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神殺しの乙女  作者: Da Viero
episode3. 支援活動
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7. 幕間 噂は風に乗って

 暖炉の火がばちばちと爆ぜ、薄暗い酒場の中にざわめきが広がっていた。

 木のテーブルを囲んで、避難してきた村人や商隊の男達が口々に話しだす。


「おい、聞いたか?山崩れを止めたっていう【黒髪の乙女】の話をよ。」

「止めた?土砂の流れをか?」

「そうよ!見えない力を操るように、土砂が人のいない方へ曲がっていったんだと。それを見た奴の話では、自然に話しかけているようだったってさ。」


 話が広がるごとに、乙女の姿はどんどん美化されていった。


 彼女の隣には「熊の化身みたいな大男」と「飛び狐」と呼ばれる小さな獣耳の娘がいたらしい。

 極めつけは、虹色の壁を展開した細身の青年ーーー「十の陣を一瞬で描く聖なる護り手」が語られている。


「本当にそんなやつらがいるのか?」

「実際に見たって奴がいるんだ!一人二人じゃない、大勢だぞ。」

「なぁ、そいつらこの町に来るのか?」

「来たら俺、サインもらう!」


 笑い声と拍手、酒の匂いが混じり合い、噂は熱を帯びていく。

 その喧噪の片隅、地味な旅装の男が一人、静かに酒を舐めていた。


 手元の紙には、さらさらと文字が並んでいく。



『黒髪の人間女性、マナ制御能力あり。同行者3名。いずれも高い戦闘・補助能力を有すと考えられる。』



 男は淡々と書き終えると、髪を二つ折りにして封蝋を押す。

 席を立ち、フードを深く被ると、酒場を後にした。





 ーーー夜の役所。


 薄暗い執務室の机の上に、その封書が置かれる。

 封を切った上役が目を通し、眉をひそめた。


「優先監視対象……か。」


 用紙に赤い印を押し、それを若い役人へ手渡す。

 若い役人は、それを抱えたまま無言で夜道を歩き出した。



 酒場の客達はまだ笑いながら噂を盛って飲んでいる。

 誰も、同じ話が別の場所で全く違う重さを持っているとは知らないままにーーー

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