表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/8

第1巻 序

「あの…望月さんがもうすぐ転校することになりまして…」


 担任がホームルームで私の転校をクラスに伝えると、教室に大きなざわめきは起きなかった。ちらほらと一、二人がこっちを見上げることはあったけれど、ほとんどの生徒はただ静かに話を聞いていて、まるでごく当たり前の出来事のように思えた。


 私は無表情で教壇の前に立っていた。心には何の動揺もなかった。古い友人たちへの未練も、新しい学校への期待も、何も。


 まるで転校するのが自分じゃないかのように。


「これからも連絡取り合おうよ。」


 席に戻ると、前の席の男子がふり向いて、社交辞令めいた笑顔を向けてきた。


「うん。」


 私は淡々とそう返事をして、うなずきさえ面倒だった。


 彼は気まずそうに前を向き直すと、すぐに隣のクラスメイトと最新のゲームの話で盛り上がり始めた。


 彼の名前は後藤だったっけ?それとも近藤?


 …まあ、どうでもいいことだ。


 人間関係なんて脆いものだ。きっかけさえ失えば、どんなに深かった友情も、結局は自然に疎遠になっていく。


 だから――


 もう二度と彼らと繋がることはないだろう。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ