DNA一致
地下研究室のコードネイム『コブラ』、IQは210を超える男はこのエリアで15年間、
様々なDNAとウィルスの難解なバズルを解いてきた。
年棒にして約1億円を手にしてきたが、唯一の問題はこの研究室から解放され、
有り余る金を使える日が解らない事だ。
1999年春、大学院を首席での卒業を間近に控え、仲間同士で飲み明かした結果、
朝焼けのハイウェイで黒づくめの男を引き殺して警察の留置所で人生を投げすてた。
その5時間後、鉄格子に現れた男は引き殺したはずの黒づくめの男が笑顔を浮かべ立っていた。
はめられ事に気付いた時に大学院の恩師の
『会って貰いたい人がいるんだヘンリー・・・膨大な報酬と輝く未来を保証してくれる!会ってみないか!』との誘いを半年前に断った・・・
2週間後に恩師はハイウェイで横転事故でこの世を去った・・・自分の事故現場で・・・
恩師が『もう一度考えみないか?』強張った顔でうつむき加減に懇願した顔が蘇った。
あれからコードネームが渡され、自分の履歴が消し去られ『大学院生ヘンリー・ジャクソン、ハイウエイにて事故死』の記事以来・・・政府のシークレットスタッフとなった。
救いは死亡した恩師が地価研究室で会えた事・・・である。
その恩師が7日前に本当に死亡した。
最後まで研究室の真紅のノートパソコンについて教えてくれなかったが、死の直前、
『このプログラムは送られてくるあらゆる血液サンプルとあるDNAとの一致を求めて解析が行われているが、一致時にアラムーが鳴る・・・鳴ったら内線13を早急にダイアルしてくれ・・・ヘンリー・・・』、恩師は最後の会話を終え、扉を開け立ち去った・・それが最後の会話だった。
そして今、真紅のパソコンが鳴り始めた、画面には『VSパンドラ』の文字が映し出されていた。
内線13に伝えると、受話器向こうからは戦闘機の爆音が聞こえた・・次の瞬間
『ドクター、その場で待機願います・・・では!!』
冷徹な声は十分、経験豊富な軍人であることが分かった。