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第9話 魔法学園の受験④&街を散策

「勝負あり。勝者、エリオス(白髪)!」


その言葉と共に白髪が別の場所から出てきた。

赤髪は魔法を放った姿勢のまま固まり、そして倒れた。


白髪が言う。


「ふう、今回は運が良かったな」


周りがざわざわ騒ぎ始めた。


「おい、勝ったのは赤髪の方じゃないのか…?」

「確かに最後、魔法を当てたよな…」

「どういうこと?」

「不正だ!不正をしたんだ!」

「いや、さすがにそれは…あるかも」

「そういうスキルなんじゃない?」

「エリオスは身代わりのスキルを持っていたから他のスキルは持っていないでしょ」

「でも身代わりというスキルなら有り得るわよ」

「あれ?じゃあ何もおかしいところはないのか…?」

「身代わりは一体だけ、とは誰も言っていないから不正ではないと思うけど」


不正を疑うも、そういうスキルなら有り得る、とのことだ。


どういうことなのだろうか……スキルは『一日に一回、身代わりを作れる。自分の好きなタイミングで身代わりと位置を交換できる。一度使った身代わりは壊れる。また、一日経ったら壊れる』というもの。

二つ同時には存在しないから無理なんじゃ…と思ったところで気づいた。


これ、前回作ったときの一日後が戦闘中だったらどうなる?


推測するに、戦闘時で一回使ったものの、前回の作成から一日経過したため『身代わり』を発動できた。

そんな偶然、有り得るわけが…と思ったのだが、彼曰く運が良かっただけだったらしい。

俺は自分自身に言い聞かせるように、運が良かっただけでしょ、と心の中で呟いた。



「せっかくここに来たんだし、街を散策してみたらどうだい?」


聞き覚えのある声――ランドリックだ。


「君が戦う番まで数日ある。それまでに街の良いところを探してみるといい」

「へー、じゃあそうするよ。オススメの店とかある?」

「そうだね…。僕は忙しいから、街には出歩けないんだ。だからオススメはない」

「そ、そうか…自分で探してみるよ」


そして俺は街に行った。



     *   *



街はとても活気があった。

どんな人も満足そうな顔をしている。

王が頑張ったからなのかな。


まずはテキトーに歩き回ってみるか。


おっ、あんなところに串焼き屋があるぞ!テンプレ通りだ。

あっちに果物屋があって、あそこにアクセサリー店があって…うん、テンプレ。

ラーメン屋、八百屋、魚料理店、ステーキ店 etc... 腹減ってきた。


せっかくだしどこか店に行って、そこで昼食を済ませよう。


そして来た店はステーキ店!…ではなく普通の定食屋。唐揚げとかあるやつ。

唐揚げは前世で俺が好きだった食べ物の一つである。

米と一緒に食べると最高に美味いのだ。


そんな訳で唐揚げ定食を注文した。


ちなみに俺は貴族の子供なので、お金はたくさんある。

前世に引っ張られて節約癖が付いているのであまり使わないが。


唐揚げを食べて米食べて…。


「ご同席、よろしくて?」

と言いながら反対側の席に美人さんが来なければ一心不乱に食べたくらい美味い。

ジーっと俺の方を見てきた。


俺は気付かれない程度に目線を上げて彼女を観察(悪い意味ではない)した。


一番目立つ部位は目。なんと、瞳の色が左右で分かれていたのだ。

左は鮮やかな赤色、右は光る黄色。オッドアイなんて俺は前世含めて見たことがない。

そして二番目は…豊満なチェスト。今にも服から落ちそう…っていかんいかん。

ちなみに三番目は体格の良さ。出るところは出て、引き締まるところは引き締まっている…ってこれ二番目とほぼ同じじゃね?

ちなみに髪は緑色である。


「あの…誰ですか?」

「わたくしはジニア・フォン・クローバー。クローバー家の長女ですわ」

「えっと。クローバー家?」

「知らないんですの?王都の近くにある公爵家ですわよ」


そういえばそんなのあったな。

というか貴族の娘の口調にとても違和感を感じる…。俺が日本人だっただからなのだろうか。


「あなたのお名前は?」

「アル・フォン・ジェトラルです」

「あの男爵家ですわよね」


そうそう。


「それで、男爵家三男の俺に何の用ですか?」

「実は…前のことについてお礼をさせてほしいのですわ」


前のこととは何か、俺は分からない。


「何…新手の詐欺…?」

「ち、ちがいますわよ!高潔な貴族はそんなことしませんわ!というか本当に覚えていないんですの?」


仮にあったとして、俺は覚えていない。


「あれですわ。あの時のオーガを倒してくれたのですわよね」

「あー、あれか」


思い出した。

学園に行く最中にオーガを倒したことだ。


「あのときのお礼をさせてほしいのですわ」

「お礼…ねぇ。俺はただ人助けのつもりでやったので、見返りとかは特に…」

「それでも!貴族として何かお礼はさせてほしいんですのよ」


へー…そう……お礼…ね。


「だったら――」

「でも!わたくしもしたくないこともありましてよ!不埒なことはやめてほしいですわ」

「そういうことを言おうとしたわけじゃないが」


あらぬ誤解をさせてしまったようだ。

俺は紳士だからね。そんなことは全く考えていない。一切考えていないのだ、うん。


いや、本当にそんなことは言おうとしていないよ?

”だったら君がお礼の内容を決めていいよ”と言おうとしただけだ。


「では、何がほしいんですの?」

「とは言われても…特にない」


全然ない。

剣は?技と力でどうにでもなる。

魔道具?魔力がないから使えない。

お金?たっぷりあるから要らないし、そもそもほとんど使わない。


「もし決まった時は、わたくしに伝えてください。できることなら何でもしますわ。あなたはわたくしの恩人ですもの」


何にしようかなー…。

よし、決めた。


「じゃあさ――」

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