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ラスベガスの白昼夢

 『本日は2015年3月11日14時です。現アロック(AROC)こと、旧日本において歴史上、未曾有の巨大地震から早、4年経ちました。本日の試合前に、この場で深い哀悼の意を改めて伝えたいと思います。』

MGSホテルでMMAイベントの試合開始前にアナウンサーのマイク・ベックが高らかに宣誓している。

 

 控え室ではペーパービュー放送前の前座試合を控えた青木勇次がアップをしながら、

『哀悼!思っても無いことを!・・・そういえばクソアナウンサーと今夜の獲物は出身地が同じアラバマだな・・・』その目からは屈折した鈍い光が放たれている。

『力みすぎると、喰われるぞ・・・いつも、通り冷静に行けばいい・・・』エイジは嗜める様に伝える。

 

 エイジは東京に本社がある医薬品製造メーカーの営業で、アメリカの巨大製薬メーカーのライズ社との

交渉に訪れ、その合間を縫って自分の捨てた夢を託したライバルの依頼でセコンドに付いていた


 14時30分、リング上ではアラバマ出身のデイビット・ベンが軽いステップでシャドウーで舞っている・・・会場には大音響でプリンスのエンドルフィンマシーンが鳴り響き、アナウンサーの『ユウジ・アオキー』のコールで、旧日本チームがゲートがら出てきた、『行くぞ!!!』


 リングサイド5列目のスキンヘッドの大柄な黒人男は『いいんですか・・・本当に・・・今ならまだ・・・』、隣の青白い顔の口髭を蓄えたユダヤ系の中年男性に諭す様にゆっくりと声を掛けた。

2人の間には大音量の入場曲が駆け抜けて、沈黙が流れ・・・中年男性は深いため息をついて、

『今、動いたら全てが・・・運命は今までも受け入れてきた。ミッションに集中しろ!!!』

『イエッサ!』黒人男性は小さく答え、自らのアドバイスを後悔した。


 リング上では二人の男が血まみれになりながら、殴り合いを繰り広げていた。

『ラスト1分!!』レフリーの怒号がリング上に響いた瞬間、青木のコメカミに鉄球の様な拳がめり込み、スイッチの切れたおもちゃの様に崩れ落ちた・・青木の意識は完全に無い・・・追撃の踵が何回も顔面に沈む・・・

 エイジはリングの飛び込むとデイビット・ベンに拳を真直ぐに突き出したが届くことは無かった。

ベンの拳がエイジの顎をえぐり、エイジはリングに落ちる瞬間・・・

 リングサイド5列目の2人の男と目がハッキリと合った。

次の瞬間、エイジの視界は切れた 

   

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