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全国人間ランキング  作者: ああああああ
4/8

初めての戦闘

センターの玄関を出てアリスはすぐ飛び立った。


「四季ちゃんとついて来なさいよ。」


相変わらずせっかちな奴だな・・・


とりあえず魔法を使わないとな。


「我に光と闇の翼を与えよ。」


・・・・・・・


やはり・・・恥ずかしい・・・・


俺の背中には黒と白の翼が生え、地を蹴って、翼を羽ばたかせ宙に浮いた。


空を飛ぶってこんな感覚なのか・・・


なんかフワフワして気持ちいいな。


しかし上手く飛べない・・・


俺の体は不安定で、自分の思った方向に飛ぶ事が出来ず、あたふたしていた。


飛ぶのがこんなに難しいとは思わなかった。


俺がぎこちなく空を飛んでいると、アリスは口を開いた。


「なに遊んでんのよ馬鹿!早く行くわよ。」


ちょっ・・馬鹿って・・・


どれだけ酷いんだこの女は。


こっちは一生懸命飛んでるというのに。


「そんな事言われても初めて飛ぶんだから仕方ないだろう。」


「あたしは初めてでもすぐ飛べたけど?四季が才能無いだけじゃない?」


「まじかよ・・・。まぁ頑張るよ。」


俺がふらふら飛びながらアリスを追いかけていると、


「四季っ!あなた遅すぎ!こんなんじゃ着いたら日が暮れてるわよ。」


「待ってくれよ。あと少しでコツが掴めそうなんだ。」


「分かったわ。早くちゃんと飛べるようになりなさい。」


アリスはそう言うと再び洞窟に向かって飛び始めた。


鳥はすごいなぁ・・・


空をあんなに自由に飛べるんだから。


翼があるだけじゃダメなんだな。


しかし俺は自由に飛ぶとまでは行かないが空を飛んでいる。


空をとぶのは俺の子供の頃からの夢だった。


俺は今、夢が叶っているんだな。


それは素直に嬉しい。


下を見ると、人は豆粒のように小さく、建物でさえとても小さい。


雲を触ろうとして手を伸ばすと手をすり抜けていく。


なにより風と太陽の日差しがとても気持ちいい。


俺は今とても貴重な体験をしているんじゃないか?


もしこの先死ぬことがあっても、俺の夢が叶ってよかった。


そう考えると、こんな貴重な体験ができるのもアリスのおかげなんだな。


そんな事を考えながら結構な時間を飛んでいると、少しずつ飛ぶことに慣れてきた。


それと同時に体力も大幅に消費した。


飛ぶのも結構疲れるんだな。


俺は疲れたので、アリスに休憩する事を提案した。


「アリス、飛ぶのかなり疲れるんだが少し休憩しないか?」


「なによ!だんだんスピードも速くなって来たとおもってたのに!情けないわねぇ・・・」


「アリスは疲れないのか?」


「あたしは全然疲れないわよ。慣れているのもあるし、それにあたしのは武器で四季のは魔法だからじゃないかしら?」


「なるほど・・・まぁ休憩しよう。な?」


「しょうがないわね・・・・。敵に見つからないようにあそこの森で休憩しましょう。」


俺とアリスは降下して森の中に入った。


森の木々はとても大きく、木陰のお陰でとても涼しかった。


小鳥のさえずりや虫の鳴き声なども聞こえてくる。


なにより木々の間から光が漏れ出ているのがとても神秘的だった。


すこし歩くと、木の切り株があったので俺とアリスはそこに腰掛け体を休めた。


休んでいて思ったことが1つある。


相当虫がうざい!


俺の周りをブンブン飛び回っている。


アリスはというと”なにか木の実でもないか探してくる”と言って何処かに行ってしまった。


1人で休んでいると、エッグフォンが急に光はじめた。


「ピピッ 敵接近中!敵接近中!」


え・・・?



敵・・・?


俺の心臓が脈打つ。


やばい、やばすぎる・・・


全身の血が脈打つ・・・


俺は急いで身を茂みに隠した。


するとその後敵が姿を現した。


む・・・虫だ・・・!


しかもとてつもなく大きい。


体長は2mくらいで、お尻にとてつもなくでかい針が付いている。更に手足には鎌、口には鋭い牙がついている。


しかし見た目とは裏腹に弱いって事もある。


幸いまだ敵には見つかっていないので俺はエッグフォンでその敵の強さを確認することにした。


「ピピッデータ分析完了!」


~~~~~~~~分析結果~~~~~~~~~


level 2658


キラービートル


戦闘力 8458


rankBモンスター


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


俺はエッグフォンの情報をみて恐怖を実感した。


やばい・・間違いなく殺される・・・。


俺の心臓は破裂しそうなくらい鼓動している。


敵は俺に気づいたのか徐々に近づいてくる。


まずいな・・これは完全に気づかれている。


俺は覚悟を決めて、腰にささっているヴァルキリー双剣を手にとり、堕天使の翼を発動した。


「我に光と闇の翼を与えよ!」


「さぁ来るなら来い!」


俺は空高く上昇し、敵との距離をとった。


敵はものすごい速さで俺に近づいてくる。


ダークソードを思いっきり敵に向けて振りかざす。


するとダークソードから黒い衝撃波が出た。


ゴォォォォ!


衝撃波が敵に向かって飛んでいく!!


カンッ!


衝撃波は敵に当たり、見事に弾かれた。


傷1つ付けれないなんて・・・


俺の人生もここまでか・・・


敵はでかい針を向けて、俺に突進してきた。


針が俺に当たる瞬間、遠くから声が聞こえる。


「---黒い稲妻」


次の瞬間、辺りは暗くなり黒い稲妻が敵を燃やし尽くしていた。


するとエッグフォンが光だし、経験値が上がった事を知らされた。


俺はあっけにとられていた。


「いっ・・・一撃・・・」


思わず声が出てしまった。


「四季ーっ!大丈夫だったー!?」


アリスは心配そうに俺に近づいてきた。


「あぁ、大丈夫だ。アリスが来てくれなかったら死んでたよ。ありがとう。」


「あと一歩遅かったら死んでたわね。エッグフォンの機能に感謝する事ね♪」


「エッグフォンの機能?なんだそれ?」


「パートナーがピンチになると知らせてくれるのよ!知らなかったの?」


そんな機能があったのか・・・


知らなかった。


「知らなかった。頑張って戦ったんだが全く歯が立たなかったよ。」


「へー戦ったの。なかなか勇気あるじゃない!少し見直したわ。」


アリスはそういって俺を褒めてくれた。


「俺もやるときはやるんだぜっ!」


俺が得意気に言うとアリスは笑いながら、


「何調子にのってるの。早く休憩していくわよ。」


俺とアリスは休憩していた場所に戻り、アリスが取ってきた木の実を食べながら身体を休めた。


そういえば前々から気になっていた事がいくつかある。俺はアリスにそれを聞く事にした。



「前々から気になっていたんだが、アリスはなんで今までパートナーを作らなかったんだ?」


アリスは複雑そうな顔をして、困りながら俺に話してくれた。


「作らなかったというか作れなかったの。」


アリスがパートナーを作れない?


普通の奴なら強い奴とパートナーになりたいのが普通じゃないのか?


それにアリスは申し分ない強さだしパートナーができて当然だと思うのだが・・・


疑問に思った俺はアリスに聞いてみた。


「どうして作れなかったんだ?」


「私に出くわした参加者は、名声値や武器欲しさに襲ってくるし、後の奴らは命乞い。あたしは自分のことしか考えてない人は大嫌いなの。」


まぁ自分の命が惜しいのは皆同じだよな。


「じゃぁどうして俺を選んだんだ?」


アリスは顔を赤らめて、恥ずかしそうにいった。


「えっ・・・えっと・・・四季は自分の身を省みずに初めて私を助けてくれた人だから・・・。」


なるほど・・・あの時は勝手に身体が動いただけなんだけどな。


今アリスが襲われたとして、あの時のように行動できるか?って聞かれると迷ってしまうな。


「なるほど。もう一つ聞いていいか?」


「内容によるわね。とりあえず言ってみて。」


「このランキングはいつからあるんだ?アリスはなんでこのランキングに参加してるんだ?」


「このランキングは2年前からあるわ・・・」


「2年前!?そんなに前からあったのか。」


俺が驚いたように言うとアリスは再び深刻そうな顔をしながら口を開いた。


「あたしが15歳の頃・・・このランキングは突如現れたの。あの頃は今みたいに参加するのは自由ではなく強制だったの。」


俺もほぼ強制だったけどな・・


「素質あるものは強制的に参加させられて、あたしとあたしのお父さんはこのランキングに参加させられたの。」


「アリスのお父さんも参加してるのか?」


俺が聞くとアリスは泣きそうになりながら下を向いた。


「あたしのお父さんは・・・死んだの・・・。」


!!!


俺はアリスを気遣い、アリスが落ち着くまで待った。


アリスはというと耐え切れなくなり、涙を流して泣いていた。


少し時間が経って、だいぶ落ち着いたのかアリスは再び話始めた。


「お父さんは当時ランキング1位だったの。お父さんはこのランキングは半永久的に行われる事に気付いてボスに挑戦して、報酬で貰える自分の望む能力を使ってこのランキングを終わらせようとしたの。」


そうか例え1位になってボスを倒したとしてもこのランキングが終わる訳ではない。


ランキングは半永久的に続き、全員が死ぬまで行われる。


だからアリスのお父さんはこのランキングを終わらせようとしたんだな。


アリスは下を向いたまま、深刻そうな口調で話した。


「けれどお父さんは、ボスに負けて死んでしまったの。四季にはこの武器を敵から奪ったっていったけど本当はお父さんの形見なんだ。」


アリスはヴァルキリー双銃を手にとって見ながら教えてくれた。


「そうか・・・。大変だったんだな・・・。なら俺たちでこのランキングを終わらせよう!」


アリスは急に泣き出して、笑いながら、


「うんっ!」


と答えた。


「あたし四季とならなんだかやれそうな気がする。」


「なんだよそれ。」


俺は笑いながらアリスに行った。


「なんかやれそうな気がするんだっ。」


アリスは満面の笑みでそういった。その笑顔は犯罪的に可愛らしく、なんか・・・吸い込まれそうな感覚だった。


「よしっ!そうと決まれば俺もアリスみたいに強くならないとな!」



俺はなにかが吹っ切れたかのように意気込んだ。


目標が出来ると人間は変わるもんなんだな。

















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