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1-3

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※すみません。間違えて、1-4と打っていました。

「あぁ!スープに顔が入りそうです!起きてください!」

 寝ぼけ眼で危うくボウルに顔を入りそうになったところをイリスに言われて、緩々とデュークは顔を上げる。

「どこの子どもですか全く」

「だから後で食べるって言って」

「そう言って信じたときは、一週間まともなものを食べていなかったでしょう」

「食べたぞ?えぇっと」

「酒と時折果物を食べていたね」

「そうだね。フィンリー」

 くすくすと横から言ってきた双子にデュークは恨めしい目を向けた。

「……ともかくだ。大丈夫だって」

「不老長寿だか知りませんが、私は皆様のお世話を陛下から仰せつかっているのです。無責任なことはできません」

 双子の綺麗に食べ終わった皿を片づけながら、イリアは双子に片づけの続きを言い渡した。

「良いじゃないか。あんな若造」

「陛下にそんな口を利けるのはあなたぐらいですよ」

「さて知らんな。たまには誰かがお灸をすえてやらんと調子のるぞ」

「陛下は逆に頑張りすぎるきらいがある方ですよ」

「恋煩いか」

「馬鹿言わないでください」

「よくそんなに言えるものだね。フィンリー」

「そうだね。フィンリー」

 片や朝食を食べながら、片や掃除をしながら手と口が全く別々の動きをしている。

 分厚い書籍を浮遊魔法で移動させながら、双子はイリアとデュークのやり取りに肩を竦める。その時、

双子の眉がピクリと動いた。

「あーやだやだ。また来たよ」

「もう、来させないでくれよ。デューク」

「さすがにそれは無理だ」

「おや。行商さんですか」

 双子のあからさまな嫌がりようで、イリアはいつものこのようなところに荷物を運んできてくれる、行商が来たということが分かった。デュークはもう自分に用が無いと分かってか、机に伏した。

 イリアにはよく知らないことだが、イリアがこの三人組に会う前、もうその頃にはその行商とやり取りをしていた。そして、双子はその頃からその行商の者を嫌っていた。

 イリアにとってはとてもいい人の分類なのだが、と首をひねった。

 すると、ドアがノックされた。

 イリアが答えるより前、双子は先ほどの寝室の開けっ放しのドアへ身を隠した。

「なんでそんなに嫌なんですか。あ、どうぞ。入ってもらって構いません」

「……それでは、失礼しますよっと」

 軽い調子で入ってきたのは、長身痩躯の男性だった。細目の柔和な笑顔をいつも崩さない。

「ルシファーさん。こんなところまで。毎回すみません」

「いえいえ。ここの家は見ていて、飽きませんから」

 『ここの家』の所で、ドアの陰に隠れていた双子の方に視線をやった。

 双子は舌を突き出して、仕草は可愛いが、嫌悪感を隠そうとしない。

 それを見咎めたイリアは注意した。

「なんてはしたないことやっているんですか!客人に向かって!すみません、ルシファーさん」

「いえいえ。もう昔っからですから」

「そうですか……?」

「えぇ。もう。そうですね、例えば、昨日の貴族の屋敷を襲撃したこととか」

 デューク以外、全員がぎくりとした。

 その様子を楽しんでいるのか、ルシファーは言葉を続けた。

「何とも堂々したものですね。正面からなんて。しかも少し、金品や不正証拠を盗み出したとか?貴族のお方はもうかんかんで」

「は、早いですね…………情報」

「あぁ。やはり、皆様方でしたか」

「え」

「…………イリア。僕たち、ちゃんと魔法で誰かが分からないようにしてきたんだよ。ね、フィンリー」

「そうだよ。フィンリー。……イリア姉、そこまで無鉄砲っじゃないよ」

 ドアの陰から顔半分だけ出して、じと目で見てくる双子にイリアはたじろいだ。

「と、いうことは」

「はい確かに。言質をいただきました」

 サァーと青ざめるイリアの顔。

 なんせ、相手は商人だ。例え、どんな理由がろうとも襲撃は犯人の弱みだ。

 金品は懐に入れさせてもらったとしても、不正証拠……二重帳簿などはちゃんとしかるべきところにきちんと送ってやった。

 けれども、いまだに貴族様は貴族の地位を剥奪されはしなかったようだ。

 ルシファーが貴族、と言ったしかんかんに怒っているということは捕まらず野放しになっているということ。

 不正証拠の中には、結構ひどい内容のものもあったから、牢屋に入れられ、処罰は免れない。かんかんに怒りはするだろうが、まずは自分が逃げることを考えるはずだ。

 つまりは貴族様の特権(賄賂)を使って、免れたのだろう。

 そして、免れた貴族様がすることは決まっている。復讐だ。今現在、怒鳴り散らしながら、犯人を捜していることだろう。

 そんなところにルシファーが、デュークたちのことを報告でもしたら、逃げ切られるかどうか。ルシファーだって、事情は承知済みのはずだから、何かしら言ってくるに違いない。

 イリアはルシファーとの距離を目測した。

 イリアの戦闘態勢に気づいて、双子は貴族のことは頭の隅に追いやってルシファーを()れるということで、同じく戦闘態勢に入った。

「言質をいただいたという事で、そうですね。お願いしたいことがあります」

「なんでしょう」

「今後とも、魔王討伐(・・・・)の際にも私をご利用くださいませ」

 ルシファーの一言でイリアたちは毒気を抜かれた。

 それよりもなんだといったか。「魔王討伐(・・・・)?」

「…………魔王とは、何を言っているのですか。魔王ならその後ろにいるものが倒したはずですが」

 肩越しにぞんざいに親指で指示した。

 自分が呼ばれたのと思ったのか、机に突っ伏していたデュークが呻いて返した。

「…………あれでも現役、かどうかは知りませんが勇者ですよ?」

「おや。不正証拠の時にご覧になっていない?」

 その言葉でイリアは、息を呑んで目を丸めた。

 確証得たりと、同じ笑みでいたルシファーは変わって、口角を上げた。

「見たのでしょう?不正証拠の書類の時に」

 イリアは驚愕で動けず、双子も目を細めた。



「魔王が復活したのでしょう?」

読んでくださった方々に最大限の感謝を。

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