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3回だけ戻れる俺が、お前を救えなかった理由

作者: 桜木ひより
掲載日:2025/10/08

俺の名前は瀬川ハルト。

20歳の大学生で、まあ普通に生きてる。


朝10時。スマホのアラームで目が覚めた。

今日は土曜日。授業もバイトもない。最高の休日だ。


「あー、よく寝た」


ベッドでゴロゴロしながら、スマホでSNSをチェックする。

いつもの朝のルーティン。

最近は面白いこともなく、ぐうたらにスマホを見る日々だ。


友達の投稿を適当に見てたら、変な投稿が目に入った。


「高嶺さん、嘘だよね...」

「信じられない」

「ご冥福をお祈りします」


高嶺?


見覚えがある名前。まさか…


俺は慌てて投稿を遡った。

そして、ニュース記事のリンクを見つけた。


『市内の大学生、自宅で死亡。自殺か』

記事を開くと、そこには見覚えのある名前があった。


○○市在住 高嶺カエデさん(20)


「......は?」


俺のスマホが手から落ちた。


高嶺カエデ。

俺の元カノだ。


3ヶ月前に別れた。

というか、一方的に振られた。


「ハルト、ごめん。もう無理、別れよう」


理由も教えてくれなかった。

急に冷たくなって、連絡も無視されて、最後にそれだけ言われて終わった。


未練はあった。

でも、どうしようもなかった。


それから3ヶ月。

カエデのことは、たまに思い出す程度になってた。


なのに。


「死んだ...?」


信じられなかった。

記事をもう一度読む。


11月3日未明、自宅アパートで薬物を大量摂取した状態で発見。

搬送先の病院で死亡が確認された。

遺書があったことから、自殺とみられる。


自殺。


カエデが。


「嘘だろ...」


俺は布団を被った。

何も考えたくなかった。


でも、頭の中はカエデのことでいっぱいだった。


なんで死んだんだ。

なんで自殺なんてしたんだ。

俺に相談してくれれば...。


いや、でも俺たちはもう別れてた。

関係ない。


でも...。


俺は一日中、ベッドから出られなかった。

何も食べる気にならなかった。


夜になって、ようやくトイレに立った。

鏡を見ると、やつれた顔が映ってた。


「カエデ...」


涙が出た。


なんで死んだんだよ。

なんで俺に言ってくれなかったんだよ。


俺はまたベッドに戻って、泣きながら眠った。


そして、朝。


「ん...」


目が覚めた。

スマホのアラームが鳴ってる。


時計を見ると、午前10時。


もしかして寝坊か?


俺は焦ってスマホを見た。

日付を確認する。


11月3日。土曜日。


「...は?」


昨日も11月3日だった。


いや、待て。

昨日はカエデの訃報を見て、一日中寝てて...。


それで夜に寝て、朝起きたら...。


また11月3日?


「夢...?」


でも、やけにリアルだった。


俺は慌ててSNSを開いた。

友達の投稿を見る。


カエデの訃報は...ない。


「夢だったのか...」


安堵した。

よかった。

カエデは生きてる。


でも、なんか変だ。

夢にしてはリアルすぎる。

一日普通に過ごしたような感覚だ。


その時、右手首に違和感を感じた。

見ると、手首に小さな数字が浮かんでいた。


「3」


「...何これ?」


こすって消そうとしても消えない。

タトゥー?いや、昨日はなかった。

そんなものいれた覚えもない。



もしかして、昨日のようにまた同じことを繰り返すのではないか…


俺は試しにSNSをもう一度チェックしてみることにした。。


午後になって、友達の投稿が増えていた。

そして、夕方。


「高嶺さん、嘘だよね...」


出た。

昨日と同じ投稿だ。


ニュース記事も同じ。


『市内の大学生、自宅で死亡』


高嶺カエデ(20)


「...マジかよ」


これは夢じゃない。

俺は同じ日を繰り返してる。

タイムリープだ。




そう気付いた時には俺の意識は遠のいていた。


また11月3日の朝。

俺は混乱してた。


タイムリープなんて、アニメや映画の世界の話だ。

現実にあるわけない。


でも、手首の意味深な数字。

同じ日付。

同じ訃報。


これは現実だ。


「カエデが...死ぬ」


今日、11月3日。

カエデが自殺する。


それを止められるのか?


いや、止めなきゃいけない。


俺は飛び起きた。

服を着替えて、外に出た。


カエデのアパートに向かう。


走った。


カエデの住んでるアパートは、大学から徒歩15分くらいの場所だ。

俺も何度か行ったことがある。


息を切らしながら、アパートの前に着いた。


203号室。

カエデの部屋だ。


インターホンを押す。


「...はい?」


カエデの声だ。

まだ生きてる。


「カエデ、俺だ。ハルト」


「...ハルト?」


驚いた声。


「何の用?」

冷たい声だった。


「会いたい。話がしたい」


「今更?」


「お願いだ」


長い沈黙の後、ドアが開いた。

カエデが出てきた。


久しぶりに見るカエデ。

3ヶ月前より、少し痩せた気がする。

目の下にクマがある。


「...何?」


「その、元気?」


「元気だけど」


カエデが腕を組んでる。


「それだけ?」


「いや...」

俺は言葉に詰まった。


「カエデ、今日、何か...悪いことが起こるかもしれない」


「悪いこと?」


「詳しくは言えないけど、とにかく今日は家にいて。一人にならないで」

カエデが不思議そうな顔をした。


「ハルト、何言ってるの?」


「とにかく、お願いだ」


「意味分かんない」


カエデが呆れた顔をした。


「もう関係ないでしょ、私たち」


「でも...」


「帰って」


「カエデ!」


「帰ってよ!」

カエデが怒鳴った。


そしてドアを閉められた。


俺は呆然と立ち尽くした。


ダメだ。

説得できない。


どうすればいい?


俺は一日中、カエデのアパートの前で待った。

何か異変があったらすぐに駆けつけられるように。


でも、何も起こらなかった。


夕方になった。

夜になった。


午後11時。


俺は疲れて、コンビニで買ったコーヒーを飲んでた。


その時、カエデの部屋の電気が消えた。


寝たのか?


それとも...。


俺は不安になって、もう一度インターホンを押そうとした。

でもその時、カエデが部屋から出てきた。


「カエデ!」


カエデが驚いて俺を見た。


「まだいたの...?」


「ああ」


「気持ち悪い。ストーカー?」


「違う。心配で...」


「もういい。私のことなんか放っといて」


カエデが走り出した。


「待って!」

俺も追いかけた。


カエデはどこに向かってるんだ?


夜の住宅街を走る。

そして、ある橋に着いた。


川にかかる古い橋だ。

カエデが橋の欄干に手をかけた。


「カエデ、まさか...」


「来ないで」

カエデが振り返った。


涙を流してた。


「なんで...なんで追いかけてくるの」


「お前を止めるためだ」


「止めないで」


「ダメだ」


俺はカエデに近づいた。


「死ぬな」


「なんで」


「理由なんてない。死ぬな」

カエデが首を振った。


「私、もう無理なの」


「何が無理なんだ」


「全部。生きること全部」


「カエデ...」


「ごめんね、ハルト」


カエデが欄干に足をかけた。


「やめろ!」


俺は走った。

でも、間に合わなかった。


カエデが飛び降りた。


「カエデーーー!」


俺の叫びが夜の闇に消えた。


そして。

俺は気を失った。



朝10時。アラームが鳴る。


「...くそ」


また11月3日だ。


手首を見ると、数字が「2」になってた。

つまり、あと2回しか戻れない。


カエデを救えなかった。


どうすればいい?


もっと早く動くべきか?

それとも、別のアプローチ?


俺は考えた。


カエデが死ぬ理由。

なんで自殺したいと思ってるのか。

それを知らないと、根本的に救えない。


でも、カエデは俺に何も話してくれない。

「もう関係ない」って言われた。


じゃあ、誰に聞けばいい?


カエデの友達?


そうだ。

俺はカエデの親友、桜井ユイに連絡した。


「もしもし、ユイ?俺、ハルト」


「ハルト?久しぶり。どうしたの?」


「カエデのことなんだけど...」


「カエデ?」


ユイの声が暗くなった。


「実は、最近私もカエデと連絡取れてないんだ」


「え?」


「1週間くらい前から、LINEも既読つかないし、電話も出ない」


「そうなのか...」


「何かあったのかな。心配で…」


ユイも心配してるのか。


「ユイ、カエデが何か悩んでるとか、知らない?」


「うーん...分かんない。でも、最近はなんだか様子がおかしくて」


「どんな風に?」


「なんか、急に暗くなったというか。笑わなくなったというか」


「いつから?」


「2ヶ月くらい前かな」


2ヶ月前。

俺と別れたのが3ヶ月前だから、その後か。


「他に何か知らない?」


「ごめん、カエデ、最近何も話してくれなくて...」


ユイも分からないのか。


「分かった。ありがとう」


電話を切った。


手がかりが少ない。

でも、諦めるわけにはいかない。


俺は次にカエデの家族について調べることにした。


カエデの実家は隣の県だ。

両親と弟がいると聞いてた。


でも、カエデは実家の話をあまりしなかった。

もしかして、家族に問題があるのか?


俺はカエデの実家に電話してみた。

番号は、以前カエデから教えてもらってた。


「はい、高嶺です」


女性の声。おそらくカエデの母親だ。


「あの、カエデさんの友人なんですが...」


「カエデの?」


「はい。最近連絡が取れなくて、心配で...」


「ああ...」


母親の声が沈んだ。


「あの子、最近帰ってこないんです」


「え?」


「こっちから連絡しても、返事がなくて...」

母親も心配してるのか。


「何かあったんですか?」


「実は...」


母親が言いにくそうに続けた。


「夫が、借金を作ってしまって...」


「借金...?」


「それで、カエデに援助を頼んだんです」


「援助?」


「お金を...」


俺は息を呑んだ。

カエデが金を出してた?


「でも、カエデも学生なのに...」


「私も反対したんですけど、夫が...」


母親が泣きそうな声になった。


「カエデ、怒って家を出て行ったきりなんです」


そういうことか。


カエデは家族の借金のために、金を作ってた。

学生なのに。


どうやって?


バイト?

でも、そんな大金は...。


嫌な予感がした。


「お母さん、カエデは今どうやって生活してるか、知ってますか?」


「さあ...バイトしてるとは聞いてますが...」


俺は電話を切った。


頭の中で色々繋がってきた。


カエデが急に冷たくなった理由。

俺と別れた理由。

痩せてクマができてた理由。


全部、金のためだったのか。

でも、どうやって金を作ってたんだ?


俺は嫌な想像をした。


まさか...。


いや、でも。


俺はカエデのSNSを調べた。

鍵垢だけど、俺はまだフォローを外されてない。


投稿を遡る。


3ヶ月前までは、普通の大学生活の投稿。

でも、それ以降は何もない。


最後の投稿は、俺と別れた直後だった。


「もう疲れた」


それだけ。

俺は拳を握りしめた。


カエデ、お前...。


時間がない。

もう夕方だ。


俺はカエデのアパートに向かった。


今度は、ちゃんと話を聞く。

逃がさない。


アパートに着いて、インターホンを押した。


返事がない。


もう一度押す。

やっぱり返事がない。


「カエデ!いるんだろ!」


ドアを叩く。


「開けてくれ!」


でも、何の反応もない。

まさか、もう...。


俺は慌てて管理人に連絡した。


「すみません、203号室の高嶺さん友人のなんですが、何日も学校に来てなくて心配で...」


管理人が来て、ドアを開けてくれた。


部屋に入ると…


カエデがベッドで倒れていた。

周りには薬の空き箱が散乱してる。


「カエデ!」


俺は駆け寄った。


だが、すでにカエデの体は冷たかった。


「嘘だろ...」


救急車を呼んだ。

でも、間に合わなかった。


カエデは死んだ。


また。


俺の意識が遠のいた。



朝10時。また同じ朝。


手首の数字は「1」。


最後のチャンスだ。


俺は今度こそ、カエデを救う。


でも、どうやって?


前回で分かったこと。

カエデは家族の借金のために金を作ってた。

でも、学生がそんな大金を作る方法は...。


俺は朝からカエデのことを徹底的に調べることにした。


まず、カエデのバイト先を調べた。

カエデが働いてたのは、駅前の居酒屋だ。


店に行って、店長に話を聞いた。


「高嶺さん?ああ、1ヶ月前に辞めましたよ」


「辞めた?」


「はい。急に来なくなって、連絡も取れなくて...」


じゃあ、今は何をしてる?


俺は次に、カエデの大学の友達に片っ端から連絡した。

でも、みんな「最近会ってない」「連絡取れない」と言う。


カエデは孤立してたのか。


その時、一人の女子学生が教えてくれた。


「高嶺さん、最近変な男の人と一緒にいるの見たよ」


「変な男?」


「スーツ着た、40代くらいの人」


「どこで?」


「駅前のホテルの近く」


俺の背筋が凍った。


まさか。

援助交際...?


カエデが、金のために...。


「いつ見た?」


「1週間くらい前かな」


俺は拳を握りしめた。


カエデ...。


でも、責められない。

家族のために必死だったんだ。


そして、それを誰にも言えなかった。


俺にも言えなかった。


だから別れたんだ。

俺を巻き込みたくなかったから。


「カエデ...」


俺は走った。

カエデのアパートに向かう。


今度こそ、ちゃんと話す。


全部聞く。


そして、一緒に考える。


インターホンを押した。


「...誰?」


カエデの声。


「俺だ。ハルト」


「...」


「カエデ、話がしたい」


「帰って」


「帰らない。全部知ってる」


「...何を?」


「お前の家族のこと。借金のこと。そして...お前が何してるかも」


長い沈黙。


そして、ドアが開いた。


カエデが立っていた。

カエデは泣いていた。


「...全部、知ってるの?」


「ああ」


「じゃあ、もう...」


カエデが崩れ落ちた。


「もう、終わりだよ」


俺はカエデを抱きしめた。


「終わりじゃない」


「でも...」


「一緒に考えよう。俺も手伝う」


「無理だよ。借金、300万もあるんだよ」


「俺のバイト代、全部出す。俺も働く。」


「そんなの...」


「カエデ、死ぬな」


カエデが俺にしがみついた。


「ごめん...ごめん...」


「謝るな。お前は悪くない」


俺たちはしばらく抱き合ってた。


そして、カエデが言った。


「ハルト、ありがとう」


「これからどうする?」


「...分かんない。でも、もう少し考えてみる」


「そうか」

カエデが少し笑った。


「ハルト、変わったね」


「え?」


「前より...強くなった」


「そうかな」


「うん」


俺たちは夜まで話した。


カエデの家族のこと。

借金のこと。

これからのこと。


解決策はすぐには見つからなかった。


でも、カエデは「もう少し頑張ってみる」と言った。


「死なないでくれよ」


「...うん」


俺は安心して、アパートを出た。


これで、カエデは救えた。


手首の数字を見ると、「1」のまま消えてない。


まだ11月3日は終わってないからか。


俺は家に帰った。


そして、夜。


スマホが鳴った。

カエデからのメッセージ。


「ハルト、本当にありがとう。あなたのおかげで、もう一度頑張ろうと思えた」


よかった。


「いつでも頼ってくれ」


「うん。おやすみ」


「おやすみ」


俺は安心して眠りについた。


翌朝。

11月4日。日曜日。


「やった...」


ループから抜け出せた。

カエデを救えた。


俺は嬉しくて、カエデに電話しようとした。


でも、電話が繋がらない。


「あれ?」


何か嫌な予感がした。


俺はカエデのアパートに向かった。

走った。


アパートに着いて、インターホンを押す。

返事がない。


「カエデ!」


管理人を呼んで、ドアを開けてもらった。


部屋に入ると、カエデがいない。


部屋の窓が開きっぱなしになっている。


まさか。


俺は窓から下を見た。


地面に、カエデが倒れていた。


「嘘だろ...」


救えなかった。


結局、カエデは死んだ。


俺は崩れ落ちた。


「なんで...なんでだよ...」


手首の数字は消えていた。

もう戻れない。


カエデの葬式。


俺は参列した。


カエデの家族もいた。

母親は泣いてた。

父親は俯いてた。


俺は何も言えなかった。


葬式が終わって、カエデの母親が俺に話しかけてきた。


「あなた、ハルトくんよね?」


「はい」


「カエデから聞いてました」


「...」


「カエデ、最後にあなたに会えて嬉しかったと思います」


母親が手紙を渡してきた。


「これ、カエデが残してた遺書です」


「遺書...」


「読んでください」


俺は震える手で封を開けた。


そこには、カエデの字で書かれてた。


『ハルトへ


ごめんね。結局、私は死を選んでしまった。

あなたが助けてくれたのに。

あなたが何度も私を救おうとしてくれたのに。


実は、私も知ってたの。

あなたがタイムリープしてたこと。


最初のループの時から、気づいてた。

だって、私もタイムリープしてたから。


私は、あなたを救うためにループしてたの。


11月4日、あなたは交通事故で死ぬはずだった。

それを止めるために、私は何度もループした。


でも、どうしても救えなかった。


そして、最後の方法を思いついた。


私が11月3日に死ねば、あなたは11月4日に外出しない。

だから、事故に遭わない。


私が死ぬことで、あなたを救えるんだ。


ごめんね。

でも、これが私にできる最後のことだった。


ありがとう、ハルト。

あなたと出会えて幸せでした。


愛してる。カエデ』


俺は涙が止まらなかった。


「カエデ...」


そういうことだったのか。


カエデは俺を救うために、自分を犠牲にした。

俺がカエデを救おうとしてたのと同じように、カエデも俺を救おうとしてた。


でも、お互いに相手を救おうとして...。


結局、カエデは死んだ。


「俺は...」


俺は空を見上げた。


「俺は、生きるよ。カエデ」


カエデが命をかけて救ってくれた人生だ。

無駄にはできない。


俺は前を向いた。




翌日。

俺は大学の図書館で勉強していた。


本当なら、俺は交通事故で死ぬはずだった。


でも、カエデのおかげで生きてる。


「ハルト」

友達が声をかけてきた。


「今日、飲み会あるけど来る?」


「いや、今日はやめとく」


「そっか」


友達が去っていった。


俺はカエデの写真を見た。

スマホの待ち受けにしてある。


「カエデ、見ててくれよ」


俺は、カエデが救ってくれた人生を、精一杯生きる。


そう決めた。


その時。


図書館の窓の外を、女性が歩いてるのが見えた。


後ろ姿だけど...。

なんとなくカエデに似てる。


「まさかな...」


俺は立ち上がった。


窓の外を見る。

女性が振り返った。


カエデだった。


笑ってた。


そして、こちらに向かって手を振っている。


「カエデ...?」


俺は窓を開けようとした。

でも、女性はもういなかった。


「幻覚...か」


俺は首を振った。


でも、確かに見えた。

カエデの笑顔が。


「ありがとう、カエデ」

俺は呟いた。


そして、また勉強に戻った。


カエデが救ってくれた人生。

大切に生きよう。


手首を見ると、また小さな数字が浮かんでた。


「3」


これは...。数字?

新しいループ?


それとも...。

カエデを救うチャンス?


俺は決めた。


今度こそ、俺も、カエデも救う。


そのために、また過去に戻る。


「待ってろよ、カエデ」

俺は目を閉じた。


そして。


朝10時。アラームが鳴った。


11月3日。


また始まった。

でも、今度は違う。


俺は知ってる。


カエデも俺を救おうとしてること。

だったら、二人で協力すればいい。

お互いを救い合えばいい。


「今度こそ...」

俺は立ち上がった。


カエデのアパートに向かう。


今度は、知っていることをすべて話す。


そして、一緒に未来を作る。

二人が揃った幸せな未来を。


【完】


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