第3話 魔力ゼロ&スキルなし
どうもアルです。
現在絶賛猛勉強中であります。
ちなみに教師は父上に雇ってもらいました
「この世界には魔法とスキルがあります。まず、魔法に関して教えます。魔法にはランクと属性があります。ランクは下から初級、下級、中級、上級、超級です。属性には基本四属性である火、水、土、風、特殊二属性である光、闇、応用属性である氷、雷、毒、無、空間があります。基本四属性は名前の通りの効果を示します。光属性は回復や浄化を、闇属性は重力や影などを示します。氷、雷、毒属性は名前の通りの効果を、無属性は身体強化などを、空間属性は空間を操作することを示します。」
「質問です。全属性使いはいますか?」
「歴史上にはいません。しかし、歴史上にないだけで、実際にはあったという説もあります。」
ほうほう…ぜひとも戦ってみたいw。
俺の能力が通じるかも知りたいし。
「もう一つ質問です。魔法を使う人と使わない人でどれくらいの差がありますか?」
「はい、スキルがなければ魔法を使う人のほうが圧倒的に強いです。高ランク冒険者は必ず魔法を使えます。魔法を使えない人は魔法を使えるようになるまで魔法の練習をします。それでも魔法を使えなかった者は体を鍛える道しか残されていません。しかし、肉体には限界がありますが、魔法は自由なので、ある意味限界がありません。そのため、魔法を使う人のほうが強いのです」
「もしもの話だけど、突然魔法が使えなくなったらどうなるの?」
「スキルがあるので、世界崩壊はしませんが…とても生きづらくなるでしょう」
あれ、俺の『アンチ』能力って最強?
俺が世界を滅ぼしたいなと思ったら世界がやばいことになるのかよ。
「次に、スキルについて話します。スキルは様々な種類があります。有名なものとして剣技、格闘技、礼儀作法、詠唱省略などがあります。ほとんどの人はスキルを持っています。また、スキルを新しく入手することもできます。また、基本的にスキルにはレベルがないのですが、例外もあります。最低が1、最高が10です」
「質問です。一人しか持っていないようなスキルもありますか?」
「はい、あります。ただし、世界に数人程度しかいないので会わないと思います」
「もしスキルを使えなくなったら?」
「魔法があるので大丈夫です。もし魔法もスキルも使えなくなったら世界は滅びます。まあ、そんなことにはならないと思いますけど」
訂正、俺が世界を滅ぼしたいなと思ったら世界が滅ぶのかよ。
そんなこんなで猛勉強した後、練習場に行った。
* *
「魔力を測ります。この推奨に触れてください」
そう言って透明な水晶を持ってきた。
俺、魔力ゼロなんだが。
しかたないので一応触った。
「あれ、光りませんね…」
うん、だと思った。
同じものを持ってきたので再度触れてみた。
光らなかった。
「そ、そんな…。アル様には魔力がないです!」
知ってた。
* *
「持っているスキルを可視化します。この水晶に触れてください」
そう言って今度は別の水晶を持ってきた。
能力はあるけどスキルはないです。
しかたないので触った。
「あれ、光りませんね…」
うん、魔力と同じ反応。
同じものを持ってきたので再度触れてみた。
光らなかった。
「そ、そんな…。アル様にはスキルもないです!!」
ですよね。
* *
【Side 教師】
私、今日から貴族の子供のアル様の教師になりました。
アル様は記憶を無くしてしまったらしく、もう一度勉強するとのことです。
普通の学校の教師ならやったことがあるのですが、貴族の子供に教えるとなると少し緊張しますね…。頑張ります!
私は魔法とスキルについての授業をしました。アル様はたくさん質問をしてきましたが、変な質問でした。「魔法を使えなくなったら」とか「スキルが使えなくなったら」とかです。私はそんなことないと思うのに…。
でも、変な質問をしてくる以外は読み込みが早く賢い子だと思います。普通の人はここでつまづいて意欲を失うのですが、この子は何を説明しても理解しているようにみえますし。
私はその後魔力を測りました。
こんなにも賢い子なので、きっと膨大な魔力を持っていることでしょうね!!
なんと、アル様には魔力が一切無かったのです…。
なぜでしょうか。どんな人にも魔力はあるのに、アル様には全く無かったのです。
おもわず驚いてしまいましたが、それほど大事なのです。
魔力を使えないとなると魔法を使えません。魔力さえあれば作動する魔道具を動かすこともできないのです。
ま、まあ、もしかしたらあまりにも強力なスキルを手に入れたからの可能性もありますから。たぶん大丈夫です!
ということでスキルも確認しました。
ない…。
スキルがなかったのです!!
なんということでしょう、アル様には魔力もスキルもなかったのです。
あ、スキルならあとから入手できますが…。新しくスキルを入手するには長い年月がかかるのです。
しかたないので、このことは当主様に話したあと、記憶の奥深くにしまうことにしました。