洞窟までの道のり
俺とアリスは路地裏を出て、お店を探すことにした。
路地裏を出ると、人で溢れ返っていた。俺たちのいる場所はかなりの都会で高層ビルなど大きな建物が沢山建っていた。
「アリスここはどこなんだ?」
「愛知県ね。愛知県を支配しているプレイヤーに会わなければいいんだけれど・・・」
「支配しているプレイヤーなんているのか?」
「そうね。各都道府県事にそれぞれランキング上位プレイヤーがその県を支配しているの。ちなみにさっきの零が東京であたしが広島、まぁ支配というよりは代表プレイヤーね。」
「アリスは広島の代表プレイヤーだったのか。その愛知県代表は強いのか?」
「強いわよ。ランキングは5位ね。彼は槍の名手よ・・・私でも1対1で勝てるかどうか・・・。」
「そんなに強いのか・・・とりあえず出会いたくないな・・・」
「今はなるべく目立たないように行動しましょう。見つかると厄介だから。」
「あぁ。わかった。しかし愛知県には初めて来たな・・・」
目立たないように行動とはいったものの・・・アリス目立ちすぎ・・・
服装もそうだが、容姿も可愛いので周囲の人はみんなアリスを見ていた。
アリス曰く(いわく)、武器やら魔法やらこのゲームで支給された物はゲーム参加者にしか見ることはできないらしい。
すこし歩くとファーストフード店が見えた。
「四季!ここでご飯にしましょう。」
アリスは我慢できないのかよだれを垂らしながらファーストフード店に入っていく。
店内はとても綺麗でカウンターやテーブル席があった。時刻が15時くらいのせいか人は多くはなかった。とて心地のよいジャズの音楽も流れている。
雰囲気のいい店だな。
アリスがレジまで行くと、
「こちらでお召し上がりになりますか、それともお持ち帰りですか?
「テイクアウトで!」
「ご注文は何になさいますか?」
「チーズバーガー5個とアイスコーヒ!チーズバーガーはケチャップ抜きね!四季は?」
「どんだけ食うんだよお前は・・・。俺はテリヤキバーガー1個とアイスコーヒーでお願いします。」
「かしこまりました。以上でよろしいですか?」
俺は、コクッと頷く。
「アリスなんでチーズバーガーを5個も頼んだ・・・?同じものばかりだと飽きるだろう。」
「お腹空いてるし、好きなんだからしょうがない!それより四季は食べなさすぎよ。」
「俺は小食なんだよ。」
「そんなんじゃいつまで経っても強くなれないわよー!」
アリスはいやみったらしく言うと、注文した物ができたらしく、俺とアリスはそれを受け取り店を出た。
店を出て俺たちは近くの大きな噴水のある公園でハンバーガーを食べる事にした。
「四季、ここで食べましょう。」
アリスはそう言うとベンチに座り、ハンバーガーを幸せそうに食べ始めた。
公園を見渡すと、子供達が遊んでいたり、ジョギングしている人がいたり、スケボーをしている若者達がいたりと様々な人が楽しそうに過ごしている。
この人たちは今起こっている事を何も知らないんだろうな。
俺も少し前までは、普通に生活してたのにな。
この先どうなるのか不安だな・・・
俺がそんな事を考えているとアリスは、
「なにぼーっとしてんのよ。ハンバーガー食べないの?」
「あぁ、すまん。ちょっとな・・・」
俺はテリヤキバーガーを口に運んだ。
「四季食べるの遅すぎ!あたしはもう食べたわよ。」
「5個もあったのにもう食べたのかよ・・・早すぎだろ・・・」
あんな細いからだのどこにハンバーガーが5個も入るのだろうか・・・人間の身体は不思議だな。
「だって好きなんだからしょうがないでしょ!四季が食べ終わったら出発するわよ!」
俺とアリスは愛知県を飛び立ち、洞窟を目指した。
「恐らく着いたら夕方ね・・・・」
「どこまで行くんだ?
「山口県よ。今から行く洞窟には初心者にお勧めのクエストがあるの。ランクDクエストだから四季でも大丈夫よ!」
「クエスト?なんだそれは・・・。適を倒すだけじゃないのか?」
「そうよっ!クエストは架空世界で行われるの。」
「架空世界!?そんなのもあるのか・・・」
「全国各地に、架空世界へのワープ装置があるわ。今からいく山口県の洞窟にそれがあるのよ。」
ワープ装置か・・・少しワクワクする。
しかし不思議な事ばかりだな。魔法や武器、ワープ装置、運営はどんな力の持ち主なんだ。
「あっ!それと架空世界では結界を張る必要はないからっ!あくまでも張るのは対人戦だけね」
「なるほど・・・」
俺はアリスに全国人間ランキングの事を色々聞きながら洞窟に向かった。
少しすると森に囲まれている洞窟を見つけた。
空はすっかりオレンジ色に染まり、カラス達が鳴いている。
空から洞窟を見下ろすと、なにやらまがまがしく、不吉なオーラを纏っているようである。
「四季着いたわよ。やっぱり夕方になっちゃったわね・・・・」
俺とアリスは降下し、洞窟の目の前に来た。
森の中に入ると辺りは暗くなり、さらに恐怖心を高ぶらせる。
洞窟の入り口はもの凄く大きく、中からは風邪の交差する音が無数に聞こえる。
「中に入りましょう。洞窟の中は暗いからエッグフォンのライトを使いなさい!」
アリスはそういうと、エッグフォンを操作してライトを点けた。
エッグフォンのライトは普通の携帯と違い、とても明るい青白い光で周囲を照らす。
「アリス・・・これどうやってつけるんだ?」
「メニューボタンを押して、ライト機能ってのがあるからそれを押して、ONにしたらライトがつくわよ。」
アリスは丁寧に説明してくれた。
俺はライトをつけ、洞窟の中に入ることにした。
「OK。いこうか・・・」
俺は若干ビビリながらもアリスに言った。