全国人間ランキング1位の男
俺はこの全国人間ランキングを終わらせるために、強くなることを決意した。
まぁ元々強くなるつもりだったんだが、目標が出来た事によって、その気持ちはより一層強くなった。
疲れもだいぶとれたので、目的地に出発する事にした。
「アリス。疲れもだいぶ取れたしそろそろ出発しよう。」
「そうねそろそろ行きましょうか。」
「我に光と闇の翼を与えよ」
セリフになれてきている自分が怖い・・・
俺は堕天使の翼を発動させ、空高く飛び上がり森を抜け出した。
森を抜けると、アリスは俺に、
「もう飛ぶのもだいぶ慣れたでしょ?今度はもっとスピードを上げるからしっかり着いてきてね。」
「あぁ、分かったたぶん着いていけると思う。」
俺は自分でもまともに飛べるようになったと思ったのでそう答えた。
洞窟に向かって飛んでいるといきなりアリスは止まりあたりを見回していた。
それと同時に俺のエッグフォンが鳴り出した。
「ピピップレイヤー接近中!」
どうやらほかのプレイヤーが近づいているらしい。
まぁ、アリスもいるしなんとかなるだろう・・・
そう思っていると、前方に男の姿が見えた。
その男は翼も羽もついてないのに空を飛んでおり、背中には黒い矢の入っている筒、左手には白い弓を持っていた。神は金髪でショートヘアー、瞳はアリスと同じ赤い色をしていた。服装は全身に金色の鎧を纏っていた。
俺はその男からなにか威圧感みたいなものを感じ取った。
こいつは強い。離れているのにそれは身体で感じ取れた。
その男を見た途端アリスは、青ざめた顔をして俺に叫んだ。
「四季!逃げるのよ!相手が悪すぎるわ!」
アリスはそう言うと俺の手をとり急降下し建物の路地裏に隠れた。
「はぁ、はぁ・・・あの男は一体何なんだ?」
アリスの息も上がっていた。アリスの顔からは恐怖の文字が読み取れる。
アリスは、はぁはぁと息が上がりながらも俺の質問に答えてくれた。
「あの男は、今、最もこのランキングの攻略に近い男よ!」
「え?って事は・・・あいつがランキング1位?」
「そう言う事」
俺とアリスが会話をしていると、遠くから声が聞こえた。
「---見つけたぞ」
後ろを振り返るとさっきの男が立っていた。
それを見たアリスは怒った口調でその男に言った。
「零!どうしてあたしに付きまとうの!?前にも断ったはずよ?」
「アリス・・・。俺様を拒否するとはいい度胸だな。あの時みたいになりたいのか?その強さと美貌どちらも俺様に相応しい。もう一度言う。俺様の女になれ」
「あんたの自己中もその上から目線も大嫌いなのよ!それにあたしにはもうパートナーがいるの。お断りするわ。」
アリスがそう言うと零と呼ばれる男は俺のほうを見て口を開いた。
「こいつがアリスのパートナー?虫が・・・。虫すぎて存在にすら気が付かなかったわ。消え失せろ。」
零はそう言うと、俺に向けて弓矢を構えた。
弓から放たれた矢は、発火しものすごい勢いで俺に向かって飛んでくる。
俺はその矢が隕石のように思えた。
これを食らったら絶対死ぬ。俺の直感がそう言っている。
すると突然アリスが俺の前に現れ、こう言った。
「次はあたしが四季を守る番ね。」
アリスはそう言うと俺の盾になり隕石の如く飛んでくる矢を受けた。
「アリスー!!!!」
俺は叫んだ、必死に叫んだ。アリスに纏った炎を手で消そうとする。
尋常じゃないくらい熱い・・・けどアリスはこれ以上に熱いんだ!
俺は自分の服を脱いで、アリスに纏っている炎をはたいた。
やっとの思い出消化したがアリスは全身に火傷を負っている。
どうやらアリスは意識を失ったらしい。
俺は零に殺意を向けた。勝てる見込みはない、だがこのまま許しておく訳にもいかない。
俺がそう思いながらアリスを見つめていると、零がオドオドした表情で口を開いた。
「ど・・・どうしてだ・・・。どうしてその虫のためにそこまで身体を張れる・・・。俺様はただ・・・。」
零はとても動揺していて、逃げるように去っていった。
しかし俺の怒りは収まっていない。
「待てっ!」
「我に光と闇の翼を与えよ!」
俺は堕天使の翼を発動させ零を追いかけた。
零のスピードは俺を遥かに上周り追いつけそうもない。
俺は諦めて、逃げる零にエッグフォンを合わせてみた。
「ピピッ分析完了」
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level 12498
名前 王城 零
年齢 20歳
身長 178cm
体重 65kg
戦闘力 36520p
名声値 2268530p
全国人間ランキング 1位
称号 覇者
武器 ヴァルキリー弓矢
防具 黄金の鎧、ジャットブーツ
魔法 地獄の大火炎
アクセサリー 異次元リング
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なんだこいつの強さは・・・
次元が違いすぎる・・・
戦ってたら確実にやられてたな。
そうだアリスはっ!零の強さに茫然としていた俺は我に返った。
「いそがないと!!」
俺は元の場所に帰ると、アリスはそのまま倒れていた。
「アリス!!大丈夫か!?」
って・・・。大丈夫な訳ないか・・。
するとアリスは苦しそうに俺の呼びかけに答えた。
「だっ・・・大丈夫な訳ないでしょ・・・。零が逃げ出したとおもったら四季まで行っちゃうんだからどうしようかと思ったわよ・・・クッ」
「無理に喋るなっ!近くに病院はないのか・・・」
俺は路地裏を出て病院を探そうとした。
するとアリスは、
「ちょっと待ちなさいよ・・・ハァハァ・・・これを・・・使って・・・」
そういうとアリスは自分の耳を指さした。
「ん・・・ピアスか?」
俺がそういうとアリスは頷いた。
恐らくもう喋る気力もないんだろう。
俺はアリスのピアスを取り、そのピアスを持ってアリスの身体に触れた。
するとアリスの身体は白い光に包まれた。
それと同時に俺の息は荒くなり、身体から力が抜けていくような感覚に襲われた。
アリスの火傷は見る見る治っていく。
「す・・・すごいなこれ・・・」
俺は聖なるピアスを見ながら言うと、アリスの火傷は完治し、俺に話しかけてきた。
「ありがとね四季!あと少し遅かったらやばかったかも・・・。もう大丈夫だからっ!」
「どうしてこんなにいい物があるのにすぐに自分で使わなかったんだ?」
俺はそう言うとアリスに聖なるピアスを手渡した。
アリスは聖なるピアスを受け取るとそれを耳につけ、口を開いた。
「このピアスの能力は、怪我や傷を回復する代わりに使用者の体力を消費するの。それにこのピアスは自分には使えないのよ。誰かに使ってもらわないと効果がでないの。」
「なるほど・・・さっき力が抜けるような感覚がしたのはそのせいか。それよりさっきの零とか言う奴はなんなんだ?」
俺がそう聞くと、アリスは零の事について説明し始めた。
「あいつの名前は王城 零さっきも言ったとおりランキング1位の男よ。あたしは何度か零に会ったことがあるの。とりあえず零の強さは半端じゃないわ」
アリスはそう言うとエッグフォンを操作して、零のステータスの分析結果を見せてくれた。
「それならもう見たぞ。あいつが逃げてるときにエッグフォンを合わせたからな」
「それなら零の強さはもう分かってるわね」
「あぁ」
「あたしが零と初めて会ったのは、半年前。零はすでにランキング1位だったの。零はいきなりあたしの目の前に現れ、こう言ったの」
『お前、美しいな。俺様の女になれ』
「その時、突然のことにあたしは驚いたわ。もちろん断ったわよ。そしたら零はあたしに向かって攻撃してきたの」
『なら、死ね!』
「あたしは必死に戦った。けど全く歯が立たなくて、決着はすぐに着いたわ。」
「あたしはボロボロになって、今にも死にそうだったの。そしたら零が近寄って来たの」
『さすが俺様の見込んだ女だな。俺様に傷をつけるとは・・・』
「そう言うと零はあたしのピアスをとって怪我を回復してくれたの。」
『まだ死ぬには惜しい存在だ。次会う時までに答えを考えておくんだな』
「そう言って零は去って行ったわ。それ以来会う度に俺様の女になれ、だもん。ほんと参っちゃうわ。」
アリスは今まであった事を話してくれた。
「なるほど・・・零は嫉妬して俺を殺そうとしたんだな。そしたらアリスが出てきて予想外だったんだろう」
「恐らくそうね・・・。まぁ生きてるだけ良かったわ。」
「そうだな」
話が一段落すると、グーッとお腹の鳴る音が聞こえてきた。
アリスを見ると赤面しており、恥ずかしがっているように見える。
「四季・・・あたしお腹空いちゃった!ご飯でも食べに行きましょう」