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1-4

今度こそ、1-4です。


誤字などがありましたらお知らせください。

 息を吐いて、イリアは尋ねた。

「ど、こでそれを」

「それはもう。商人ですから」

 張り付いた笑顔は変わらない。

 相手は商人。下手な言葉を使って、逆にやり込めかねられない。

 魔王復活、に関してはもう自分たちの反応で確認を取らせてしまったようなものだから、問題はその後。

「じゃ、質問替えるけど。それで知ってどうするの」

 双子の片割れ、どちらがどちらかわからないが訊ねた。

 物陰から出てきた、双子ににこりとルシファーは笑いかけた。

「ですから、ご利用の際に私めをご利用下さいませ」

「情報と提示内容が釣り合っていませんよ」

「「そうそう」」

 イリアの言葉に双子が一緒に頷いた。

「問題ありません。この提示内容をのんでくだされば、情報を隠匿しますよ。…………あぁ、あなた方が漏らしたときは知りませんが」

「不審です」

「怪しいね、フィンリー」

「全くだよ、フィンリー」

 家の入口で話す内容にしては、あまりに殺伐としていた。

 ずっと黙り込んでいた、というより寝ていたデュークが、ぽつりと言った。

「とりあえず座れば」

「あ」

「ほう」

「へい」

「おや」

 


 =======


「水どうぞ」

「このようなときにもすみませんね」

 会釈するルシファー。

 卓上に水を置くと、イリアは早々と双子たちの方へと座った。

 ルシファーはデューク側の方に座っており、互いに向かい合うようにして座っている。

「それでは先ほどの話の続きを」

「私の提示内容は変わりませんよ?これからも長い付き合いを」

「不審です。もし、勇者だからということでここへ交渉に来たのであれば、見当違いです」

「そうそう。デュークが動くわけないし。ね、フィンリー」」

「そうそう。デュークは自分から動こうとしないよ」

「金銭目的であれば、国の方へと交渉に行ったらいかがでは?商工会の仲間と一緒に。個人より国の方が何倍も儲かりますよ?」

「私的には、どうしてそうもむきになるのかが気になりますね」

 イリアたちの話を一通り聞いたルシファーは言った。

 黙った双子の代わりにイリアが話を続ける。

「これは、他国をも巻き込む戦争ですよ?どのくらいの人員、金、国同士の陰謀が動くと思っていますか。商人であればそのくらいの計算(・・)は分からないはずがないでしょう」

「それはもちろん」

 まったくその通りだと頷くルシファー。

 大げさな仕草にイリアは思わず苛立ちが先だった。その感情を抑え込み、口を開いた。今必要なのは、感情ではないことをお人よしのイリアだって知っている。

「戦争は国が好む部類です。魔王が復活するのは、受け止められる範囲内です。政治内では。しかし世論は、戦争を嫌い、勇者が魔王を倒したということで平和に入りびったています。そこへもし私たちが受け入れないかったとして、報告するおつもりですか」

「まさか。そこまではさすがに被害妄想の領域でしょうよ」

「うぐっ」

「あーあ。ダメダメじゃん。ね、フィンリー」

「本当だね。フィンリー」

 言葉に詰まったイリアに双子が冷かした。

 しかし事実その通りなので言い返せない。イリアは強く拳を握りしめた。

「では、バトンタッチということかな」

「うん。まあ」

「しつもーん」

「はいどうぞ」

 挙手した双子の片割れに、薄く笑ってルシファーは促した。

「内容は全く変わるんだけど、どうしてそれだけの対価で話さないの?」

「そうですね~。必要性が無いとだけ」

「何を隠しているの」

「誰にでも隠し事はあるでしょう」

「ただはぐらかしているだけじゃ」

「その通り」

 開き直られて、そこから追い詰めようとした双子は一瞬言葉に詰まった。それでもすぐに切り返した。

「どうして、僕たちに話を持ちかけるの?」

「イリアが言ったように極秘裏に国に接点持ち込めばいいじゃないか」

「どうしてって利益に興味はありませんから」

「…………商人としてどうかと思う発言が聞こえたように」

「幻聴……?」

「いいえ。まさか」

 簡単に肯定するルシファーに戸惑いを覚えるしかない。

 どもりつつもイリアが話を続ける。

「お、おかしくないですか?」

「どこがでしょう?」

「商人であれば、利益が第一でしょう。商人の血は青いと言われるぐらい、冷徹に利益を考える」

「その通り」

「なのになぜ」

「それは商人やっていないからでしょう」

「え」

 絶句。

「先に言いますが、別に行商人語りの詐欺ではないですよ?その時はもうみなさん、一文無しです」

 次から次に飛び出す、不可解さにイリアたちは考えることを放棄したくなった。

 固まったままのイリアたちをルシファーは笑顔で眺めている。

「口論終わり?」

「ええ」 

 ずっと寝ていたデュークが顔を上げて、ルシファーに尋ねて頷き返された。

 額を机にずっとつけていたせいで、前髪が変な方向にそれぞれが跳ねてしまっていた。

 凝ってしまった首を回して、伸びをした。

 大きく息を吐いてしまって椅子に深く座り込んだ。

「まー仕方がない。自分たちに隠されていた事実をチラつかされつつ、ぼやかされたら情報オーバーだよ。それがまだヒントがあれば良かったんだろうけど」

 がしがしと頭をかいて、ため息をついて、イリアがやったように今度はデュークがルシファーに向かって、ぞんざいに親指でさいた。

「こいつ魔王でーす」

「そうでーす」



 その時の三人の心情は

(軽いなぁ) 

           だった。

読んでくださった方々に最大限の感謝を。

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