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神殺しの乙女  作者: Da Viero
episode.6 王都
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4. 美しい花には……

 部門長の選出は何日もかかった。


 真っ先に決まったのは、共和調整局(多種族共生部)。

 これにはヴァルディ、クオルの2名がズォン族代表、エルヴァン族代表として選出された。


 職人工房組合はガランさんが着任し、開発局、災害観測院と次々に決まっていったけれど……


「なかなか終わらないねぇ。」


 書類とにらめっこをしながら、ネロが言う。

 あれからずっと、私とネロは臣下達と一緒に各部門の中枢を担っていた。

 色々な物事が決まっていく中、それを認可する書類を用意して、決議をして、要望を整理し直して……。


 現在サティには、サティの故郷のガリの谷へ向かってもらっている。

 ガリの谷にもこの状況を話して、王国と協力をしあう方向を取れないかという打診。それと、短剣をガランさんのところまで持ってきてくれないかというお願いをした。

 ガランさん専用の工房を王都に作ってくれると王が言ってくれたので、なるべく早めに短剣の封印を作ってもらいたい。


 私も忙しくて目が回りそうだけれど、皆が私の提案に乗ってくれて頑張ってくれていることを考えたら、多少の苦労は我慢できそうだった。

 この後に控えている午後の会議に向けて、もうひと頑張り!と、改めて机に向かってペンを握った。





「あの、お連れすることが……できました……。」


 午後の会議が一段落して、王と臣下達と団らんをしていたら、兵士がよろけながら広間に入ってきて、その後ろから細身の女性が悠然と現れた。


 本を片手に抱えて、視線は冷ややか。


 彫刻のように整った顔立ち、顎の横で整えられた絹のように美しいプラチナブロンド、形の良い薄い唇。驚くほどの美貌で誰もが一瞬見とれてしまった。


 そんな彼女の口から出てきたのはーーー


「僕に用があるって、よっぽどのことなんだろうね。忙しい仕事を中断してきたんだ。それはそれは大層な用事であることを期待しているよ。」


 尊大に響く声に、ざわつきが走る。


「な、なんだその態度は!」


 臣下の一人が立ち上がり、憤慨して叫んだ。


「このお方をどなたと心得るか!ここは王の御前ぞ!」


 しかし女性は涼しい顔で肩を竦めるだけだった。


「知らないね。勝手に僕を連れてきたのはそっちじゃないか。呼び出しておいて礼儀がどうとか、寝言は枕元で言うものだよ。」


 広間が凍り付く。


 臣下は顔を真っ赤にして言葉を失った。

 その女性を連れてきた兵士が、発言しにくそうにおずおずと言った。


「あの、こちらは、王立学院の学匠。数々の論文を著し、『英知の結晶』と呼ばれたアルマ・エレネシア様です……。」


 途端、広間の空気が一変した。

 驚きとざわめきが渦巻く。

 有名人?凄く偉い人なのかな……。


 じっと見つめていると、アルマさんと目が合った。


「ふぅん。君が黒髪の乙女?僕に用があるのは君?ここでは何をしているの?」


 積み重ねられた書類をぱらぱらとめくりながらアルマさんが言った。

 話を振られた私は、慌てて応えた。


「えっと、王国内に住む皆さんの要望を集めて、それを元に部門を作っていました。今は部門が出来たので、その部門を任せることが出来る部門長の方を選出していたのですが……。」

「へぇ、なるほど。それで、人材は足りているのかい?」

「それが……。」

「そういうことか。」


 彼女の鋭い目が、広間に並ぶ臣下達を一瞥した。


「この国にはろくな人材もいないんだね。大方教育を担う人間がいないってところだろう。」


 臣下の何人かが顔を赤らめて口をパクパクとさせる。

 反論しようにも、言葉が出ないらしい。


「仕方ないね、僕が教育関連の部門長を担当してあげようか。」


 尊大に放たれたその言葉に、広間がどよめく。


「本当ですか、アルマさん。教育については、要望が多いにもかかわらず、部門長になってくれそうな人が見つからなかったんです。とても助かります。ありがとうございます……!」

「そのかわり。」


 アルマさんが私の口元へ、人差し指を当てた。


「噂によると、君は不思議な力を持っているそうじゃないか。部門長を務める限り、君の近くでそれを研究させて欲しい。」

「えっ……えぇぇ……。えぇっと……ううん……。はぁ、ーーー分かりました。」

「よろしい。」


 研究って何……ちょっと怖いんだけど!

 でも、背に腹は代えられないし。……ううう、仕方ない。


 それを見ていた王が、静かに言った。


「そなたの働きは国内でも名高い。アルマ殿。その才を我らに貸して頂きたい。」


 その声にアルマさんは鼻で笑い、軽く顎をあげて応えた。


「お任せを。」


 こうして教育部門には少し癖の強い美しい学者の女性、アルマさんが着任することとなった。

 組織は着実に形となって出来上がってきている。私は確実な手応えを感じていた。

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