは大量に出血していた。
ヴァンパイアは更に俺を爪で斬りつけてくる。
次は太ももを切り裂かれ俺はまた悲鳴をあげた。
「痛めつけて食すのが俺のモットー♪」
そう言うとヴァンパイアは距離をとり、手を上にあげた。
するとヴァンパイノ周りにいたコウモリが沢山集まってきて、俺に向かって飛んでくる。
「四季!何してるの早く逃げて!!」
アリスがそう言うと沢山のコウモリは俺に到達する。俺の周りはコウモリで埋め尽くされた。
「四季ーっ!!!」
アリスは心配そうな声で俺に向かって叫ぶ。
コウモリは散らばって行き、俺の居たところが見えるようになった。
そこには俺の姿はなかった。
「ハッハッハ、コウモリに食い殺されてチリも残らなかったか♪」
ヴァンパイアは嬉しそうに笑っている。
一方アリスはというと、下をむいたままなにやらボソボソ言っている。
「四季・・・そんな・・・」
泣きそうな声をしながらそう言った。
「何高笑いしてんだ。お前の後ろだよ。」
俺がそう言うとヴァンパイアは焦って後ろを振り向く。
殺るなら今だ。
殺らなきゃ殺られる・・・
殺るしかない!!
俺は覚悟を決めて、セイントソードとダークソードでヴァンパイアを十字に斬りつけた。
「ギィヤァァァァァ」
ヴァンパイアは血しぶきを吹き4つの肉片になり悲鳴を上げながら消滅した。
かっ・・・勝った・・・。
俺は恐怖から開放され、安堵に満ち、腰がぬけてその場に座り込んだ。
するとアリスが近寄ってきて、
「やったわね四季!もぉすっごく心配したんだからっ!今直してあげるからねっ!」
アリスは泣きそうな顔になりながらヴァンパイアに斬りつけられた傷を聖なるピアスで治してくれた。
出血は止り、みるみると傷口も塞がっていく。
「サンキュー!死ぬかと思ったぜ・・・」
「最初の一撃で殺したらこんな事にはならなかったのに!なにやってんのよ!」
「人の形をしたものを殺すのが怖かったんだ・・・・。」
「あら・・・そう・・・。けどこれからは躊躇わずに殺さないと殺されるのは四季何だからね!気おつけなさいよ!」
アリスは最初寂しげな表情をし次に起こった表情をして俺に言った。
「わかったよ・・・次からはそうする・・・」
俺は俯いた(うつむいた)ままアリスに言った。
「けどどうやってヴァンパイアの後ろに回り込んだの?コウモリに塞がれて逃げ場は無かったはずだけど・・・?」
「ダークソードの能力さ。ダークソードはどうやら空間を移動できる能力を持っているらしい。俺が闇雲にダークソードでコウモリを斬りつけると空間が切れて、逃げ道ができたんだ・・・。それでその中を移動できヴァンパイアの後ろでまたダークソードで空間を斬ると出られたって訳。コレがなかったら死んでたな。」
「これがなかったら死んでたなじゃないわよ!本当に心配したんだからっ!」
「ありがとな。」
俺は笑いながらアリスにお礼を言った。
「まぁ四季の傷も完治したことだし!早速ワープ装置を目指しましょう。」
俺は少し不安になりながらも、
「あぁ分かった。行こうか。」
そう言ってワープ装置を目指した。
おくまで行くと、ワープ装置らしき物を見つけた。
形は丸く、青い光を放っている。
大きさ的に一人ずつしか入れない大きさであった。
「これがワープ装置よ!四季から入りなさい!」
えっ・・・俺からかよ・・・不安すぎる・・・
俺が無言で一歩下がると、
「なにしてんのよっ!早く入りなさいよ!」
そういうとアリスは、俺の背中を押して俺はワープ装置の中に入ってしまった。
おいいいぃぃぃぃ!
なにしてんだこの女はぁぁぁ!
ワープ装置に入ると、青い光は拘束で無数に飛び交い、俺の体がものすごく軽くなるのを感じた。
すると頭のなかに誰かが話しかけてくる。
『ランクD 魔女狩りクエストを開始します。』